小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

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あなたの料理メニューに、

独自の名前をつける

創業者の名前をつける

 

こんなことであなたのお店の価値を

高くすることができる。

たまご料理で、そんな実例があります。


こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

キリン「一番搾り」の開発秘話がニュースになってますね。

一番興味深かったのは、

社内ではフツーの生産用語だった

『一番搾り』って言葉に、

「これってすごく刺さるよね!」

って気づいたのが、

外部のアートディレクターさんだったということ。

 

なかなか自分達では気づかないけども、

クールな呼び名だったり、

ステキな価値だったりします。

 

ぜひ社内のフツーなことを、

見直してみませんか!?

 

さて、

先日『意外と新しいたまご料理の絶妙ネーミング』のご紹介をしました。

たまご料理メニューの価値を高めるため、

例えばあなたのお店のメニューに

「人の名前」を付けてみては

いかがでしょうか!?

 

お店の料理には、

「値ごろ観」というものがあります。

「この料理だとだいたいこれくらいの値段かなぁ。」

という『イメージ』ですね。

 

例えばラーメンなら「千円の壁」と呼ばれます。

かなり仕掛けをしないと、

なかなか一杯千円を超えられないんですね。

オムライスも千円前後の

“軽食”イメージです。

3千円~5千円取るのは至難の業です。

ここを崩すのに、

オリジナルネームが有効なんです。

 

例えば、

「ポーチドエッグ乗せトースト」

だと、まぁ…普通?

そんなにスゴイ料理に感じないですよね。

 

でも、言い出しっぺの名前が付くと、

『朝食の女王』とも呼ばれる

有名店の高級料理

「エッグベネディクト」

になります。

これは

ウォールストリートの名物仲買人

レミュエル・ベネディクトさんが考案したもの。

 

ちなみに「ベネディクト」は

キリスト教の聖人の名前で、

西洋ではなじみがあります。

料理名としても良イメージなんですね。

日本で言うとなんでしょうね?

石田三成のあだ名が付いた

『治部煮』みたいなもんでしょうか。

 

あと、「サンドイッチ」も人の名前ですね。

トランプ好きのサンドイッチ伯爵さん

が食べ始めたという由来。

 

こちらのネーミングは普及しすぎて

高級感とはいきませんが。


〇ポイントはストーリーのあるネーミング!

要は、メニュー名・商品名で

「他とは違う」

「意味と価値がある」

という事を感じてもらえれば良いのです。

 

例えば、京都の古く抹茶で有名な

スイーツブランドは、

「辻利兵衛本店」と創業者の名前をつけています。

 

400年の老舗・とらやさんの銘菓には

豊穣のお祭りの名前を冠した

「左義長」(とんど)

なるお饅頭があります。

 

何も言わなくても、

伝統を重んじる意思と、

「他とは違う」

というこだわりを感じますね。

 

あなたのお店のメニューにも、

あえて

「ご創業者の名前」

「娘さんの名前」

「お祖父さんの名前」

「創業地の名前」

 

はたまた、

「感銘を受けた旅行先の地名」

なんかも面白いんですよ。

 

あの亀屋万年堂さんのヒット商品

『ナボナ』は

創業者が訪れ感動した「ナポリ」のこと。

 

いいですか?

ただヘンな名前をつける、

という訳じゃありませんよ?

 

違いと想いをネーミングに込める!

ということです。

 

『めっちゃ具沢山の

サンドイッチなんだぜ!』

と伝えるために、

 

「〇〇サンド」なんてメニュー名じゃなく、

デンマークの山盛り具のサンドイッチ

「スモーブロー」をあえて名乗ったり

伝統を伝えるためなら、

古代ローマのサンドイッチ

「オッフラ」

と呼ぶのもアリです。

 

高知でトマトを作られている

「織田トマト」さん、

自分達の想いを込めて

 

あえて品種や

地域のブランド名ではなく、

 

商品にご自身の名前がついた

絶品トマトを

生産販売されています。

カッコいいですよね!

 

メニュー名は、

あなたのお店の味、

こだわりを知っていただく

画竜点睛さいごのひと筆です!

 

ボクは以前、お客様と

『煮たまご』新メニューの

打ち合わせを

したさいに、

 

これだ!

“伝統と新しさ”

を感じてもらえる!

