小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

今日は、美味しい表現を後押しするツールを紹介します。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

息子達の夏休みが終わりまして、
昨日より学校へ行ってます。

 

ギリギリなってようやく
読書感想文やレポートなんかを
やっておりまして、
なにやら自分の頃を思い出しました。

 

そういえば、ピース又吉さんが

「読書感想文を
楽しく書くヒケツ」

を語った内容が話題ですね。

 

登場人物になりきって
その目線で書いたり、
自分がたのしい書き方で書くべき
とのことで、なるほどです。

 

ボクも作文は

大の苦手でしたが、

今はこうして
毎日ブログを書ける…

 

「書く楽しみ方」の
おかげかもしれません。


若い頃読んだ、たしか
「サントリーの嗅覚」という
本だったと思いますが、

 

ウィスキーづくりに携わり
3万種類の匂いをかぎわける、
スーパーブレンダーさんの
お話が載っていました。

気づきの多い内容でしたが、
その中で

「3万種類の香りを
かぎ分けようと思ったら、
頭の中に3万種類の“語彙”
がないといけないんです。」

というような事を
おっしゃっていまして、
すごく印象に残っています。

 

「とにかく修練のみだ。」

とかじゃなくて

「言葉」が必要

だと。

 

なるほど‥‥‥
考えてみれば
そうですよね。

 

たとえば
「甘い」
しか単語をしらなければ、

アタマの中で
味を分ける際に
せいぜい

「ちょっと甘い」

「チョー甘い」

みたいな区別しか
できないですよね!?

 

『この味は、
舌の上に甘い蜜を滴らせる
花がいっぱい咲き乱れてる
感じだ。』

みたいに、

ニュアンスの違いを
自分の心の中で
『多彩な表現で規定』して
おかないと、
「味の分類」ができないんですね。

 

たくさんの本を読んで
「言葉」を増やさないと
味の違いが分からない

 

もしかすると、
美味しい料理を作るヒケツは、

『ステキな文学を
たくさん読むこと』

なのかもしれません。

 

また
味の区別のためだけじゃなく
お客様に
「食べたいなあ。」
と思っていただくよう
メニューやサイトで
表現するのに

美味しさを伝える表現力
は必要です。

 

3万の語彙は時間がかかりますが、
この『他人への伝える方法』なら
スグにでも何とかする方法があります。

これは
「おいしさの表現辞典」(東京堂出版社)
という本ですが、

いろんな文学書の中の
「おいしい!」
を表現する言葉が
食材別に分類されているんです。

たとえば、たまご料理でしたら、

たまごかけ【こつんと小鉢に割って、醤油を落とす。なつかしい香り。むらさきに透きとおっている。叢雲の感じにさっと混ぜ、ごはんにかけてすすりこむ。ふた口めでおいしさが湧きあがってくる。】(向笠千恵子・日本の朝ごはん)

すし【はだかの肌をするする撫でられるようなころ合いの酸味に、飯と、玉子の甘味がほろほろに交じった味わいがちょうど舌いっぱいに乗った具合―】(岡本かの子・鮨)

秋のきのこ料理でしたら、

マッシュルーム【舌ざわりは滑らかで心地よいものに変わり、かくれていた香りが立ってきて、深みのある味が生まれてくる。】

 

うーん、
ステキな表現ですね~。

 

あなたのメニューのおいしい魅力を
お客様に伝える手段として、
ご参考にしてみてはいかがでしょうか!?

 

読書の秋は
もう入り口まで来ています
あなたのお店の繁盛のために、
ぜひ『文豪の手』を借りましょう!

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2021年09月2日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

お出かけする人が

この10年で劇的にやらなくなったこと、

って何かわかりますか?

 

2つあります。

それは、

「待ち合わせ」と

「調べてから外出」です。

 

スマホの台頭もあって、

一か所で待たずとも

ブラブラしながら相手を待てる。

「ハチ公前で5時に。」

なんて待つ必要無いんですね。

また、手元でいろんな情報が検索できますから、

「〇〇を目的に出かける」

よりも、

「着いてから考える・探す」

 

が激増しているのです。

 

ウチのスタッフもそうですが、

映画を観る時ですら

「シネコンに行ってから決める」

という行動原理の人が増えているんですね。

 

同じく、

「とりあえずユニクロに行く」

「とりあえずダイソーに行く」

みたいな人も多くなっています。

 

実感ありますよね。

フードコンサルタントの大久保一彦氏は、

こんな人々のことを「とりあえず客」と

言ってますが、

 

もし、

そんな人たちを

ターゲットにするならば、

 

「たまごのシズル写真」

はめっちゃ有効です。

 

フラッと寄ってもらうには、

目立つ看板や店頭POPがとっっても大事なのですが

丸い黄身の写真は、目を惹きつけるのにすごく高い効果があります。

 

 

ためしに、あなたの近所のスーパーさんに

行ってみればよく分かります。

 

中身と関係無いのに「たまごの黄身」を

パッケージ写真に載せている商品

がたくさんあります。

上の商品は『海苔』です。

卵は入ってません。念のため。

でも、つい見ちゃいません?

