小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

オムレツ 記事一覧

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

「中国のオムレツ」と呼ばれる

たまご料理があります。

『芙蓉蛋』(フーユンタン)といいまして、

たまごにエビとかタケノコとか

チャーシューを入れて焼いたものに、

上から餡やソースをかけたもの。

 

◆世界の料理に溶け込む「芙蓉蛋」

面白いことに、この芙蓉蛋は

世界中でアレンジのレシピがあるんです。

 

たとえばオランダの芙蓉蛋「Foe Yong Hai」は

スパイシーなトマトソースがかかってまして

中華とオランダ風が融合した

ステキ料理です。

これコンソメ味とジンジャーで

風味づけしてまして

 

さらにトマトソースですから、

だまって出てきたら

中華料理とは気づかないかも

しれません。

 

アメリカ・カナダだと芙蓉蛋は

大抵のチャイニーズレストランで

食べられる定番料理で、

ボクも米国で食べたことありますが

美味しかったですね~。

 

こちらはちょっと濃厚な

グレイビーソースが

かかっています。

あと英国でも

オイスターソースとケチャップを使った

芙蓉蛋を見かけたことがあります。

 

ちなみに、

日本でも現地版があります。

中華風味、具材と一緒に

たまごを焼いて

濃厚なソースをかけたもの・・・

そう、

ごはんonかに玉の「天津飯」です。

これって日本発祥なんです。

 

そして、そのおおもとは

世界に広がる“中華風オムレツ”

芙蓉蛋なんですね~。

 

個人的には、

さらに派生したのが

名古屋名物のあんかけパスタに

なっているんじゃないかと思ってます。

 

◆“芙蓉”は花の名前なんです

じつはこの中国たまご料理、

生まれはアメリカなんですね。

 

1950年代に米国のチャイニーズレストランで

はじまったもので、

それだけに広く海外に

出ていきやすかったのかもしれません。

 

ちなみに中国料理の

たまご料理って、

必ず「花」の名前が付くんです。

 

芙蓉蛋は直訳すると

『ハイビスカスたまご』

 

 

現地らしさを取り込み

ローカライズされながら、

世界に広がり、

 

それでも中国料理としての

地位を各地で築いている

中華風オムレツ「芙蓉蛋」は、

 

大輪の花を咲かせるハイビスカス

の名を冠するのに

ふさわしい料理だと言えますね。

 

ぜひ、和洋中問わず、

あなたのお店でも

アレンジできるのではないでしょうか。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 料理別・たまごのこだわり , オムレツ 2022年03月26日

今日はバレンタインですね!

甘味にかかわる卵のお話を少し。


こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

小椋佳さんの

「甘いオムレツ」という歌があります。

 

けんかっ早くて身勝手で

子供に作るオムレツとカレーには

喜ぶだろうと砂糖をたっぷり入れてしまう

不器用な母を偲んで思い出す…

そんな歌詞です。

 

しみじみする歌ですが、

この「不器用」の代名詞となっている

甘いオムレツ、

 

繁盛メニューとして

非常に可能性があると思っています。

 

『甘いオムレツ』は

なにせ、歴史がめっちゃ古い。

 

というか、

オムレツの起源はそもそも

「甘いスイーツなオムレツ」

とも言えます。

 

ローマ時代全盛期(紀元前一世紀~)に

美食家アピキウスさんが書いた

世界最古の料理研究書

『料理大全(De re coquinaria)』に載っている

「オムレツ」のレシピは

ハチミツのたっぷり入った

コショウ入りのもの。

 

ちなみにアピキウスさんの

大好物だったとか。

 

コレ、当時の言葉で

「オウェメーレ(ハチミツ入りたまご)」

と呼ばれてまして、

 

これが転じたのが

「オムレツ」の語源だろう、

とも言われています。

 

ローマ人からしたら、

今のオムレツの方が

「甘くなくてビックリ!」

なんでしょうね。

 

◆海外ではフツーに甘いオムレツがある

ちなみに海外では

甘く焼いたオムレツに

ベリーのジャムをたっぷりかけたり

 

ちょっとパンケーキ的にして

中にバナナやキウィなどフルーツを

生クリームといっしょに

たっぷり入れた

『スイーツオムレツ』が一ジャンルとして

人気になっていたりします。

甘いのも食事も両方いける。

ちょうどパンケーキが甘味とベーコン等塩味

どちらも合うのに似ているかもしれません。

 

