小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

あなたのお店の

「違いの伝え方」について、お話をします。


初水揚げサンマのニュースが出てましたね。

今年はかなり水揚げが少なくて

競りの結果が記録的高値、

昨年の倍以上になってまして

なんと1匹約3500円での販売スタートとなるのだとか。

 

漁獲高減は問題ですが、

面白いと思ったのは、

その価格

 

競り、ということは、

「高いな」と

「この値段でも欲しい」が

つりあった結果なわけです。

 

3500円でも欲しい

という人が現実にいるからこその値段。

 

たしかにサンマ美味しいですもんね~。

じゃあ、来年さらに倍の7000円になったら

買うでしょうか?

5倍になったら?

 

それでもめちゃめちゃ好きな人は買いそうな気もします。

ウナギなんて、高くても皆食べてますもんね。

 

もしかすると、

サンマの価値って

もともと3500円なのかもしれません。

 

ふだんの一匹200円、がオカシイのかも‥‥

 

ちょっとぼくたちの話をしますと、

以前、

ある製紙会社の

社長さんに、

「卵とトイレットペーパーって価格競争の極みですよね。お互い頑張りましょう。」

と激励されたことがあります。

 

そう、卵=特売=安い

というイメージがあります。

 

なぜか?

全国のスーパーさんで、

卵を特売しているからです。

 

しょうがないですよね。

 

…いや、ちょっとまってください。

 

どのスーパーの卵も、

基本はちがう農場のたまごです。

 

じゃあ、ホントなら

東京のスーパーさんで卵が安くても、

大阪で卵が安い理由にはならないはず。

だって、別物なんだから。

 

つまり、

お客様が

「どれも同じだよね。」

‥‥‥と思っていること。

 

これが、安いイメージの真の理由なんです。

 

では、

あなたのお店のメニューは

いかがでしょうか?

ライバル店さんとの違い

を説明できてますでしょうか?

 

わかりやすく言うと、

『コーラ』になっていませんか?

ということです。

 

コーラって日本中どこでも売っていて、

もちろん味もおなじ。

 

「同じコーラだったら

10円でも安い店がいいよね。」

だれでもそう思います。

こうなっていないかどうか‥‥‥

これ逆に言うと、

「違いがあれば

お金を出してもいい」

と、お客さまは考えているということ。

 

「そりゃ、もちろん

説明してるよ!

ウチは〇〇がヨソと違ってて

美味しいって、

きちんとメニューにも

HPにも書いてあるよ。

こだわってるんだ。

一緒にしてもらっちゃ困る。」

 

そうおっしゃるかもしれません。

実際その通りだと思います。

 

ただ、

その「伝え方」は

 

ほんとうに、

あなたのお店の魅力を

ちゃんと伝えられている

でしょうか?


僕たちが、

お客様のお店と

メニューの打ち合わせをする際に、

よくする話があります。

 

ボクの手元に

「47都道府県・地鶏百科」(丸善出版)

という本があります。

 

これには各県ごとに

千種類ちかい

地場のこだわり卵が

紹介されています。

 

しかし!

『水と飼料にこだわっています』

『安全・安心です』

『自然豊かな〇〇の地で生産しています』

 

…と、大別して

この3パターンの

商品PRをしている

「こだわり卵」が、

なんと半分以上

なんです。

 

いや、もちろん、

どれもめっちゃ大事で、

すばらしいこだわりですよ?

 

でも、

『違いがあって』

『こだわっている』ことを

伝えているつもりでも、

 

残念なことに、

「どこも同じことを言っているよねぇ。」

 

……と、

お客様にそう思われてしまっている

可能性があるわけです。

 

「〇〇県産の
水と飼料にこだわった
純国産鶏の卵」

「△△県産の
豊かな自然と
こだわり発酵飼料
で育った卵」

いったいどっちが上か下か、

一読して分からないですよね?