と、

「おじいちゃんとにたまご」

というダジャレメニュー名

を提案したことがあります。

 

即却下でした。

 

ねらいは悪くなかったと

(勝手に)思ってますが、

 

大事な商品名は、

あまりふざけすぎない方が良さそうです…。

 

ぜひ、あなたのお店のこだわりが

パワーアップしますように!

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

(関連:たまご料理の呼び方を変えてみよう | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2021年08月29日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

スターバックスが

フラペチーノのストローを

すべて紙ストロー化する

と発表しましたね。

 

賛否あるようですが、

変化対応、という意味では英断だと思います。


僕はたまご屋になる以前、

食品メーカーの開発研究者だったのですが

その時に得た最大の学びは、

 

「大手はゼッタイ手を抜かない」

 

ということ。

 

その食品会社の主力商品のひとつに

「味ぽん」という調味料

がありました。

というか、いまもあります。

発売後57年も続いている

ずーっと全国売上シェア№1

の商品です。

 

なにがスゴイって、

毎年、味のリニューアル

をしていたのです。

 

毎年ですよ?

 

とても優秀な先輩たちが

何人も担当して、

味を毎年変えるんです。

 

「今の味でも売れてるんですよね?」

「なんでそんなことするんですか?」

 

と、聞いてみたのです。

その答えは、

 

「味を変え続けないと、

かならず飽きられるから。」

というものでした。

 

味ぽんって、

発売当初はもちろん

「鍋を楽しむ」ためのものでした。

 

でも途中から、

おろしハンバーグにかけたり、

サンマにかけたり、

醤油代わりにつかったり、

 

食シーンでの

用途がだんだん変わってきたんです。

 

すると、使い方がちがうから

合う味だって変わる。

 

また、今の若い人は

酢の物なんて食べません。

「酸っぱい」

に慣れてないんです。

 

「だったら酸味は

ちょっとまろやかな方が喜ぶよね。」

 

こんなふうに、すこしずつ、

世の中に合わせて

味を変えているんです。

 

聞いてみたら

カルビーの

ポテトチップスだって、

バーモントカレーだって同じでした。

 

ながく売れているからこそ、

手を抜かずにしょっちゅう

リニューアルしているんです。

 

そうやって進化つづけて、

やっと「変わらぬ美味しさだね。」

と言ってもらえるんですね。

 

ところが、

中小企業はどうでしょう?


以前、県の勉強会で、

ある大手百貨店のバイヤーさんと

お話する機会がありました。

 

いわく、

「『〇〇年の伝統』があって

『頑固に味と製法を守っています』

って、

ホント多くの方がおっしゃるので、

正直ウンザリします。」

とのことでした。

 

つまり、小さな会社の多くは、

「味を変えないこと」が

作り手の矜持であって

強みだと思っているんです。

 

そして、徐々に飽きられる。

ところが、大手は違ったんです。

どんなに売れてる商品でも、

ためらわずに

時代に合わせて変えている。

 

でもそれって、ホントは

中小企業の強み

なんじゃないでしょうか!?

 

一回の生産ロットだって小さいんですし、

小さい会社の方がより

細かい変化対応ができますよね?

 

春夏秋冬で年4回味を変えたり、

極端に言うならば、

毎月味を変えることだって

できるはずです。

 

※僕たちもそう思って「夏のあっさりたまご」

という商品を作りました

 

どの分野でも同じかもしれません。

任天堂へゲーム機を修理に出すと、

子供が貼ったシールまで付け替えてくれるそうですね。

 

しかもおんなじ角度で

わざわざ貼りなおしてくれる。

 

サービスに感動したいろんな人が

SNSにアップしています。

象印へポットの修理を依頼すると、

まず「修理中に使う代わりの電気ポット」を送ってきます。

それが入っていた段ボール箱に、

修理するポットを入れて送り返すんです。

 

実に細やかなサービスですが、

こんなのもホントは、

小回りの利く中小企業の得意なサービスのハズ。

 

小さなたまご屋の経営者となったとき、

ボクはこの事実に恐怖しました。

 

業界大手のとても優秀な人たちが、

いっさい手を抜かずに、

ぼくたちの得意な領域で

強みを発揮してくる。

 

きっと、たまご業界もそうだろう。

じゃあどうすればいいか?

