たまごの高度な防菌構造と、サイコロステーキの危険性
有名チェーン店の食中毒が話題になっています。
もちろん我々も含めて、安心安全は食の大命題です。
■サイコロステーキ(結着肉)はステーキより危険
でも、今回の事件は、いわゆる「サイコロステーキ」特有の問題でもあるんですよね。
通常、牛肉の内部にO‐157菌は存在しません。
調理時に、いろいろな媒介を経て肉の表面に付いた菌が、問題となります。
レアステーキでも、表面をしっかり焼くことで食中毒を抑えられるのはこのおかげです。
ただし、サイコロステーキ(結着肉)は違います。
これは、実は肉片をよせあつめた塊なんですよね。
結着剤といわれるもので、再度お肉をくっつけて形成しているんです。
なので、表面のO-157菌が内部に取り込まれている可能性が大いにあるんです。
なので、普通レアで食べられる牛肉も、サイコロステーキ(結着肉)の場合は中までよっっく火を通さないと食べられないことになります。
皆様も、量販店さんで買って調理される際は、ちょっとだけご注意を。
■たまごの高度な防菌構造
さて、 たまご。
実は、かなり頑強な防菌構造になっています。
まず、カラの外側にはクチクラ層という膜があり、菌の侵入を防いでいます。(注1)
次にカラの外側の卵殻膜。 二層構造になっていて、ここでも菌をブロックします。
そして卵白。
これも四層構造になっているんですが、卵白には卵白リゾチームという成分があり、なんと菌を溶かす作用があります。
これにより栄養たっぷりな卵黄を、菌から守っているんですね。
冷蔵で一か月近くも食べられる、卵の保存性のヒミツはここにあるんですね。
■調理時の危険性は・・?
もちろん、上記のサイコロステーキのようなリスクも、たまごに存在します。
たとえば、タルタルソースを作って常温放置するなど、たまごを割った状態で非加熱保存した場合。
これは、前述の防菌構造がまったく機能しませんので、リスクは格段に上がります。
時間のかかる料理や、割ってからある程度放置してしまったたまごは、よっっく確認して加熱した上でお召し上がり下さい。(^^)
(注1)洗卵ラインを通すと、ほとんど除去されてしまいます。相対的に菌リスクを減らせるため、現在は殺菌洗浄を行っているケースがほとんどです。
(参考文献)たまごの知識 ・タマゴ屋さんが書いたタマゴの本