小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

ウチのたまご出荷場の
前にある広い畑は、

数十に区切って
「家庭菜園」として貸出しを
していまして

いろんな人が趣味で
野菜を植えて育てています。

そのまわりには
田んぼ畑がいっぱいありまして
そちらは皆、事業として
農業をされていらっしゃいます。

 

それぞれの育て方を
いつも目にして、
興味深い点があります。

それは、

 

趣味の畑は
『手間』のかけかたが
ケタちがい

だということ。

たとえば風、雨
気温の上がり下がり、
何かにつけて
畑に見に来られ

それこそ人によっては
一日5回も10回もチェックして
雑草や土の具合を手入れし、
育てている野菜の世話を
されているんです。

 

すんごい
手間のかけっぷり
なんですよ。

 

なんでそこまで
できるのか!?

それは、

儲けようと
思ってないから

ですね。

コスト意識が
無いからできるんです。

 

商売と思うならば
これだけの気配りは
まったく人件費が合いません。
ペイしません。

もしかすると、
肥料なんかも利益度外視の
プロの農家さんなら使わない
ものも使っているかもしれません。

そして、
それはそれは立派な野菜を
収穫される方も
いらっしゃいます。

 

◆煮玉子の半熟さがオンリーワン

ここに、
飲食店さん洋菓子店さん
製パン店さんの
ご繁盛のヒントがあります。

「とてもペイしないこと」
って、
ライバルが
まずやらないこと

でもあるわけです。

 

ですので、
一点だけで良いので

お客様から見て
「とても手間ひまかけていてすごい」
と思われることを
やるべきです。

 

たとえば
玉子料理でも
お店さんでやりたくても
なかなかコストの関係で
できないものがあります。

たとえば、

めっちゃ半熟の
トロトロ煮たまご

日本人の多くは
卵かけ御飯大好きですし、

煮玉子は
めっちゃトロトロの
半熟を食べたい!

そんなニーズは
あります。

 

いや、すごく強いです。

 

ですが・・・
茹でるのはすぐでも

剥くのが超大変。

ラーメン店さんで
来店数、注文数に応じて
毎日の煮玉子を作ろうと思うと

あまりにやわらかい半熟は
むくのに手間がかかりすぎ

ちょっと急ぐと失敗のロスが
多くなっちゃいます。

実質コストに
見合わなくなってしまう。

 

もうけを考えると
なかなか難しいんですね。

 

なので、

それをあえてやっている
お店もあります。

 

たとえば先日より
新メニューでウチの
釜玉うどん専用たまご
ご使用いただいている

阿波そらそばさんは、

煮玉子が
ありえないくらいの
超半熟

僕の知る限り
もっとも半熟ぐあいが
生にちかい煮たまごです。

 

それは、

「週末だけ
オープンするお店だから、
ほかのお店には絶対できない
料理にしたい。」

とのことで、
まさしく他社さんができない
差別化をねらって体現して
いるんですね。

 

「毎日開けるお店では
できないことを。」

ということで
他の食材もいくつも
こだわって
いらっしゃいますが、

 

あなたのお店でも
「ここだけは手間をかけよう。」
と、超半熟たまごでも
良いですし、

たとえばめっちゃ
めんどくさいネギの
切り方でも
なんでも良いんです。

 

なにか
「とてもコストが合わない」
そう見えることを
一点演出できると、

マネされない魅力に
つながるんじゃないでしょうか。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2024年03月8日

たまごの歴史

日本は世界でも
ちょっと変わった
流れがあるのです。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

NHK大河ドラマ「光る君へ」で
平安時代に脚光があたってますね。

 

主人公紫式部のライバル役
清少納言の武闘派エピソードも
載っている

『古事談』

という書物をごぞんじでしょうか?