 

ボクらも手を抜かずに

取り組むしかないんですよね~。

 

取引先のラーメンチェーン店さん。

二十数店舗を全国で展開する

有名店さんですが、

 

本部にお邪魔するたびに

「スープを新しい味にしたんだけど、

今度のはどう?」

 

と試食をさせてもらいます。

こうやって今があるんだなぁ、

と元気をもらっています。

 

手を抜かずに、

勇気をもって

変化していきます!

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2021年08月28日

本日は、たまご料理タブーと飲食店さんのサービスについて。


こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

『スーパーのシニアデーに「ゆっくりレジ」が用意されている』

とSNSで話題になっていました。

 

店内アナウンスがあり、

「今から『ゆっくりレジ』が一部用意されます。

小銭をゆっくり出してください。

店員と世間話をしてください。

のんびりお会計してください。」

 

と流れていたそうで、

急ぎの方は普通のレジへ、

ゆっくりの人は専用レジへ、

という流れだそうです。

 

ステキですね~。愛を感じます。

効率重視なだけじゃなく、

地域のお客様に喜ばれる方針じゃないでしょうか。

 


〇情愛からできた戒律ってけっこうある

以前、食の宗教タブー話をしましたが、

厳格ルールのイメージがある「戒律」には、

根っこに

「『愛情』って大事だよね。」

という観点があります。

 

例えば、ユダヤ教では

「卵と鶏肉」

を一緒に料理するのは

重大なタブーのひとつ。

 

これは、

親子を一緒に料理するなんてかわいそうじゃん。

という考えから来ているんです。

(同じ理由で乳+肉のチーズバーガーも食べません)

また、

ヒンドゥー教では牛を食べませんが、

インド人の知人に

 

ウシを食べないのは、

牛乳で赤ちゃんからボク達が育ったからだよ。

お母さん大事にしなきゃダメでしょう?

殺したらかわいそう。

と聞いた事があります。

 

これも、同じ発想ですよね。

一見、厳しく見えたり、

理不尽なルールがあっても、

 

実はそこに愛情があれば、

みんな納得するんです。


冒頭に言った

ゆっくりレジだってそうです。

 

たとえば「顔見知りだから」なんて理由で

特別サービスをすると、そんな

えこひいきや不公平ルールって

マイナスに働きますよね。

 

でも、そこに「愛」や「気づかい」

ちゃんとした『理由』があれば、

独自のルールは、逆に

お客さまに喜ばれる

「強みと差別化」に

なるんじゃないでしょうか!?

 

子連れお母さんに評判のお店で、

「おむつ・ミルクありますので言ってください。」

「哺乳瓶洗浄します。お気軽にお申しつけくださいね。」

というサービスをしている飲食店さんがあります。

 

大変なお母さんに、ホッと一息ついてほしい

そんな想いのサービスです。

僕のようなおっさんが一人で食べにいっても

「そんなのズルい!」とは思わないですよね。

 

僕の知る方で、80歳超えて

野菜の通販ショップをしている方が

いらっしゃいますが、サイトには

 

『昼間は畑に出ているので、日中は

電話も出ません、メール返信もしません』

と書いてあります。

 

なるほど、そりゃそうだな。

作業しているよなぁ。

 

きっと連絡つかなくても

買う人は不満ないんじゃないでしょうか。

 

逆に頑張っている感とか

親しみを感じますよね。

 

知らなければ、

『すぐ連絡つかないなんて!(怒)』

とクレームになる事もあるでしょうけど。

 

シャワールームを増設して

「トラックの運転手さんだけシャワー無料」

としているラーメン屋さんもあります。

幹線道路沿いの深夜が強いお店です。

 

一人暮らしで若かったころ、

「学生さんだけ卵サービス」

の定食屋さんがあって、

とても重宝したのを覚えています。

あれはうれしかったなぁ。

 

ですので、あなたのお店でも、

お店で「一番大切にしたい人」を決めて、

 

皆が納得するルール

「ちょっとえこひいきのサービス」

を考えてみるのも面白いんじゃないでしょうか。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2021年08月27日

今日はメディアさんが望んでいること、のお話を。

 

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

駅弁販売企業の取り組みが

ニュースになっていましたね。

『老舗が仕掛ける「真剣にふざける」ビジネス』

としてタコつぼに入った大人気のお弁当「ひっぱりだこ」やアツアツのお弁当がたべられる「あっちっち弁当」などの紹介と、

 

