お米とニワトリと狼
世界中に何羽のニワトリがいるかご存知ですか?
食肉・鶏卵と併せてなんと、110億羽も存在しています。
本人(本トリ?)が幸せかどうかは別として、「種の生存競争」として見た場合には大いに成功しているといえるのではないでしょうか?(注1)
植物でいえばイネも同じ。
「おいしさ」というスキルを持つことで、人間の手を借りて大いに繁殖しています。お米の年間生産量6億1000万トン分の稲が育っているという事ですね。
ちょっと変わってオオカミのお話。
日本において、オオカミは大神、敬われる存在でした。
畑を荒らす害獣を狩り、警戒心が強いため人里にはめったに姿を現さない。したがって人に害することもない、非常にありがたい存在だったわけです。
それが一変したのは、1700年代前半に持ち込まれた狂犬病から。
群れで生活する狼のあいだで、たちまちこの病気は蔓延します。なにより狂犬病にかかった狼が次々と人を傷つけていきます。このことから狼は人に危害を加える恐ろしい存在として嫌われ、退治されその頭数を減らしていくことに・・。結果、現在ではニホンオオカミは絶滅したとされています。
もちろん人間が長い歴史の中一生懸命生きてきた結果うまれた共生関係や敵対関係なんですが、やはり「生きる」ということの罪深い一面を考えさせられます。
鶏の卵、鶏の肉、そしてお米からできた親子丼を食べながら、もう日本からいなくなった狼の事をしみじみ考えました。
注1: ちなみに豚は世界で9億4千万頭。ただし、宗教上の理由で、世界20%の人類が全く豚を見ることも食べることもなく一生を終えます。牛は13億5千万頭、羊は約10億頭だそうです。
参考文献:ニワトリ 愛を独り占めにした鳥(光文社新書)
参考文献:ファミリーペットSUNちゃん (小学館)