 

「食べてもらえば分かる!」

と思うかもしれませんが、

正直、食べてもらえないから

皆困っているわけです……。


あなたのお店の魅力も同じで、

すくなくとも

ライバル店さんとくらべて

 

「こりゃ違うよね。」

 

と言ってもらえる

『伝え方』じゃないと

いけないんですよね。

 

もちろん、上記のような

こだわりどころは

必要ですが、

 

「近所のライバル店も

小麦粉にこだわっていて

ウチも小麦粉にこだわっている」

 

「ライバル店は

地元産こだわり卵使用

をウリにしていて

自分達もそう」

 

なんてカンジだと、

チョット別の切り口で

伝える必要がある!

ということです。

 

僕たちは、お客様と

かなり長々と、

その部分の打ち合わせを

することがあります。


たとえば、

 

ウチの近所の飲食店さまなら

『当店から

歩いて5分の距離

で生まれた新鮮たまご

を使用しています。』

と書いてもらい、

 

東京のお客様には、

『四国の自然を活かす

放し飼い農場のたまごを

産みたて当日に直送

してもらっています。』

 

と、アピールしてもらう。

コレ、

どちらも同じことを言ってますが、

 

伝えている『価値』は、

 

一方は『近い』

もう一方は『遠い』『わざわざ』

を“魅力”として言っているわけです。

 

なぜなら、

どちらも近所のライバル店さんで

言ってない(言えない)ことだから。

 

これはホンの一例ですが、

ひとつのたまごでも、

風味

育て方

考え方

飼料‥‥‥

いろ~~んなこだわり価値の

伝え方ができます。

 

たまごに限らず、

お店のいろんな素材と魅力を

違いとして伝えていければ、

 

「たとえ有名店が隣に来てもカンケーない。」

となって

 

もし、

そのご繁盛のお手伝いが、

 

たまご屋として

たまごのソムリエとして

できれば、

 

こんなワクワクは無いな!!

 

そんな風に考えてます。

 

それで83種類のたまごを

作り分けしているんです。

 

ぜひ、

あなたのお店がワクワクいっぱいでご繁盛しますように!!

 

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2021年08月19日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまごはお店の

繁盛提供食材

です。

理由は2つありまして、

➀差別化メニューが作りやすい

②利益が取りやすい

本日はこのうち、②についてちょっとお話を。


こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

正体不明の路上芸術家

バンクシーさんが、

英国で描いた

作品を公開しました。

ステキな絵ですね~。

…ということは置いておいて

個人的に興味深いのは、

 

こんな風に

路上に描いたものでも

「売っちゃう」

人がいるんですね。

 

アクリル板で保護したり、

壁ごと削って外して

売ったり。

 

「売れないようにカベに描かれたもの」

なのに

でも売っちゃう

 

そこに、なんというか

たくましさを感じます。

 

欲しい

でもカベだしな…

と思う人がいて、

 

そこにアンサーを出せるなら

価値高くなるわけです。

 

是非はともかく

この貪欲さは

見習うべきですね。

 

さて、

あなたのお店のたまご料理で

粗利を取ろうと思ったら、

たった一つ

重視しないといけないことがあります。

 

それは、

「自分じゃできないなぁ。」

と感じる料理であること。

 

一言で言うと

「めんどくさそうな料理」です。

 

カベを外すのとおなじですね。

 

キューピーが毎年出している

「たまご白書2020」によると、

『食べたいけども卵を制限している理由』

 

として、

「調理をしないから」

「調理がめんどうだから」

「時間がないから」

つまり『作りたくない』

合わせて40%近くあります。

う~ん

なるほど

分かりますね~。

めっちゃ手の込んだオムレツとか、

 

準備の面倒くさいわりに

チャンと作れない

ポーチドエッグとか、

 

作ってくれたら

ホント幸せ…

って気分になります。

 

これが、外食で

あ、このたまご料理が食べたい!

という気持ちにつながるんですね。

 

以前に、ウチでも

たまご料理のメニューごとの

価格イメージ

をアンケート取った事があります。

 

すると、

面倒くさそうな料理ほど、

高い価格イメージ

の回答があるんですよ。

 

たとえば

『ゆでたまご』は安い

『温泉たまご』はちょっと高いもの

そんなイメージの人が

多いのです。

 

もしかすると、

あなたもそうじゃないですか?