「会議でギスギスしすぎない」

「駅弁という文化を忘れさせない」

新しい取り組みの様子が映されていました。

 

「ちょっとした旅行のワクワク感を、

駅弁で味わえてうれしい。」

なんてお客さんの声もありました。

 

駅弁業界って、特に大変な状況だと思います。

そんな中で前向きな出る取り組み、

僕も「何かやるぞ!」という気になります。


さて、今日のテーマは、この「取材」に関する事。

 

「読んで幸せになる情報って、

がんばって動かないと

僕らの手に入らないんです。」

 

以前、

新聞記者さんからのご取材中

そんなお話を聞きました。

 

いわく、

不幸なニュース・事故や事件の情報は

わりとほっておいても

すぐに耳に入ってくる。

 

ところが、

何か前向きなニュースや

何かを始めたワクワクする情報って、

「こちらからどんどん聞いて回らないと

なかなか手に入らない」

のだそう。

 

なるほど、

分かる気がしますね。

 

「新聞を読む人には、

読んで暗い気持ちになるよりも、

読んで明るく元気になって欲しい。

 

そう思って紙面を作ってます。

だから、

いっつも探しているんです。

 

何か楽しい情報や

面白いことをしている人がいたら

ぜひ!おしえてくださいね。」

 

…と、そんなお話でした。

何が言いたいかと言うと、

3つあります

 

まず、

あなたがお店でイベントや

何かの取り組みを始めたら、

 

ぜひとも

新聞社さんやテレビ局さんに

FAXなんかで連絡すべきということ。

 

だって、

相手はそんな情報を

探しているんですから。

 

じっさい、その記者さんは、取材のあと

ときどき、折に触れて

「何か面白いことやってませんか?」

って電話をくださるようになりました。

 

そして、あなた自身が

ハッピーになる情報も

自分から集めないと

手に入らないかもしれない

ということです。

 

新聞記者さん、

情報収集のプロがそうなんだから、

ぼくらなんかなおさらですよね。

 

たとえばネットニュースを見ても、

新聞読んでも、流し読みしてると

「コロナ重症者〇〇〇人増加」

とか

「またの緊急事態宣言で飲食店悲鳴」

みたいな記事はパッと目に入りますけど、

 

そのなかで

あえて頑張っているお店の記事

奮闘しているお医者さんの記事

ってちょっと頑張って見出しを探さないと見つからないですよね。

 

無意識に読んでると

深刻:ハッピーで9:1くらい?

 

じゃないでしょうか。

せめて5:5くらいに意識したいですよね~。

自分の元気のためにも、

元気のでる情報探しって大事です。

そして、自分達が

世のため人のためであること

 

先ほどの記者さんに

「いま何か面白いことやってますか?」

と聞かれたときに、

「どんなことをやっていたら面白いですか?」

と聞いてみたんですね。

 

すると、

「やっぱり、誰かのためになっている方が面白いですよね。」

との事でした。

 

「新しい商品を出したとか、

新しい取り組みをする、

なんてこともいいですが、

 

やっぱり地域のためになっている

こととか、

誰かがすごく喜ぶようなこと

の方が、より記事として載せたいです。」

 

そりゃそうだな。

自分だってそんな記事が読みたいなぁ。

と思ったのを覚えています。

 

ですので、まず

僕が儲けたいとか

こんなことをしたい

も大事ですが、

 

お客様が〇〇になってほしい

町が〇〇〇になったら

子供さんが〇〇してくれれば

働くお母さんが‥‥

ご来店した方が…

 

と、主語を誰か

相手さんに変えて言えること

を考えているかどうか。

 

すくなくとも、

情報を扱う方は、そこに興味をもってくださるようです。

すなわち、それを読む多くの方も同じですよね。

 

まとめますと、

➀ハッピーな情報は探しにくい

②メディアはそれを常に探している

③「世のハッピーため」がベスト

 

僕たちの仕事の目的は、

たまごを通して、

美味しさと健康と繁盛をお届けすること。

 

ビジョンは

日本一ご飲食店さまを元気にする会社になる

事です。

 

あなたと一緒に、ぜひ!

世の中がハッピーになる事をしてまいります!

