そもそも人類はなぜ鶏を選んだのか?
こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
ゲノム解析などで生物のルーツが探れるようになってきまして、鶏の起源は東南アジア奥地に生息していた「赤色ヤケイ」という鳥だとされています。
少し細かく言うと、タイやミャンマー・カンボジアの山奥あたりに住んでいました。
世界へ広がったのも古く、
4000年前のインドで鶏の紋章が見つかっており、
今から2500年前には中国や地中海でも広く鶏が飼われていました。
すごいですね~。
ただ……ちょっと疑問があります。
なんで、アジアの山奥にいたその鳥を、あえて飼おうと思ったのか?
きっかけは??
だって、赤色ヤケイって、
肉は少ない
卵もあまり生まない
獰猛
飛ぶ
……と、家畜としてはあまり魅力的だったとは言えないんですよね~。
赤色ヤケイのメスは体重600グラムくらい、ハトよりちょっと大きいくらい。
正直、食べる為ならウサギを飼う方がよっぽどマシです……。
実は、
飼われ始めた大きな理由は、
家
なんです。
東南アジア奥地の山岳地帯では、雨季に水が流れる斜面に建てる家は、「足が長い家」つまり床が地面から高い場所にある『高床式住居』が普及していました。
その高床式の家の下に、床から落ちた食べ物の残りに集まってきたのが、何を隠そう「赤色ヤケイ」だったわけです。
つまり長年にわたる自動餌付けシステム。
勝手に餌付けされて、庭に居ついちゃったのが赤色ヤケイ。
まさにニワトリ「庭のトリ」ですね!
公園でハトにパンを上げているおじさんを見かけますが、これも同じ場所で数百年続ければハトが家畜になるかもしれません。
じゃあ、なんでその地域だけじゃなく世界中に広まったのかと言うと、
肉と卵が欲しいから…!
……じゃなくて、
朝鳴く時間が正確
見た目と鳴き声が美しい
闘鶏など楽しめる
なんていう、どっちかというと娯楽とか儀礼用のメリットが大きかったようです。「肉も卵ももっと美味い鳥がいたけど、総合的な魅力で鶏がトップ」というのが広まった理由だとか。
その後に品種改良されていって、肉も卵も美味しくなったのです。
面白いですね~。
もしその山岳、高床式お家のあたりに別の鳥がいたら、
例えばクジャクがいたら
世界中に100億羽を超えるクジャクが飼われてる世の中になっていたかもしれません。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。