小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

面白たまご話 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

夏は納涼!です。

水木しげるさんの妖怪にたくさん
触れてきましたので刺激を受けまして
昨日につづいてちょっと妖怪ばなしを。

 

たまごにも妖怪っているんです。

いくつかありますが、
たとえば長野県飯田市の伝承で、

食べるとどんどん増える卵

というものがあります。


山に入った男が鳥の巣から卵を獲ってきた。
8人で集まって「煮て食べよう。」
ということになり

皆で食べたところ・・・

いくら食べても食べても、

食べるごとに
卵がどんどん増えていく
・・・

『これは神さんの卵だったんだ・・!
罰があたったんじゃ!』

と恐れおののき、神社へ行って
日待ち(寝ないで朝まで祈祷すること)
をしたという。


うーん、
消費するほど増えるたまご。

たまご屋としては少々
うらやましいですが、

実際そんなことになったら
めっちゃ怖いですね!

 

ドラえもんのバインバインみたいな
恐怖感があります。

じっさいの所、
たまごを獲って食べるのは、
江戸時代までは
仏教で禁じられていました。

平安時代に書かれた仏教の説話集でも、
「たまごを煮て食べて罰が当たる話」
が出て来ます。

また、卵=畏れ敬うもの
というイメージもありまして、
高僧の行基さんなど立派な人が
卵から生まれたとする逸話も
アジアにいくつもあるんですね。

つまりこの卵増殖おばけ伝説も、

ばちがあたるから
卵は大事に扱えよ

という説話ですね。

 


もうひとつ、
お隣韓国には
超有名な卵妖怪がいます。

卵鬼神

って言います。

ちょっと新しめの妖怪(都市伝説?)で、
学校のトイレに出るんだそう。

 

細い手足がついていて
逆立ちになって手で歩く

歩くたびにアタマのカラ部分があたるため
近づいてくるとコンコンコンと音がする

 

個室に入っていると、
さかさまなので下から覗いてくる・・・

なかなかシュールですねぇ。

日本で言う「トイレの花子さん」
的な感じです。

韓国の卵妖怪と日本の女の子おばけ、
どっちが怖いでしょうね。


ちなみにヨーロッパにはほぼ
たまごの有名な怪異的存在は
いません。

どちらかというと逆で、

たまごは『聖なるもの』

のイメージが強いんです。

たまごをぶつけて
悪い竜を退治する伝説とか

たまごのカラで悪い妖精を
追っ払う話とか、
やっつける側なら
それはもう、
た~くさんの伝説が
残ってます。

 

卵=聖なるもの
というイメージが、
キリスト教普及後も残っていて
イースターなどの卵お祭りに
繋がっているんですね~。

インバウンド需要などでの
飲食店さんのたまご表現にも、
もしかすると差が必要なのかも
しれません。

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

(関連:【納涼】たまごのちょっと怖い伝説 その1 | たまごのソムリエ面白ブログ

(関連:たまごが竜を倒す伝説 | たまごのソムリエ面白ブログ

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2023年07月24日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前にオーストラリア在住の方がSNSで

まんまるな卵を見つけた!

とアップして話題になっていましたね。

 

この投稿をInstagramで見る

 

JACQUELINE FELGATE(@jacquifelgate)がシェアした投稿

おお~!!
たしかにまん丸ですね!

メルボルンの
ウールワース・フィッシャーマンズ・ベンドで
買ったパックに入っていたのだそうで、

「たまたま買ったらまん丸だった。
ググったら10億分の一らしい。
すごい!」

「以前に1400ドル(13万4千円)で
売れたらしい!」

なんてコメントを動画に付けUPしています。

 

エッ!?ホントにそんな高いの!?

→はい、その通りでして、
2年前に英国でまん丸たまごが見つかって、
その際はオークションにかけられて
1400ドルで落札されています。

その際のは、
こんな↑の〇フォルム。
どっちもすごいですね。

一個13万円のたまご!です。

 

◆なぜ定期的に出てくるの!?