そういえば、日本でも

甘い玉子焼きがありますもんね。

オムレツだって甘くても良いんです。

 

◆低糖質スイーツとしての可能性

パンケーキとくらべて

『スイーツオムレツ』のメリットは、

「低糖質」が挙げられます。

いや、もちろん糖質は使いますが、

小麦分が少な目だったりして、

 

パンケーキや

ショートケーキよりも

「ヘルシーで美味しい」

そんなイメージの

人気カフェメニューにもなり得るんです。

 

これから流行ってくるかもしれません。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

(関連:たまご料理の魅せ方に歴史を乗せる(最古の玉子料理)たまごのソムリエコラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , 料理別・たまごのこだわり , オムレツ 2022年02月14日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

お世話になっているラーメン店さんにお邪魔したら、

扇子が置いてありました。

これは、コロナ禍で

マスクを外した状態で

会話をするための

ツールですね。

なんだか優雅ですね~。

話す際に口元を隠すのは、平安時代のマナーだそうで、

 

コロナ禍で

1000年前のマナー復活!

なんて、なんともワクワクします。

 

食事中の感染防止のためには、

こんな専門の道具もありますが

やっぱり優雅さがちがいますね~。

 

さて、たまご料理も、その味だけじゃなくて

温故知新、古きものの『魅せ方』で

ずいぶん印象が変わります。


〇『世界最古』のイメージを活用してみる

世界最古の料理本は

紀元前一世紀ごろローマの

『料理大全(De re coquinaria)

でして

 

美食家として有名な

アピキウスさんが書いたもの。

 

たまごのレシピがいくつも載ってまして、

「ミルクとハチミツ、塩コショウと

たまごを混ぜて焼き固めたもの」

が紹介されています。

要は「オムレツ」ですね。

つまり、

最古のレシピ料理は
オムレツ

なんです。

 

この『最古』イメージを演出するのは、

あなたのお店のメニューで、

オムレツの付加価値づけ

として面白いかもしれません。

 

ちなみにイタリアでは古く、

オムレツのことを

「たまごサカナ」と呼んでいました。

 

これは、オムレツの形が

なんだか魚っぽいところから来ています。

じっさい、

ポンペイ遺跡では

魚のカタチをした

細長いフライパンがいくつも出土していて、

 

これはオムレツ用なのでは

言われているんです。

 

その頃のローマ料理は、

・コショウなど強めのスパイスをたっぷりつかう

・ハチミツを多用している

・ガルム(塩漬け魚を発酵させた“魚醤”)を使う

・オリーブ、ブロッコリ、アスパラ、チコリなど現代でも残る野菜を使っていた

こんな特徴がありました。

 

ですので、

「最古のローマ風オムレツ」

なんてカンジにメニュー化するなら

➀砂糖の代わりにハチミツを使う

②魚を模した装飾をしてみる

③スパイスをしっかり効かせる

④チコリなど野菜もしっかり添える

 

なんて風に

作ってみると良いのではないでしょうか!?

 

ぜひ、ご繁盛メニューの箔づけとして、

『最古のメニュー』を

ご活用くださいませ~。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 料理別・たまごのこだわり , オムレツ 2021年11月21日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

米国人フードジャーナリスト兼シェフ

J・ケンジ・ロペスアルト氏の本

『The Food Lab』に

 

スクランブルエッグに塩を入れるタイミング

という話が載っていました。

 

・塩を入れるタイミングで食感が変わる

・火にかける15分前に塩を入れるとしっとりやわらか食感になる

 

とのことで、

やってみると、

確かに滑らかさやしっとり感がだいぶんちがうんですね。

 

理由としては、

塩には、

卵とくに黄身の

タンパク質結合を弱める作用があります。

 

それにより、

熱の入りすぎによる凝固や離水を

ある程度防ぐ効果があるんですね。

ちょっとした工夫ですが、ぜひお試しいただければと思います。


さて、ここからはチョットした気づきの話です。

 

塩を入れるタイミング、みたいな

意外とこういう『素朴な手順』って、

プロの料理人さんでも

一度習ったら

あまり変えない人も多い気がしますね。

 

ですが、意外とそこに理由があって、

変化させてみることで

新たな気づきや進化があるんじゃないかと思うんです。

 

以前、ある取引先の人気パン屋さんのオーナーさんとお話していた際、

「さし水」の話を聞いた事があります。

 

彼が修行中していたころ、

パンの焼き上がり直前に、

コップ一杯の水をサッと釜の中に入れろ(かけろ)

と言われていて、

 

以来ずーっとそれを、

自分の店を持ってからも守り続けてきたんだそうです。

ですが、ある日ふと、

これ?いったいなんのために

やってるんだろう??