 

中には、

「単に黄色いマルを写真に合成しただけ」

の商品すらあります。

わかります?これ、

黄身っぽい〇が描いてあるだけなんですよ。

でもつい目がいっちゃいます(笑)

 

これは、「遠目」にでも

目を惹かせるための

とっても有効な手段なんです。

 

ネット広告でも、黄身を使ったシズルをよく見かけます。

記事の中の小さい写真でも、目立ちます。

こんな風に目を惹くと、お店に

「あら?ちょっと入ってみようかしら。」

となっちゃう、その率が上がるんですね。

単に目を惹くだけじゃなく、

卵の黄身は「食べたい」

という訴求もかなり強くって、

 

メニューに写真付きで載せると

注文数はすごく高くなります。

 

ぜひ、増えつつある

「フラッと寄ってもらう来店客」

の獲得に、

「たまごの黄身写真」を活用してみませんか!?

 

ちなみにボクは以前、

京都で居酒屋さんを探した際、

めちゃめちゃうまそうな

馬肉ユッケの写真に惹かれて

フラッとお店に入ったことがあります。

そのユッケ、かなりお値打ちだと思ったら

うずら卵の黄身+少量ユッケの小鉢」

だったのです。

2人でウキウキしながら注文して、

あまりの小ささにションボリしたのを

覚えています。

 

逆に言うと

こんなことが起こるくらい

黄身の訴求力がすばらしい

ってことかもしれません(笑)

 

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2021年09月1日

ゆでたまごってちょっと面倒くさいんです。

オペレーションをラクにできる方法のご紹介を。


こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

海外のSNSで「ゆでたまごダイエット」

が再燃しておりまして、

いろんなニュースでも取り上げられはじめました。

 

その内のひとつに

「ゆでたまごダイエットの危険性」

なんて海外記事がありまして、

ドキドキしながら読んだのですが、

 

要は「腐りやすいので要注意」

ということでした。

何か健康上のリスクが発見されたのか!?

と、ちょっとあせりました。ホッ。

 

〇まとめて作りにくい「ゆでたまご」

たしかに、

ゆでたまごは痛みやすいんです。

 

生卵は菌に強いナマ白身にガードされて

2週間以上も賞味が持ちますが、

ゆでたまごはせいぜい3日。

 

『毎日ダイエット』で食べようと思うと

頻繁に作らないといけません。

 

でも‥‥‥

ゆでたまごを作るのって面倒なんですよね。

コンロをひとつ占有しますし。

 

ゆでたまごは、

つくりたてのぬくもりが

とっても美味しいのですが、

いちいち作ってられないのも事実です。

 

そこで、ご提案するのが

「トースター」で焼く

『焼きたまご』

生卵を放り込んで加熱するだけで、美味しいゆでたまごが出来上がります。

最近使う方も多くなった、

電気フライヤーでも美味しくできます。

 

〇小ロットずつラクに作れるメリット

ご飲食店では、まとめてゆでたまご

を作られるケースも多いですが、

 

たとえばモーニングなんかで、

カラを割って中身を食べる、

みたいな上品なゆでたまごであれば、

オーブンやトースター、

コンベクションオーブンで

数分加熱すると

めちゃくちゃ美味しいですし、

非常に合理的です。

 

加熱後時間が短いと、

遊離の含硫成分が出ないので、

香りも良いです。

 

余談ですが、

最近はアウトドアブームです

 

この「焼きたまご」は、

網焼きでもできますので、

 

BBQなんかの際にも、

ポーンと網の上に

置いておくだけでできます。

 

みんなびっくりしますので

ちょっとインパクトありますし、

 

なにより締まった食感と

炭焼きでの香ばしい香りで

あなたが思っている以上に

美味なアツアツゆでたまごが

楽しめるんです!