じつは、他にも
何度か真球の卵、
まん丸たまごは見つかってまして、

たとえば
7年前、9年前にも
まん丸たまごが見つかって
現地のニュースに取り上げられています。

7年前がコレ

9年前がコレ↓です。

どれも良いカンジの
美しいフォルムですね~。

その際は480ポンド、約8万円の落札でした。

 

しかし、
なんで時々出てくるのでしょうか?

それは・・・
たまごの世界的生産量が
圧倒的だから!
なんです。

 

世界にはなんと
110億羽のニワトリがいます。
それが、日々たまごを産でくれているのです。
これは畜産動物としての飼育数では
圧倒的に!ダントツで!
ナンバーワンなのです。

2番目のウシは13億頭ですし。

 

ちなみに日本だけでも年間400億個の
たまごが農場で生まれていますから、
理論上はおなじレアなたまごが
毎年見つかってもおかしくないわけです。

 

もっとも、
ウチではここまでまん丸のものは
僕も記憶に無いですから、
あんがいそのままスルーされ消費になるか、
規格外としてはねられているんでしょうね。

 

※一度だけウチでも、
まん丸に近いためパックの
側面を圧迫してしまい、
シールしたときに卵がこすれ
傷ついてしまい
お叱りをいただいたことがあります。

 

結局のところ、
カタチがちがうだけ、
同じたまごでもこれだけ
価格に差がでてくるのです。

『希少価値』は商売の本質でもあります。

お店の繫盛メニューでも、
どれだけ希少価値をだせるかに
かかっている、その証明みたいな
たまごのできごとですね~。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2023年06月29日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

徳島駅の真上にある駅ビル
クレメントプラザがあるのですが、
できて30周年経つのだそうです。

徳島新聞からこんな記事が出てまして
徳島の方でしたら「なつかしいな。」と
感じるかもしれません。
僕も、徳島駅前が
「なんとなくカッコよくなったなあ。」
なんて新鮮に思ったのを覚えています。

 

 

で、ですね。このニュース写真ですが、
いやいや、ちょっとまってください。

めっちゃ古く感じますね!

これ、30年前だよ・・・。

よく考えると『たった』30年前で、
白黒なのもおかしいのでは。

 

僕が18の頃ですが、
思いっきりカラー写真がありまたし、
なんならデジカメだって普及してました。

おそらく新聞としての記録からキャプチャ
しているので、白黒なんでしょうが、

今の十代の若者だと、
ザっと読み流していると
昭和初期や大正時代くらいの
古いイメージを持つかも
しれません。

 

◆どれくらい古いか分かってないことも!?

この数十年で言いますと、
記録媒体がしっかり残っていることから、
鮮明な記録の期間が長くって
逆に時代を混同しがちなことが
いくつか出てきているんだそうです。

 

特に若い方にとっては、
平成バブル時期のことを
戦後すぐくらいのかなり古い
イメージで誤解していたり、

逆にファミコンができて40年近く経ちますが
けっこう最近のことだと
思っていたりもするんだとか。

 

◆歴史感を出しやすい時代かも

ですので、飲食店さんでも、
割とそこまで古くなくても
演出次第でちょっとレトロ感を
メニューで出したりとか、
イメージさせやすくなっているかもです。

シズル・写真でもPOPでも、
懐かしいイメージや白黒イメージ、
セピア色イメージなんかを
うまく活用していくのも
手じゃないかと思います。

(関連:レトロ感のあるたまご料理3選 | たまごのソムリエ面白コラム

 

◆鶏卵で撮れる写真って!?

余談ですが
古い写真の『セピア色』しているのは

たまごで現像した写真です。

↑こんなカンジの色をした写真ですね。

「鶏卵紙」って言いまして、
卵の白身を紙に塗り固め、
撮影直前に硝酸銀の溶液に漬けたもの。

19世紀中ごろに発明され、
幕末や明治初期あたりの写真は
すべて「鶏卵紙」の写真なんですね。

坂本龍馬の有名な写真も
たまごで撮ったものです。

たまごとつながりの深い『レトロ感』
ぜひあなたのお店のご繁盛のきっかけに
なりましたら幸いです。

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2023年05月8日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