 

「古事記ならわかるけど
しらんなぁ?」

そんな方が
多いかと思います。
現代ではあまり
知る人は多くいません。

 

1200年代初頭に
源顕房さんという方が編纂した

鎌倉初期の
天皇貴族僧侶の珍エピソードを
まとめた書籍でして、

全六巻。

 

じつは、
たまご屋にとっては
大事な意味を持つ本です。

 

それは、日本で

たのしんで
たまご料理を食べた
最古の記録が載っている

本だから。

 

古事談によると・・・

 


 

藤原惟成さんという
貴族がいました。

若いころ貧しい暮らしを
していたのですが、

あるとき花見の宴に
呼ばれます。

「宴に見合う
立派なお土産なんてない!
こまったな・・・。」

しかし!
惟成さんの奥さんは
とても秀でた才知を
持っていまして、

 

「これをご用意しました。
お持ちくださいませ。」

・・・と
準備したのが、

立派な長櫃にご飯と

一折のゆでたまご
そして塩

だったのです。

宴に来た者たちは
その豪快さに
歓声をあげておどろいたそうな。


・・・というエピソード。

古事談では

『花見の宴のおりに長櫃にご飯、
外居(ほかい)に「鶏子一折」
折櫃に塩一杯を持参した』

“而長櫃ニ飯二、外居鶏子一折、折櫃擣塩一杯納之”
となってまして、

 

この鶏子(とりこ)というのが
たまごのことですね。

卵を入れた
外居(ほかい)は
食べ物を運ぶ入れ物。

塩を一緒に
持っていってますから
「ゆでたまごだっただろう」
と推測されています。

 

わざわざ記録するくらい
ですから

ちょっとすごい
エピソード

だったわけです。

 

なんでしょうね?

「パーティに
テーブルいっぱいの
とれたてウニを持ってきた。」

とか、それくらいの
インパクトある感じ
なのかもしれません。

 

当時のニワトリは
食用ではない闘鶏目的での
飼育が多く、
数も少なかったですし、

まだ品種改良もされて
いませんから

ツバメなど他の鳥とおなじで
たまごは春の時期に
少し産むだけの
超貴重品
でした。

 

そして、
外居っていうと

こんなカンジのやつで

これにたまごどっさりって
けっこうな量ですから
かなりのインパクトですよね。

 

「定番おみやげじゃない、
しかも季節の食材だし
アイデアがスゴイよね!」

みたいな
受け取られ方だったのでしょう。
きっと。

 

やりますね!奥さん。

 


◆公式記録から800年間消えた「卵」

そして

じつは、
この記録以外に
江戸時代直前まで

「卵を宴席で食べた」
エピソードは
日本の歴史文献には
ありません。

ほぼ唯一の
グルメ記録なんです。

 

『卵を食べて罰が当たった』
なんて説話ならあるんですが・・・。

(関連:たまご・にわとりのちょっと怖い伝説 | たまごのソムリエ面白コラム

 

仏教が入ってきて
『殺生はいかんよ』
という文化が広がった時期でして

このころから
卵を食べるのは
殺生にあたる
『罰当たりな事』

という世の雰囲気に
なっちゃうのです。

 

以降
江戸時代の直前まで
公式記録上「たまご」は
食の文化から消えて
しまうことに・・・。

 

古今和歌集に
『卵の食事』話が出てきますが、
これは日本じゃなくて
「中国皇帝がたまご料理を食べた」
みたいな海外エピソードだけ。

 

ですので、
平安時代以前にも
ちゃんと
『たまご料理を楽しんでたよ』
ということを教えてくれる

とてもとても貴重な記録
というわけです。


 

ちなみに惟成さん
のちに出世して
この奥さんを捨てたことで
ひどい目にあうエピソードがあります。

こんなに助けてもらったのに・・!

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:古事談 第二巻)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2024年03月7日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

スマホに出る広告って
「普段見たりクリックしているもの」
によって変わるそうですが、

最近ぼくの携帯には
農場経営のゲームCM
やたらと出てきます。

「おお!たまごだ。」と
まじまじといつも
見ているからでしょうか!?

 

じっさい
どんなゲームかは
やってないのでわかりませんが、

CM動画では
すんごい数のたまごを
ニワトリが生んで

それをすんごい効率で
お客様のもとまで
運んでいます。

「いやいや、
実際はこんなんじゃないよ!」

なんて文句を言う気持ちは
さらさら無くって

「こんな風に運べると良いなぁ。」

といううらやましさ
いつも見てしまいます。

 

◆たまごの輸送はスゴイ

たまごって、
農場で産まれたものを

→洗卵選別場へ
→スーパーへ
→食べるお客様の手元へ

という
『輸送の段階』を経ないと
料理になって食べて
もらえないんですね。

で、ご存じのとおり

たまごは
中身が「液体」
外側が「割れもの」

ですから、
トラックいっぱいの
鶏卵輸送は

めちゃめちゃ重くて
すごく割れやすい物体
を運んでいる

ということになります。

薄いガラス瓶にはいった
ビールを運んでいるのと同じでして、

これってなかなか
たいへんなんですよね。
しかもほぼ毎日ですし。

 

じゃあ、
どうして割れないで
お客様の手元まで届けられる
のかというと、

①めっちゃ気をつけて運転している

➁容器の工夫がスゴイ

という2つのおかげ。


①「重くて割れる」対策のプロ運転!