アウトドアで割れやすい卵は

ちょっと…という方へ

 

百均で、

こんな輸送用のエッグホルダーを売ってます。

持ち運びに超ベンリで、

 

バッグに放り込んでおいても

ゼンゼン割れない

すぐれものです。

 

ちなみに東南アジアでは

ゆでるよりも

焼く方が当たり前の地域も

多いです。

よければ秋のアウトドアで、

お試しくださいませ~。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

本日はお店の利益アップにつながる3つの食材について。

緊急事態で大変と思いますが、

時間の取れる今こそ!試作のチャンスです。


こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

新米の時期になりましたね!

当社の前は見渡す限り

田んぼになってまして、

収穫を待つイネの実りをみると、

ワクワクしますね!

 

我が家の朝ごはんは超のつく米派でして

年に361日くらい朝食でお米を食べてます。

 

モチロン想い入れはあるのですが、

外食さんとの打ち合わせになると、

また別の意味を持ちます。


ご飲食店のお客様と

打ち合わせする際に、かならず

「たった3つの食材がすっごく重要です。」

‥‥‥とお伝えします。

 

それは、

『米・粉・たまご』

 

「粉」とは小麦粉ですね。

米・小麦粉・たまご

この3つは他の食材よりも原価が安く

通年して色んなメニューに使いやすい。

そんな食材です。

つまり、

米・小麦粉・鶏卵の組み合わせで

みんなが注文する

お店の人気メニューができると、

お店の利益率が『飛躍的に』上がります。

 

たとえばあなたが

洋菓子店さんを経営していて、

「フルーツタルトが自慢の店」だとします。

 

フルーツケーキや生菓子は

原価も高く廃棄も比較的多いため、

 

売上は見込めても

高い利益率をめざすなら

思ったよりたくさんの仕掛けが必要です。

 

人気店は、皆さんすごく苦労なさっています。

でも、小麦粉と卵のシンプルな組み合わせ

に近い菓子、たとえば

 

「シフォンケーキ」

……がとても変わっていて絶品!とか、

「チーズケーキ」

がものすごくふわふわ、とか

「カステラ」がもっちり感がすごくて

色味も黄金色、香りが良いとか

 

……こんな評判の人気商品になれば

…僕たちのお客様で言いますと、

とんでもなく利益がでやすい傾向があります。

 

実際売り上げの6割をこんな商品にしぼり

数倍の高収益になった洋菓子店さんもあります。

 

中華料理店であれば、

たとえば「チャーシュー麺が大人気」

のお店は意外と儲かって無いかもしれません。

 

チャーシューって煮込むと縮みますし、

肉の原価だけじゃなく時間も費用も掛かります。

 

働き方改革のご時世、

とくにコストが上がっているんです。

ウチの店って売り上げは高いのに

利益がちょっと少ないなぁ…

…となりかねません。

 

でも、『米・粉・たまご』のうち

「米とたまご」→の組み合わせ

「あの店のチャーハンって

変わっていてすごく美味いよね!」

 

となると、どうでしょう?

比較的原価を抑えやすいため

利益率がだいぶん変わります。

 

実際、こだわりのラーメン店であっても、

チャーハン&ラーメンの組み合わせメニュー

で単価アップや満腹度アップを狙う人気店は

かなり多いかと思います。

 

そこから一歩踏み込んで

『この店に来たら、あの

チャーハンを食べなくっちゃ!』

…までイメージづけと

差別化ができると

もうしめたもんです。

 

洋食店さんなら、

ステーキもイイですが、

「米とたまご」でオムライスですね。

 


〇差別化コストパフォーマンスがすごく良い「卵」

そして、『米・粉・たまご』のうちで、

いちばんメニューの差別化をしやすいのが

「卵」です。

なにせ卵は、

・起泡性(泡立つ)

・熱変性(熱で固まる)

・両親媒性(水とも油とも相性良く混ざる)

・マスキング効果(味をまろやかにする)

・食感滑らかさ寄与

など、色んな機能があって、

メニューで差を出しやすい。

 

更に、ちょっとこだわった卵を使うと、

米や小麦粉の質を上げるよりも、

料理に差が出やすいんです。

 

そして、

最終のお客様にハッキリわかるレベル

の差がある料理になるこだわり卵でも、

 

一食あたりの単価で考えると

さほど大きなコスト増には

なりにくいんです。

 

差の出るたまごの使い方は、

いくらでもあります。

 

米・粉・たまご

 

ぜひ、この組み合わせで

人気メニューを育て

あなたのお店を

高収益のお店にしましょう!