毎年恒例、
干支とたまごについてのコラムです。

とはいえ、
今年は卯(うさぎ)年ですから
ウサギとたまごの関係です。

じつは卵屋としては
「あまり特別感がないなあ。」
というのが本音です。

つまり、
たまごとウサギの関係って
「あたりまえ」なのですね。

 

◆春と生命・多産の象徴がウサギとたまご

古来より欧米では宗教的に
ウサギとたまごでワンセット
なんです。

たまごとウサギは欧米で
どちらも生命の象徴。

たまごは見ての通り
すべての必要な栄養素が詰まっていて
ここから生命が生まれてきます。

そしてウサギは、
沢山の子供を春になると産みます。

卵は生命と復活の象徴、
多産であるウサギは豊穣の象徴

つまり、
キリスト教圏の春の重要祭事
イースター(復活祭)の象徴が
たまごとウサギなんですね。

ですので、
イースターのだいたい一か月
くらい前になると、欧米では
卵を持ったウサギのぬいぐるみとか

かわいいウサギの絵が描かれた
たまごグッズなんかが
た~くさん売られます。

いやホント、めっちゃ並ぶんですよ。

たまご屋としても
街中にたまごグッズがあふれ、
めっちゃテンションあがる時期でもあります。

イースター市場は
日本ではまだだいぶ小さめですが
伸び率で言うとかなり大きく、

将来的にはバレンタインと
同じくらいになる可能性だって
予想されています。

そうなると日本でも
たまごとウサギが
春にあふれかえることに・・・!

これはワクワクします。

ちなみに復活祭とは
イエス・キリストの復活祭のこと。

ですのでイースターって
キリスト教のお祭りなんです。

ですが卵とウサギ、
この2つはキリスト教義とは
じつは全く関係しません。

聖書には、
卵もウサギもほとんど出てこないんです。

卵で言うと、

「サソリの卵」と「ダチョウの卵」

がでてくるくらいですし、
しかも恩知らずの比喩としてです。

ウサギはと言いますと

「ひづめが割れていないから
ウサギの肉はけがれていて
食べてはいけません。」

みたいな表記が2か所ほどあるのみ・・・

むしろどっちも
あからさまに聖書の記述から
「あえて外されている」
とも感じるくらい。

たまごとウサギは、
キリスト教以前の
原初の地域的な信仰というか
お祭りにこの2つは広く
使われていたのだと考えられています。

例えばたまごを生命の源
として祀る原始的な信仰は
世界中にあります。

おそらく、キリスト教は
そういった土地々々の信仰を
駆逐する立場でしたが、

キリスト教が根付くにあたり
もともとあった「たまご信仰」
「ウサギ信仰」とミックスして
しまい今に至る・・・

そんなカンジのようです。

たまごに関する人類の愛情を
感じる一例で、とても興味深いです。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2023年01月2日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

今月お送りしたニュースレターでちょうど70号になりました。

「お客様にプラスになる情報届けましょう!」

「ニュースレターにしましょう!」

「毎月が良いですね!」

経営方針会議での
K部長の一言から始まりました。

「ま、毎月・・!?続けられるかな・・。」

なんて最初は
ちょっとためらいましたが、
なんだかんだ伝えたいことや
面白いご報告はいくつも
ありまして、

また取引先さまの激励もあって
ここまでつながっております。


さて、僕たちのニュースレターには

『たまごのイラスト』

がたいてい載ってるんですが、

これはこばやしが描いてます。

当ブログのイラストと
あわせて使ってますが、

ヘンなキャラクターのものが
練習も含めて
たくさんたまってきました。

時々驚かれるんですが、
これマウスで描いてます。

フツーの(?)マイクロソフトの
ソフトを使ってます。

〇とか□とか線の組み合わせで、
慣れるとなかなか楽しいんです。

描いていて思うのが

「たまごって描くのがラク!」

ということですね~。

もうカタチが決まってますから。
あと手と顔と足を足すだけで
なんとなくキャラクターになっちゃうんです。

そして、販売するときや
何か情報をお伝えするときに
やっぱりキャラクターがあると
伝わり方が違う気がします。

 

◆2分で描けるたまごイラスト!