僕たちが農場→選別出荷場までの輸送や
ご飲食店・スーパーさんへの配達輸送は
とにかく割れないように
めっっちゃ気をつかいます。

たとえば、
道の凸凹や駐車場への入り口の隆起など
ちょっとでも気になるところがあれば
かなり手前から減速して、
そこを通過します。

 

たまご一個は軽いですが、
運ぶとなると
数トンのたまごを
一度に積みますから、

もし急ブレーキなんかをかけちゃうと
その数トン分の運動エネルギーが
一気に前方方向へ押し付けられ
たまごなんか割れちゃって
大変なことになってしまいます。

ゆるゆる、ゆ~~っくり減速
する必要があるんですね。

 

僕も輸送トラックの運転では
なんだか振動で爆発する
爆弾を乗せてるみたいな
気持ちになります。


➁安定させる容器トレーがすごい!

そして、
たまごの大量輸送を可能にしているのが

たまごを並べる専用トレー

これは、たまごのカタチが
もっとも安定するように
考えられてまして、

すんごい数をタテに重ねても
たまごそのものには荷重が
まったくかからないように
なっています。

プラスチックでできたもの
紙でできたもの、
いろんなトレーや
パック容器がありますが、

たまごを保護しつつ
負荷をかけずに重ねられる

たまごトレーと
たまご容器の仕組みのおかげで
大量にコストをかけずに
毎日輸送ができているんですね。

昭和の時代以前は

「もみ殻でたまごを輸送した」

なんて聞いたこともあるかと
思いますが、

輸送効率でいうとおそらく
今の百分の一以下だったんじゃ
ないでしょうか。

「たまごはぜいたく品」
だった時代のワケは
輸送コストにもあったはずです。

 

大量輸送を可能にした
そして専用容器・トレーを
考案した先人、
作ってくれているメーカーさんに
感謝です。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2024年03月4日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

 

昨日たまご食と
筋肉について書きましたが

筋肉といえばプロレス!

ですよ。

 

先日当社に
みちのくプロレスコミッショナー
新崎人生さんが
いらっしゃいました!

僕、息子ともども
この方の大ファンなんですよ。

試合もすんごくカッコいいのですが、
普段の新崎さんも
非常にスマートで物腰が柔らかく
お話ししていてとても楽しいんですよね~。

 

毎年みちのくプロレスの
徳島大会がありまして、
僕もこれから参るところです。

これは昨年の写真。

いや~、たのしみだなぁ。

 

新崎人生さんは
ご自身で
徳島ラーメンのお店を経営され
プロデュースも多数されている
ご飲食のプロでもあります。

そして、
徳島ラーメンといえば
生たまご!なんです。

生卵を割り込んで
一緒に食べる絶品さが
徳島ラーメンの特徴。

 

食とスポーツは
密接にかかわりあってまして、
その両方のプロが
生たまごを活用する
メニューを掘り下げていらっしゃるのは

たまご屋としても
テンション上がります。

とってもうれしいですね~。

 

3月3日ひなまつりの日に
女の子っぽくないバトル大会が
あるわけですが、
当日券もありますので、

ぜひお近くの方は
ご一緒にもりあがりましょう~

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:元シェフの米国有名アーティスト、卵とチキンの料理で57キロ減量 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , ワクワクすること 2024年03月3日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

大谷翔平さん、ご結婚とのことで
急なめでたいニュースに
フィーバーしてますね。

突然のニュースだったこともあって
ヤフーニュースの
スポーツカテゴリが
大谷選手関連でずーっと下まで
埋まってます(笑)

ご結婚で生活や気持ちが
さらに安定して
野球に集中していける
体制になること
たのしみですね~。


ちなみに、
大谷翔平さんは
めっちゃゆでたまごを
食べるそうです。

 