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2021年08月30日

あなたの料理メニューに、

独自の名前をつける

創業者の名前をつける

 

こんなことであなたのお店の価値を

高くすることができる。

たまご料理で、そんな実例があります。


こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

キリン「一番搾り」の開発秘話がニュースになってますね。

一番興味深かったのは、

社内ではフツーの生産用語だった

『一番搾り』って言葉に、

「これってすごく刺さるよね!」

って気づいたのが、

外部のアートディレクターさんだったということ。

 

なかなか自分達では気づかないけども、

クールな呼び名だったり、

ステキな価値だったりします。

 

ぜひ社内のフツーなことを、

見直してみませんか!?

 

さて、

先日『意外と新しいたまご料理の絶妙ネーミング』のご紹介をしました。

たまご料理メニューの価値を高めるため、

例えばあなたのお店のメニューに

「人の名前」を付けてみては

いかがでしょうか!?

 

お店の料理には、

「値ごろ観」というものがあります。

「この料理だとだいたいこれくらいの値段かなぁ。」

という『イメージ』ですね。

 

例えばラーメンなら「千円の壁」と呼ばれます。

かなり仕掛けをしないと、

なかなか一杯千円を超えられないんですね。

オムライスも千円前後の

“軽食”イメージです。

3千円~5千円取るのは至難の業です。

ここを崩すのに、

オリジナルネームが有効なんです。

 

例えば、

「ポーチドエッグ乗せトースト」

だと、まぁ…普通?

そんなにスゴイ料理に感じないですよね。

 

でも、言い出しっぺの名前が付くと、

『朝食の女王』とも呼ばれる

有名店の高級料理

「エッグベネディクト」

になります。

これは

ウォールストリートの名物仲買人

レミュエル・ベネディクトさんが考案したもの。

 

ちなみに「ベネディクト」は

キリスト教の聖人の名前で、

西洋ではなじみがあります。

料理名としても良イメージなんですね。

日本で言うとなんでしょうね?

石田三成のあだ名が付いた

『治部煮』みたいなもんでしょうか。

 

あと、「サンドイッチ」も人の名前ですね。

トランプ好きのサンドイッチ伯爵さん

が食べ始めたという由来。

 

こちらのネーミングは普及しすぎて

高級感とはいきませんが。


〇ポイントはストーリーのあるネーミング!

要は、メニュー名・商品名で

「他とは違う」

「意味と価値がある」

という事を感じてもらえれば良いのです。

 

例えば、京都の古く抹茶で有名な

スイーツブランドは、

「辻利兵衛本店」と創業者の名前をつけています。

 

400年の老舗・とらやさんの銘菓には

豊穣のお祭りの名前を冠した

「左義長」(とんど)

なるお饅頭があります。

 

何も言わなくても、

伝統を重んじる意思と、

「他とは違う」

というこだわりを感じますね。

 

あなたのお店のメニューにも、

あえて

「ご創業者の名前」

「娘さんの名前」

「お祖父さんの名前」

「創業地の名前」

 

はたまた、

「感銘を受けた旅行先の地名」

なんかも面白いんですよ。

 

あの亀屋万年堂さんのヒット商品

『ナボナ』は

創業者が訪れ感動した「ナポリ」のこと。

 

いいですか?

ただヘンな名前をつける、

という訳じゃありませんよ?

 

違いと想いをネーミングに込める!

ということです。

 

『めっちゃ具沢山の

サンドイッチなんだぜ!』

と伝えるために、

 

「〇〇サンド」なんてメニュー名じゃなく、

デンマークの山盛り具のサンドイッチ

「スモーブロー」をあえて名乗ったり

伝統を伝えるためなら、

古代ローマのサンドイッチ

「オッフラ」

と呼ぶのもアリです。

 

高知でトマトを作られている

「織田トマト」さん、

自分達の想いを込めて

 

あえて品種や

地域のブランド名ではなく、

 

商品にご自身の名前がついた

絶品トマトを

生産販売されています。

カッコいいですよね!

 

メニュー名は、

あなたのお店の味、

こだわりを知っていただく

画竜点睛さいごのひと筆です!

 

ボクは以前、お客様と

『煮たまご』新メニューの

打ち合わせを

したさいに、

 

これだ!

“伝統と新しさ”

を感じてもらえる!

と、

「おじいちゃんとにたまご」

というダジャレメニュー名

を提案したことがあります。

 

即却下でした。

 

ねらいは悪くなかったと

(勝手に)思ってますが、

 

大事な商品名は、

あまりふざけすぎない方が良さそうです…。

 

ぜひ、あなたのお店のこだわりが

パワーアップしますように!