メニューでも
何かイラストが添えられると
やわらかく伝えられることもありますよね。

たまご料理の場合、

たとえばオレンジっぽい黄色の〇をかいて…

白っぽい影を上につけて・・・

下に白身っぽい楕円をいれるだけで
それらしく見えます。

玉子焼きだともっと分かりやすくて、

黄色い四角に箸っぽい線を重ねるだけで
玉子焼きに見えます。

なんと!
エクセルとかワードで描けちゃうんですよ。

たまごのこだわりなどを
お店のメニューで伝える際など
ぜひたまご料理の絵も
添えてみてはいかがでしょうか!?

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2022年12月29日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

かつてニューヨークのあらゆる
ダイナー、アイスクリームパーラー
で提供されていた美味ドリンク

「エッグクリーム」

なる飲み物があります。

「エッグ」「クリーム」の
ネーミングからちょっと重そうですが、

わりかし爽やかな飲み物で
きめこまな泡と炭酸に
ミルクの口当たりが特徴です。

いま50代以上の米国人
都市部で暮らした人たちは
このドリンクを飲むと、めっちゃ
強烈なノスタルジーを感じるんだとか。

「うわ~~!これ懐かしい。
めっちゃよく飲んだよなぁ。」

実際とても美味しいドリンク
ですがそれ以上に、すごく貴重な
『付加価値』が上乗せされているカンジです。

日本でいうなら、
なんでしょうね・・?

バニラアイスの乗った
クリームソーダとか
そんなカンジでしょうか。

NYブルックリン生まれ、
マイケルジャクソンの作詞
作曲・音楽プロデューサー
として有名なエリオット・ウィレンスキーさんは
子供の頃をふりかえって

「少なくともブルックリンでは、
エッグクリームを置かない
キャンディーショップは、
重力のない地球と同じくらい
考えにくいことだった。」

なんて書いているくらい。

うーん、すごいですね。

下町ブルックリンが発祥の地
なのですが、記録では、
暑い日にはこの町だけで
一日12000個も売れたそうで、
とにかくすんごい人気だったわけです。

これはステキな魅力だなぁ。
すばらしいなぁ。

そう思い調べてみて
すぐ気づいたんですが

じつは・・・

このドリンク
『エッグクリーム』には

「卵」も
「クリーム」も
いっさい使われてないんです。

ぶっちゃけると

「チョコレートミルク炭酸割りに
上に泡が乗っているだけ」

というシンプルな飲み物。

ええ~~!!?

いや、美味しんですよ。

でも、たまご屋としては
「その名前でいいのか!?」
とツッコミを入れたくなりますね~・・。

 

◆もともとは卵ドリンクだった!?

じゃあなんでこんな名前に
なったのかというと、
実は起源もハッキリしていません。

「まずしい下町的な場所だけど、
リッチっぽいドリンクを飲む」
という高級イメージ先行のため
「エッグ」とか「クリーム」
という名前を付けた説とか

当時出していた店で客が
「等級A(エー)のクリームで
作ってくれよ♪」みたいな
投げかけをしていたら、
それが訛ってエッグクリームに
なった説もあります。

日本でレモネードが
安価なレモン無し飲料となり
訛って「ラムネ」になったのと
ちょっと似ていますね。

また、
最初は卵を使っていたから
という説もあります。

ただのチョコレートソーダに
卵白をふわふわに泡立ててのせる。
すると、2倍の値段で売れる!

商売の付加価値アップですね。

その後、冷蔵庫が普及したので
「卵白」から「牛乳」に変わったんじゃないか。
・・・という説です。

ホイップクリームを乗せるのも
たしかに美味しそうです!
個人的にはこれを推したいですね~。

なんにせよ、百年の時を超えて
ノスタルジーと共に多くの人を魅了するドリンクです。

今の商売や新メニューのヒントも
その魅力に隠されているんじゃないでしょうか。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:What Is an Egg Cream and Why Is It So Jewish? | The Nosher

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2022年12月16日