構造科学者の考える完璧ゆでたまご(&その簡易版も)
一昨日出た英国ネイチャー誌にて
面白いゆでたまご調理法を
物質科学研究者が発表して
話題になっています。
ちょっとめんどくさい手法なんですが
実は
日本人ならカンタンな
方法がひとつだけあります。
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
イタリア・ナポリ大学の
物質科学(材料工学)研究者
エルネスト・ディ・マイオ博士
彼は発泡プラスチックが専攻なのですが
同僚に
「もっとクールなこと
やってみようぜ!?」
と言われて
じゃあ
完璧なゆでたまごを
つくろう!
・・・と研究をすることにしたのです。
「シカゴのミシュラン星付きシェフ、
カルロ・クラッコのお店は
52ドルもするたまごメニューを
出してるぞ。」
「それくらい
すっごい美味しいのを
かんがえよう。」
なんてチームで言いながら。
なぜ発泡プラスチックの専門家が
ゆでたまごを・・!?
と思われるかもしれませんが
何もおかしいことはなくて
発泡プラもゆでたまごも
「反応によってできあがる
高分子の立体構造物」
なのは同じなんです。
この発想、小林は
すっごい共感できます。
なぜなら僕も
大学院工学研究科で物質科学専攻、
高分子が専門だったから。
たまご屋になって20年経ちますが
「ああおなじ構造だなぁ。」
と考える事はよくあります。
後述しますが
僕も同じような思考で
ちょっと面白いゆでたまごを
考案したことがあります。
話を戻しますと、
◆材料工学的おどろきの調理法とは!?
ディ・マイオ博士の発表する
『完璧なゆでたまご調理法』
かなり特異的で面白いんですね。
①100℃と30℃のお湯を用意する
②100℃で卵を2分ゆでる
③30℃のぬるま湯に2分漬ける
④ ②~③を16回繰り返す
で、完成。
これ、なるほど理にかなってまして
「黄身の温度を上げすぎない」
というメリットがあります。
「黄身は白身より低温(65℃~)で固まる。
だから白身をしっかり固めようと思ったら
黄身に熱が通り過ぎるんだ。そこが難点だ。」
と博士もおっしゃってます。
たしかに。
しっとり半熟にしようと思ったら
温度や時間の管理が
味のおいしさにすっごく関係するんです。
このやり方だとたしかに、
100℃で黄身に熱が伝わりすぎる前に
30℃で加熱をやわらげられて
うまくコントロールできます。
例えるなら
のぼせないように
サウナと風呂を行き来する
・・・みたいなカンジですね!
以前、イギリスの研究者が
55分間低温でゆでる
という手法を提唱していましたが、
この方法もディ・マイオ博士は
「白身がしっかり固まらない。好きじゃない。」
と否定してます。
「低温で固まる黄身と
高温で固まる白身、
2つの異なる領域
それぞれに理想の温度を
加えたいんだ。」
というわけですね。
それが、
「16回お湯に漬けかえ」
という斬新な調理法なんです。
おもしろいな~。
で、ですね。
この素晴らしい理論を用いて
めっちゃカンタンにできる
究極のゆでたまご調理法が
あるんです。
◆小林の材料工学的ゆでたまご調理法
それは、
温泉玉子を茹でる
です。
温玉のカラを割らずに
ゆでてしまう。
すると、超しっとり食感の
美味なゆでたまごに!
ディ・マイオ博士の調理方法って、
ようは
「黄身をやんわり加熱
白身をしっかり加熱」
するためなんですが、
①『温泉玉子』調理をする
(ゆっくり黄身を低温で固める)
②それをサッと3分間
熱湯で茹でる。
(白身だけ素早く固める)
これでも
同じような効果になります。
じっさいやってみると
めっっちゃ
ふるふるしっとりとした
美味し~いゆで玉子に
なるんですよ。
つまり、
超簡易版ディ・マイオ博士風ゆでたまご
いや、温玉風ゆでたまご、でしょうか。
以前から
「温玉のゆでたまごって
かなり良いんです!」
といろんなところで語ってたんですね~。
今回の
ネイチャー掲載の論文から
「やっぱり間違ってなかった!」
とテンションあがりました。
まぁどのみち
通常のゆでたまごよりは
時間かかるんですが。
ただ日本には
「市販の温泉玉子」がございます。
ぜひ一度!温玉をスーパーで買って
茹でてみてくださいませ。
そしてもっと時間がある際は
博士の16回加熱くりかえし法もぜひ
ためしてみましょう!
ここまでお読みくださって
ありがとうございます。