 

じっさいは

どっちも熱のかかり方が

違うだけですから

コストも

おなじくらい。

 

でも、

「ゆでたまごなら、ウチでつくれるなぁ。」

そう思ったら、

「安いもの」

と感じちゃうんですね。

 

温玉の方がめんどくさそう。

だから、

高く売っていても

当り前と感じる。

 

データでは、だいたい5倍~10倍くらい高く感じる。

すごいですよね。

ちょっとの差なのに。

 

ようするに、

サラダに乗せるなら

『ゆで卵スライス乗せサラダ』

よりも、

『温泉たまごのシーザーサラダ』

の方が、

メニュー単価が高くても

お客様は納得される

ということです。

 

だって「高い」と思っているから。

 

だいたい、

温玉が入ると100円プラス

くらいでも

納得性があるようです。

 

サラダメニューで100円利益が違ったら、

年間どれくらいになりますでしょうか?

 

もし、「ゆでたまご」で単価をとるなら、

ディズニーランドのような

なにこれ!?超スゴイ!

 

って言ってもらえるような

ゆでたまごにする↓

そうすると、

やっぱり単価がとれます。

つくれなさそうだから。

 

これ、もちろんたまご料理に限りません。

世の中に、そうめん専門店が

ラーメン専門店より

はるかに少ないのは、

 

「家でつくれそう」

と思われやすいから。

「すごい!」と思わせる

よっぽど上手なしかけが必要です。

 

そして、

たまご料理は特に

「家で作れなさそうでしょ!?」

というイメージを出すと

単価UPしやすい食材です。

 

おいしい玉子料理には技術が必要だから。

そんな一面が理由のひとつ。

 

でも、

調理テクニックだけじゃなく

めっちゃ

片付けが面倒な料理とか

手間ひまかけたものとか

 

こんなメニューも

利益UPになります!

 

たまご料理は特に面白くって、

料理法ごとだけじゃなく、

わずかな工夫で

感じる価値に

大きく差がでます。

ここが利益のねらい目です!

だから繁盛提供食材なんです。

 

たとえば「目玉焼き」なんて、

ホンのちょっとした工夫で

 

超高いイメージになったり、

「こんなの家でもできる、

安っぽいよね。」

となったりするんですよ。

 

単品で1万円超える単価の

人気目玉焼きだってあります。

 

ぜひ、めんどうくさそうに「見える」

高利益たまご料理

考えてみてくださいませ!

 

あなたのお店が

めっちゃ繁盛しますように!

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

 

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2021年08月15日

バリエーションが豊富で

原価率を下げやすいたまご料理

 

これがお店の人気メニューになると

総粗利は格段にアップします。

 

しかも、

たった「一言」でその注文数が2割も増えたら

うれしいですよね!


こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

東京オリンピック開催中は

世界の記者さんや選手さんが

SNSで多くの発信をしてくれました。

 

その中でも話題となっていたのが、

コンビニのお菓子

 

ジャンボモナカ

雪見だいふく

なんかで感動したツイートがバズっているのをみて、

ウンウン、そう、美味いよね~!あれ。

なんて同意した人も多いんじゃないでしょうか。

 

コンビニの食品って、

僕たちが学ぶべきところがギッシリなんです。

 

そのひとつが、

食感の「オノマトペ」

モノの様子をあらわす言葉で

 

「ふわふわ」とか

「もっちり」とか

そんな言葉ですね。

これがと~っても上手い!

 

ただ「クッキー」より

『サクサクのクッキー』

の方が、ずっと食べたくなります。

『ハンバーグセット』よりも、

『ジュワーッ!肉汁たっぷりハンバーグ』です!

セブンイレブンにあった↑

『もちぽにょ』シュークリーム

なんて、いったいどんな美味しさなのか

想像力をかきたてられますよね~。

 


〇メニュー倍増!オノマトペ表現のコツ 2つ

その➀ プラスのオノマトペを使う!