中日ドラゴンズの
高橋宏斗選手が以前、

『WBCで見かけた大谷選手の食事』

について語ったインタビューが
ありましたが、

「あそこまでゆで卵を
食べる人を初めて見た。
マネしてみたがとてもムリ!」

なんてことをおっしゃっていました。

すんごい量のゆでたまごを
食事のたびに食べるそうで、
なかなか興味深いですね。

 

以前書きましたが、

筋トレの効果を最大限
活かす食事のひとつが
『全卵』をたべること

という研究報告があります。

(関連:ムキムキになりたいなら、たまごは全卵を食べるべき | たまごのソムリエ面白コラム

「米国に渡ってから
すんごくフィジカルが
向上した」

と言われる大谷選手も、
体験的や知識として
たまご食と筋肉の効果
分かって実践しているのだと
思います。

 

ちなみに栄養吸収の
ことだけを考えると、

黄身は生
白身は加熱が
いちばん消化吸収が良い

ことも分かってますので
半熟トロトロゆでたまごが
運動や健康面では
最適なことになります。

 

ゆでたまごは、
世界で最も食べられている
たまご料理ですので、

いろんな国の
レシピがあります。

 

ぼくも毎日たべてますが、
上手くアレンジすると
まったく飽きません。

 

大谷さんがいらっしゃる米国も
イースターのたびに
大統領官邸ホワイトハウスで
数万個のゆでたまごをふるまうくらい
ゆでたまご好きな国ですし、

ぜひ、
ご新婚ご家庭の中でも
いろんな茹でたまご料理を
食べて、

さらに躍進してほしいものです。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:米国大統領と夫人、官邸のお祭りで「卵使いすぎ!」と愛護団体に非難される | たまごのソムリエ面白コラム

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

 

インドのお肉屋さんでは
注文が来てから店頭で
鶏をさばくんだそうです。

 

日本人からすると
ちょっと残酷な気がしますが、

ムスリムの人が多いインドでは
目の前で血抜きをしてくれるので

ハラールかどうかが
分かるメリットもあるのだとか。

 

なるほど・・!

 

こういう
宗教や文化に根差した
その地域ごとのやり方って
興味深いです。

 

そういえば
スリランカ在住で
カフェを営んでいた
漫画家・東條さち子さんが
作中で

『スリランカでは
国がデフォルトして

食糧不足なのに

毎食かならず
あたらしい料理を作って

食べきれない分を
すぐに捨ててしまう。

もったいない。』

ということを
描かれていまして、

「もったいない」の
感覚がまるで違うわけですが、

これも思うに
熱帯域で食中毒の起こりやすい
東南アジア的な
長年の知恵かもしれません。

 

電力事情が悪い地方都市では
冷蔵庫の普及も
多くないそうで、

余ったものを
とっておいて後で食べ、
食中毒の健康被害に会う
リスクの方が

「もったいない」を
上回るのかも。

インドの肉屋さんも
「かわいそう。」よりも
「宗教的クリーンさ」のほうが
上回っているわけです。

 

たまご料理で言いますと、
たとえばマヨネーズが
欧州で普及したのは、

生卵黄の両親媒性
(水と油をなじませる効果)

を料理で活かしつつ
サルモネラなど菌的なリスクを
お酢の殺菌力で排除するため

とも考えられます。

日本とちがって
たまご生食の危険性が
高いんですよね。

他の食べ方でも
たまごの生食
カクテルなどで
アルコールと併せる
レシピが多いんです。

 

日本だとどうでしょうね?

温泉玉子や
トロトロ半熟煮玉子

は、どちらも
昭和以降に大きく普及した
日本特有の料理なんですが、

西洋と逆に
生食で食べる文化
もともとあったからこそ
そこからの派生料理
とも言えます。

 

日本と同じく
たまごの生食の文化がある
デンマークでは

魚と生卵をあわせた
絶品メニューがいくつもあります。

これなんかも

気温のひくい北国で
鮮度が落ちにくいから

魚とともに
生食しやすい素地が
関係しているとも言えます。

 

調理器具や流通
温度管理も、
世界的に共通しつつありますから

地域性で普及しなかった
たまご料理も、

他国のたまご料理でも
裏にある文化まで
考えたうえで
日本風に翻訳できたり、

新しいメニューが考えられる
素地も増えてきているんじゃ
ないでしょうかね~。

 

ハラル的な『野菜出汁』が
おいしい煮卵とか。

インド式で目の前で
安心してもらえる作業を
可視化する、というのも
なにかのヒントになりそうです。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2024年03月1日