小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

耐久性ゼロのたまご容器が大人気!?マイナス要素に変えて売上5倍のナゼ

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

先日たまたま出先の定食屋さんで

「メガ盛り」

なるメニューを目にしました。

 

“大盛りの更に上”となっていて、

「メガ」⇒「すごい沢山」

というニュアンスですね。

 

古びたお店の風情と相まって、

ちょっと懐かしさを感じました。

 

昔は『メガ』って付いた名前の商品がたくさんありましたよね~。

僕が学生時代に販売開始したゲーム機「メガドライブ」

なんとなく未来感あってワクワクしたものです。

 

でもメガ、って

今は大したこと無い単位なんですよね。

 

パシャっと携帯で写真を撮っても

データ量は一枚3メガくらいありますもんね。

 

「すごい多い」の代名詞となると、

今はその上の「ギガ」、

そして「テラ」。

 

ソフトバンクのスマホ定額データサービスの名前は

「ギガモンスター」ですし、

 

ペヤング焼きそばの超大盛は

「超超超大盛ギガマックス」、

 

大盛り料理店の事をネットでは

「テラ飯」と呼んだりするようです。

 

そうすると前述の定食屋さんは

「すごい量だ!」

とアピールしたいのに、

 

大盛りのメインターゲットとなる現代の若者には

「メガ盛り…?少量なのかな?」

なんて思われてしまうかもしれません。

 

要はちょっとした表現や伝え方に

細かな時代の変化があって、

うっかり気づかないと時代に

遅れてしまう事があるということですね。

 

「お父さん、そんな事も知らないの?」

なんて子供に言われるくらいなら

まだイイのですが、

 

知らずお客さんにスルーされ

売り上げにまで響くとなると、

なかなかオソロシイはなしです…。

 

ちなみにテラの上の単位は「ペタ」ですが、

この流れで遠くない将来

「大サービスのペタ盛り!」

なんて風になるんでしょうか?

なんだか気の抜けたカンジですね…。

 

…と思って調べてみたら、

ぺヤングの商品にも

「超超超超超超大盛ペタマックス」が出てました。

通常の7.3倍!

もう時代は『ペタ』ですね!


さて、

卵パックってあるじゃないですか。

あれって、

たまごが割れないための

いろんな工夫がしてあって、

いわば特許のカタマリ

 

できてから、100年ちょっと経ちます。

カナダの農場さんが

馬車で取引先のホテルに届ける際

割れクレームが多いため

開発したのが「たまごパック」

 

「割れをなんとかしたい。」

その想いで、100年発展してきたんです。

 

が、ですね。
お客様の求める価値が、

だいぶん変わってきたのです。

 

僕たちがお持ちしている

小売店さまの売り場で、

こんな商品がとてもよく売れています。

これ、

スタンドパックっていいまして、

キュウリとかトマトとかを入れる袋です。

みてのとおり、

たまごを「割れ」から守る耐久性はゼロ

 

でも、小売店さんで

よく買っていただけるんです。

売り場によっては通常パックの5倍くらい。

 

なぜか?

 

大きな理由のひとつが、「捨てやすさ」という価値。

「たまごパック」って、捨てにくいんですよね。

とっても頑丈なので、潰すのにとても力がいる。

 

しかも潰してもモコモコと

また復活してきますから、

とにかく場所をとるわけです。

 

「そんなの大したことないじゃん。」

と思われるかもしれませんが、

この不便さにストレスを感じている方、

本っ当に多いのです。

 

特にお年の方にとって、

深刻な問題だったりします。

 

お年の方はごみを捨てる事自体が

負担になっていて、

ケガをしたりゴミ屋敷のきっかけ

となるケースが増えているのだとか。

 

国民生活センター発表によると、

高齢者のゴミ出し支援を行っている自治体は22.9%(2017年)

年々増え続けています。

 

またECコンサルの方いわく、

化粧箱や張り箱など頑丈な箱容器は

「捨てにくい」

との理由から敬遠されるケースが

かなり多くなっているそうで、

 

中身が良くてもゴツイ箱だと

もはや売れないのです。

ぼくの住む徳島市では、

プラスチックゴミの収集頻度はたった2週間に一回。

たまると面倒くさいのですね~。

 

また、公共交通機関もあまり無くって、

買い物に行く際には、

近所のお店へも

「車を使う人」が多数派です。

 

と、いうことは、じつは

卵のパックの耐久性は

もはや必要ない…!

と言えます。

 

要はお店→車と車→家の間だけ、

割れずにすめば良いんです。

 

そこで、12年ほど前から「スタンドパック」を活用しています。

卵とシールを入れて、上を熱でパチン。

これだけです。

 

捨てるときはペタンコになりますから、

ポテトチップスの袋よりも

かさばりません。

 

ペラペラ容器スタンドパックでの

販売のアイデアが出たとき、

スタッフからも

「こんな弱っちい入れ物、絶対クレームになりますよ。」

という意見がありました。

 

でも、いざやってみると、割れた、

というクレームは極めて少ないんですね。

普通の卵パック商品よりも少ない。

 

それはつまるところ「いかにも割れそうに見える」から。

 

お客様は、購入後の袋詰めでも、

上にダイコンを乗せるなんて

絶対に考えないですし、

車までも割と気を付けて運んでくださっているようです。

 

もちろん、歩きで買いに来られる街中のスーパーさんでは

こんなご提案はマイナスになりますし、

 

僕たちのお店までのご配達も

割れないようになかなか苦労する商品です(汗)

 

ようは、ご来店のお客様の

あらたなご要望に気づけた

それが良かったのですね。

 

そして、

卵そのものの

追求だけじゃなくとも、

価値を高める方法が

いくつもあるということ。

 

これも気づきですね。

 

ご飲食店さんでも、

お客様によってはおなじテイクアウトでも、

「容器の開けやすさ」とか「片手で写真の撮りやすさ」

なんて新しい価値があるのかもしれません。

 

ぼくたちも、

時代に取り残されず、

さらに進化していければな~と考えております。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ワクワクすること2021年08月21日