どんなオノマトペでも良いわけじゃないです。

ぷ~ん

ドロドロ

 

とか、無意識に汚い・イヤ~なイメージの言葉もあります。

珍しさも大事ですが、

必ずいろんな方にチェックしてもらって、

攻めすぎないようにすべきですね。

 

その② とにかく「食感」!

おすすめなのは、

食感のオノマトペ

 

『スッキリ!』

『ピリッとした』

みたいな味や香りのオノマトペよりも、

 

圧倒的に!

『もちとろ』

『ふんわりとろ~り』

 

みたいな、

食感が「たべたい!」となります。

 

コンビニ業界では、

『「もちもち」を入れると売上5倍になる』

なんて言うくらい

訴求パワーがあるんです。

 

じっさい、当社のお客様のお店でも、

食感をメニュー名に入れて、

17%も注文数がアップした事例があります。

 

 


〇日本は『食感』の国なんです。

僕はかつて

某食品会社の中央研究所で

研究開発員だったことがあります。

専門は「高分子レオロジー」

つまり、

『食感の専門家』でした。

 

研究の中で知ったのは、

海外とくらべて圧倒的に『食感』の語彙が

日本の文化で多いということ。

 

エスキモー語に雪を表す単語が40もあるように、

アフリカの部族に風の単語がたくさんあるように、

日本人は『食感』を

特に大事にしているんです。

 

たとえばクッキーひとつとっても、

英語で「クリスピー」という表現がありますが

日本語で言うと、

さくさく

ほろほろ

さっくり

ざくざく

かりかり

‥‥‥

めっちゃ言葉があるわけです。

 

そして、

新しい言葉だってどんどん考えられます。

 

個人的に好みなのは、

赤城乳業さんのアイス「ミルクレア」

ねっちり うっとり

なんて表現、どんな生活していたら思いつくんでしょう!?


ちなみに、

「生卵をかきまぜるときのオノマトペの表現」

について研究した論文があります。(『情報学研究』26号 2017.3)

 

「くるくる」「しゃかしゃか」

「しゃっしゃっ」「じゃぶじゃぶ」

の4つで作業の速度印象を調べたものですが、

しゃかしゃかとしゃっしゃっ

がきびきびとした早い印象だったとか。

 

生クリームしぼりでは、

「きゅーっ」「にゅーっ」「ちゅーっ」「ぎゅーっ」「すーっ」

『力を入れて頑張っている様子』が変わります。

 

データでは、感じる力の入れ具合が

「にゅーっ」「ちゅーっ」

は真ん中くらい

 

「ぎゅーっ」は「すーっ」の5倍

すごそうに感じるのだとか。

面白いですね。

POPやHPの表現でも、

大変さを出したり

はたまた

軽やかなイメージを出したり

いろんな工夫ができますね!

 

あなたのお店のメニューや

料理の印象でも、

 

一言そえるだけで、

 

メニューのステキさを更にひき出したり

はたらく様子を魅力的に伝えられるんです。

 

ぜひ、魔法の一言「オノマトペ」を

活用してみて下さい!

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2021年08月10日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

「となりのトトロ」は

中国語で「龍猫」というそうです。

なんだかカッコいいですね。

卵は世界に3万のレシピがあると言われますが、

それくらい、あらゆる国で料理されています。

「たまご料理」って、ともすれば家庭的・平凡な料理というイメージで受け取られる事があります。

でもお店でメニューとして出すならば、少しでも特別感のある印象を持ってもらいたいですよね。

そこで、世界の「たまご」の呼び方を活用してみるのが、カッコよくて面白いのではないでしょうか。

例えばアメリカでは2つ黄身目玉焼きの事を「スネークアイ」と呼びます。

これサイコロのゾロ目「⚀⚀」と同じ呼び方でして、縁起の良い名前だったりするそうです。

ちなみにインドではブルズアイ(牡牛の目)、ドイツではシュピーゲルアイ(鏡の目)です。

「たまご」は世界でどう呼ばれているのかというと、


〇「たまご」各国の呼び名は…
 ドイツ - アイ  

 フランス - ウッフ  

 中国 - たん  

 ポーランド - ヤヤ  

 インドネシア  - トゥルゥル 

 インド(タミル語) - ムッタ 

 ケニア(スワヒリ語) - ヤイ  

 エスペラント語 - オーヴォ

個人的にはインドネシアのトゥルゥルがかわいらしい響きで好きですね。

例えば…玉子料理メニューでインドネシア風スパイスを使って「トゥルゥル焼き」みたいなかわいらしいメニューのネーミングに

なんてのもステキじゃないでしょうか(ちなみに目玉焼きは「トゥルゥルゴレン」)