って考えたんだそうです。

 

じっさいやめてみても、

変わらず美味しくできるな…??

 

で、調べてみたら、

「昔の焼き釜(オーブン)はスキマが多くて、水分が逃げやすい。なので最後に足す必要があった。今のオーブンでは必要ない」

という事がわかったのだとか。

 

昔は正しかったけど、

意味がない行為だった。

こんなことって、いろんな業界であるんじゃないでしょうか。

 

たとえば、

ゆでたまごの作り方は、

以前はどの料理本をみても、

「水から茹でる」って書いてありました。

 

でもやってみると、

沸騰したお湯から茹で始めた方が、

はるかにラクで、

正確な茹で加減の半熟たまごができます。

いや、どちらでもイイんです。

水でもお湯でも、美味しくできますから。

でも、タイミングの難しさが段違いなんですね。

 

プロの料理人さんでも、

この事をお伝えすると

「ビックリしたよ!こっちの方がカンタンじゃん。」

って言ってもらえることが何度かありました。

 

上記のスクランブルエッグも、

昔は鮮度の低い保管状況の悪いたまごが多く流通していて、

食感を緩める必要が低かった

 

でも今は鮮度が良いたまごが多く、

ふわふわ感を出すために塩でたんぱく質の結合を緩める必要がある。

そんな理由もありそうです。

 

ぜひ、あなたのちょっとした調理手順も、

ちょっと理由を考えてみることで、

より美味しいたまご料理のヒントがあるかもしれませんね。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 料理別・たまごのこだわり , オムレツ 2021年10月23日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

本日6月2日は、「オムレツの日」です。

0 6 0 2 でオ ム レ ツ なんです。

もう一つの意味としては、6月が一年中で一番オムレツが良く食べられる月なんだそうです。

なんで6月なんでしょうね…!?

どうやって集計したのかも少し気になります。

オムレツを一言で言うと、

「近代フランス料理の父」

オーギュスト・エスコフィエさんが現した一言が的確です。

『オムレツはスクランブルエッグを卵の薄皮で包んだもの』

なるほど。

なので、最初はスクランブルエッグを作るつもりで

てばやく混ぜ中央に寄せ、

最期にその周りを薄く包むつもりで焼いていきます。

これが美味しいオムレツのコツを一言で表したものですね。

ご家庭で作られるオムライスもステキですが、

黄身トロふわのオムレツ、

たまに作ると絶品ですよ!

(関連:映画「ディープブルー」に学ぶ、最高のオムレツをつくるコツ | たまごのソムリエ面白コラム

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

台湾の人達は、とにかく卵料理が大好き。

コンビニでも煮玉子がたーくさん売ってまして、

観光地でもいたるところで、オバちゃんが売っている煮玉子を食べられます。

さて、そんな台湾の屋台名物、

 一品料理(小吃(シャオチー))

と言えば、「蚵仔煎」(オアチェン)です。

『牡蠣入りオムレツ』と訳されることが多いようです。

これ、いやホント、めっっちゃ美味いんですね!

小林は、もう18年ほど前に台湾に貧乏旅行をしたことがありまして、

その時に初めて食べたんです。

衝撃的うまさに、感動の嵐でした。

お店ごとに味やこだわりどころも違って、飽きることがありません。

そういう意味では、以前ご紹介した

タイのオムレツ「カイチオ・ムーサップ」

と似ているかもしれません。

 

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このオムレツだけじゃなく、

 

台湾屋台の屋台文化はすごいんですね。

多様性、いろんな料理がたのしめますし、どれも美味しい。

百花楼蘭ぶりにスッカリ魅せられてしまいました。

ゴマ団子などの“点心”やスイーツ、

中華粥のお店、

日本式のうどんの屋台だってあります。

以来、「仕事」として台湾を訪れることもありますが、

移動中も「町の屋台」が気になって気になって仕方ないんですね。

ぜひ、台湾に旅行した際にはこの牡蠣オムレツ、

そして屋台の味をお試しあれ。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。