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

(関連:たまご料理の呼び方を変えてみよう | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2021年08月29日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

スターバックスが

フラペチーノのストローを

すべて紙ストロー化する

と発表しましたね。

 

賛否あるようですが、

変化対応、という意味では英断だと思います。


僕はたまご屋になる以前、

食品メーカーの開発研究者だったのですが

その時に得た最大の学びは、

 

「大手はゼッタイ手を抜かない」

 

ということ。

 

その食品会社の主力商品のひとつに

「味ぽん」という調味料

がありました。

というか、いまもあります。

発売後57年も続いている

ずーっと全国売上シェア№1

の商品です。

 

なにがスゴイって、

毎年、味のリニューアル

をしていたのです。

 

毎年ですよ?

 

とても優秀な先輩たちが

何人も担当して、

味を毎年変えるんです。

 

「今の味でも売れてるんですよね?」

「なんでそんなことするんですか?」

 

と、聞いてみたのです。

その答えは、

 

「味を変え続けないと、

かならず飽きられるから。」

というものでした。

 

味ぽんって、

発売当初はもちろん

「鍋を楽しむ」ためのものでした。

 

でも途中から、

おろしハンバーグにかけたり、

サンマにかけたり、

醤油代わりにつかったり、

 

食シーンでの

用途がだんだん変わってきたんです。

 

すると、使い方がちがうから

合う味だって変わる。

 

また、今の若い人は

酢の物なんて食べません。

「酸っぱい」

に慣れてないんです。

 

「だったら酸味は

ちょっとまろやかな方が喜ぶよね。」

 

こんなふうに、すこしずつ、

世の中に合わせて

味を変えているんです。

 

聞いてみたら

カルビーの

ポテトチップスだって、

バーモントカレーだって同じでした。

 

ながく売れているからこそ、

手を抜かずにしょっちゅう

リニューアルしているんです。

 

そうやって進化つづけて、

やっと「変わらぬ美味しさだね。」

と言ってもらえるんですね。

 

ところが、

中小企業はどうでしょう?


以前、県の勉強会で、

ある大手百貨店のバイヤーさんと

お話する機会がありました。

 

いわく、

「『〇〇年の伝統』があって

『頑固に味と製法を守っています』

って、

ホント多くの方がおっしゃるので、

正直ウンザリします。」

とのことでした。

 

つまり、小さな会社の多くは、

「味を変えないこと」が

作り手の矜持であって

強みだと思っているんです。

 

そして、徐々に飽きられる。

ところが、大手は違ったんです。

どんなに売れてる商品でも、

ためらわずに

時代に合わせて変えている。

 

でもそれって、ホントは

中小企業の強み

なんじゃないでしょうか!?

 

一回の生産ロットだって小さいんですし、

小さい会社の方がより

細かい変化対応ができますよね?

 

春夏秋冬で年4回味を変えたり、

極端に言うならば、

毎月味を変えることだって

できるはずです。

 

※僕たちもそう思って「夏のあっさりたまご」

という商品を作りました

 

どの分野でも同じかもしれません。

任天堂へゲーム機を修理に出すと、

子供が貼ったシールまで付け替えてくれるそうですね。

 

しかもおんなじ角度で

わざわざ貼りなおしてくれる。

 

サービスに感動したいろんな人が

SNSにアップしています。

象印へポットの修理を依頼すると、

まず「修理中に使う代わりの電気ポット」を送ってきます。

それが入っていた段ボール箱に、

修理するポットを入れて送り返すんです。

 

実に細やかなサービスですが、

こんなのもホントは、

小回りの利く中小企業の得意なサービスのハズ。

 

小さなたまご屋の経営者となったとき、

ボクはこの事実に恐怖しました。

 

業界大手のとても優秀な人たちが、

いっさい手を抜かずに、

ぼくたちの得意な領域で

強みを発揮してくる。

 

きっと、たまご業界もそうだろう。

じゃあどうすればいいか?

 

ボクらも手を抜かずに

取り組むしかないんですよね~。

 

取引先のラーメンチェーン店さん。

二十数店舗を全国で展開する

有名店さんですが、

 

本部にお邪魔するたびに

「スープを新しい味にしたんだけど、

今度のはどう?」

 

と試食をさせてもらいます。

こうやって今があるんだなぁ、

と元気をもらっています。

 

手を抜かずに、

勇気をもって

変化していきます!

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2021年08月28日