エスペラント語のオーヴォ、文字で書くと「OVO」となりまして、なんとなく卵っぽくって好きですね~。POPメニューなど表記映えするなと感じます。

お客様にもちょっと違ったイメージを持ってもらえるかもしれません。

そういえば、中国語でスクランブルエッグは「ジンタン」ですが、タミル語の「ムッタ」とそれぞれ、映画化もされた大ヒットアニメ・漫画の主人公の名前ですね。

ぜひ卵とコラボして欲しいですね。

メニューイングの際に、ご一考くださいませ~。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2021年06月30日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

前回のつづきを。(不味い料理をつくるとお店のファンが増える!? | たまごのソムリエ面白コラム

地ビールは“最高”を目指して凋落した?

僕がたまご屋の三代目になって3年目に、日本一儲かる農業「もくもくファーム」木村社長さんに会いに行ったのですね。

その際に「全国の地ビールブームがかつて下火になったのはなぜか?」というお話を聞かせて頂きました。

それは「美味しいビールを作ろうとしたから」なのだそうです。

「美味しい味は大手メーカーが膨大な研究費用をかけてすでに追求しています。すなわち美味しさだけを追求していくと、キリンのラガーやサッポロの黒ラベルにどんどん近づいていくんです。お客様からすると、値段が2倍もする地ビールを買ってみたら『美味しいけど同じじゃん』となる。だから廃れたんです。」

とのことで、

すなわち「美味しさの中心からちょっとズラすこれが中小のお店には大事だ」という事になります。

実際もくもくファームさんでは地ビールを作っていますが、ほのかなすっぱさと香りに特徴がある風味です。好き嫌い分かれる味ですが、とにかく「そこに行かないと飲めない」事だけは確か。

同じく自家製パンも販売していますが、こちらも流行りのふわふわパンじゃなくってズシンと固くて重いドイツパン。

ドラマにもなったグルメ漫画「喰いタン」(講談社)で人を殴り殺す凶器にされたくらいの固いパンです(笑)

これがまたソーセージに合うんです!

駅から数十分の山の中にある農場ですから、

わざわざ来てもらう「理由」がいる

街でどこでも作っているふわふわパンじゃダメなんですね。

差別化に悩んでいた僕には、とても納得できる理由でした。


ですので、

中小のお店で「美味しさ」を目指す場合は、

王道の美味しいものからチョットだけ、いかにずらせるかが勝負、僕もそう思います。

絶妙のバランスから、野菜が多いハンバーガー

絶妙のバランスから、香ばしいスモークの香りがとても強いお肉

絶妙のバランスから、めちゃくちゃチーズだけが多いサラダ

絶妙のバランスから、ライスだけとてもジューシーなオムライス

自分のお店のお客様が喜びそうな、ちょっとしたズラしかたがファン化のヒントになるのかなぁと思います。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2021年06月25日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

どの料理店様も「美味しい!」を探求されていらっしゃるかと思います。

でも実は、

「美味しくない

を追求すると、

意外にもお店の繁盛とお客様の幸せにつながる事があります。


味覚研究から見えてきたファン化のヒント

20年ほど前、僕が食品メーカーの開発研究員だった頃のお話です。

味覚研究が専門のとある大学教授に、

ぜひ、マズい食べ物を作ってください。

……と言われたことがあります。

ビックリしました。

「そうすると、ファンが増えます。」

と言われ、またしてもビックリ。

なんでも嗜好と味覚の研究によると、

「めちゃくちゃ苦い」

「とんでもなく臭い」

「べらぼうに不味い」

など、強烈な特徴の味だけが、

「死ぬほどうまい!」

という最強の「好き」になり得るのだそうです。

最初は嫌いでもいいので『強い印象』であればあるほど、それが転じたときに「大好き」に変わるのだとか。

「くさやめっちゃ臭い。」→「この香りがサイコー!」みたいに。

うーん、言われてみればそういう感覚ってありますよね。

そもそも特徴がウスいものを、大好きになったりはしないですし。

イヤなヤツ!”→“大好き!”って、

なんだか少女漫画のテンプレみたいですね~。

「なのに、世の食品メーカーは万人が好む味を作ろうとするあまり、可もなく不可もない80点平均で特徴のない味の商品ばかり作っていますよね?」

「これでは『本当に美味い!』と感じる食べ物が世に無くなってしまいます…。」

「だから‥‥‥。」

不味いものを積極的に世に出してください!

と、そんなお話でした。


ただ、その当時は「そんなこと言ってもなぁ…(汗)」と正直思ってました。

だって、「大部分の人が美味しくないと思うもの」をあえて作ってね! という話ですから、

「売れなきゃハナシにならないよなぁ。」

「大部分が『まぁまぁ美味しい』と思っているものなら、それでいんじゃないかなぁ。」

と若い頭で考え、その貴重なご意見を頭の中にしまいこんでしまったのです。

ですが、その後卵屋を継ぎ、

「ぜひ不味いものを作ってください」

真のメリットが『小さい会社』にこそあることに気づかされたのです。


◆不味い→大ファン!となるコツ

取引先の人気カフェ「K」さんは、自家焙煎のコーヒーがウリの専門店。

「パフェ」がメニューにあるのですがコレが面白くって、

「鬼のように苦いパフェ」なんです。

クリームとバニラアイスの間に超濃くいれたエスプレッソが何層も入っていて、もう「苦みを味わうためのパフェ」といっても過言じゃないくらい(笑)

いわゆる普通のパフェを想像して注文すると、「なんだこれは!?」となります。

でも、それで良いんです。

いや、これがイイんです。

これ、『コーヒーが大好きなヒト』のためのパフェですから。

苦みと甘みの連続ハーモニーがとにかくクセになる美味しさでして、

こんなのはここでしか味わえないので、僕も時々思い出して無性に食べたくなります。


つまり、中小規模のお店こそ、上の大学教授が言う『ファンになる100点の料理』が出せるということです。

「お客様を選べる」のが中小企業の強み、

仮に、10人中8人が「こんなの絶対次から頼まない!」となっても、残り2人が熱烈大好きになってくれるなら、その方が繁盛につながるんです。

だってどのみち全部のお客様に食べてもらう事は不可能なんですから。

上記のパフェで言うならドトールなら万人受けの良いマイルドな風味にするでしょう。つまり80点平均を狙わざるを得ない。

僕も、某大手食品メーカーでいたときに、そのことを痛感しています。

めちゃくちゃ酸っぱい調味料、とか超くさい発酵食品、なんてのは規模が大きいと出せないんです。

 

「誰のために」を考える事がキーポイントなのです。

僕たちも、「カルボナーラでだけメチャクチャ美味しくなる卵」なんてものを育てお届けしてますが、大部分の方はご興味ないかと思います。でも人気のたまごなんですよ!?

そういえば、甲府にあるパスタ店さんが「パスタ一人前100gなんて誰が決めた?」「パスタはお腹いっぱい食べるのが幸せなんだ」と張り出して、ボリュームあるメニュー提供をして話題になっていました。

これも100点を狙う、同じ考えかもしれません。


これ突き詰めると、幸せになってもらう為ですよね。

なぜお客さんに美味しいものを出さないといけないのかというと、喜んでもらうイコール「美味しい」だから。

「美味しい」は目的じゃなくて手段なんですね。

であれば、本当に幸せにしたい人のこと「だけ」を考えて超よろこんでもらえる、他のヒトには「マズい!」と言われるメニューを‥‥‥ためしに一品!考えてみてはいかがでしょうか。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2021年06月23日