 

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2021年08月26日

本日は「たまごのことわざ」と集団の決め事についてお話します。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

パラリンピック始まりましたね!

オリンピックとはまた一風変わった
テクニックや戦いぶりで、
バスケットなど球技が
とくに楽しみです。

 

ところで、
パラリンピックって、
障害の「度合い」で
有利不利が出ますよね。

 

片足の障害がある選手と、
両足の方では制約が違うでしょうし、

 

少しうごかせる
まったくうごかない

 

こんな方同士が競うのも
有利さが出てしまう・・・。
いったいどういう基準でするのか…。

 

調べてみると、
一人ひとりの異なる体調を、
「クラス分け」と「ポイント制」
の独自ルールで公平性を保っているんですね。

へー。

医療など専門知識をもった
「クラシファイヤー」
と呼ばれる判定員さんが
基準にしたがって細かく
判断されるのだとか。

 

義手義足など素材がどんどん向上していて、
近い将来パラリンピックの成績は
オリンピックを抜くだろう

なんても言われています。
こういったクラス分けの判断も、
さらに重要度上がってきそうですね。

 

さて今回のお話は、
この「判断基準」にまつわるたまごの諺


たまごのことわざ第67弾
今回は中国から。

 

<君子たるもの
子鹿や卵を獲らえない>
(君子不麑不卵)

 

立派な人物は親子の情に報いるものだ

という意味です。

こんなエピソードがあります。


あるとき王様が狩りに出かけ、
鹿の子を捕らえました。

 

王様は領主にそれを宮殿に
持ち帰るように命じたのですが、

領主はその道すがら
母鹿がその子鹿に寄り添い
鳴くのを見てかわいそうに思い、
解放してしまったのです。

王様は後でそれを聞き、

「勝手な事をしおって!」

と怒り罪に問おうと思い
領主を捕らえさせましたが、

 

その罪を決めかねて
いったん保留したのです。

さて少し時がたち、
王様は病気にかかりました。

 

「自分も老いた・・・。
何があるか分からんのう。
いざのために息子を託すべき
後見人かつ教育係を決めておかねばな‥‥‥。」

 

ただ、誰にするか…。

そこで思い出したのが
その領主のこと。

 

「よく考えてみると、
あやつは情の深い男だ。

子鹿にすら親の恩を感じたのだ、
人の子にはもっと愛情をもって
接するだろう。」

 

と、彼を釈放し、
息子の教育係に採り立てました。


王様、なんだかずいぶん勝手な気もしますが、
これ何の話かと言いますと、

「儒学」のケーススタディ

なのです。

 

2千2百年くらい前に
董仲舒さんという儒学者がいまして、
この方は「儒学」を『国の学問』に
推し進めた最初の人。

 

この人が、
「儒学って何?」を教える際
さきほどの王様エピソードを語り

 

「どういう対応をすべきだったのか?」

という問いを弟子に投げかけたんです。

 

仲舒さんの答えは

立派な君子たるものが、
子鹿や卵を獲っちゃダメだよ。

 

「母親の愛に気づかって
子鹿を開放するのは、
人としての道理に
かなっているよね。」

 

「でも、命令を守らずに
コッソリ逃がしたのはダメ。

領主は王様をその場で
諫めるべきだった。
これ罰の対象だよね。

死刑はひどすぎるから
強制労働くらいかな?」

 

‥‥‥と、

『情恩に報いる行動』の是非

を説いたというお話。


すなわち

<君子たるもの子鹿や卵を獲らえず>

のことわざとして、
今日まで残っています。

なるほど、明快ですね。
儒教は大まかに言うと、

人としての生き方(仁・義など)
を守って父子、夫婦、目上の人、
年配、友人を大切にしていきましょう

という考え方です。

 

ただし、
高倉健さんが歌った

『義理と人情を 秤にかけりゃ~』

なんて歌詞にあるように、
「人としての生き方」だって
時に矛盾します。

 

じゃあどうすりゃいいの??

をハッキリさせて、
それを学問として体系立てて
いったわけです。

 

その結果、儒学は「国学」として
ずーっと中国で根付いていったのです。

 

現代でもこういうことって
ありますよね~。

 

社長がムチャな命令をしたとき、

「そりゃダメだろう‥‥‥」

と思いながら
社員みんながそのまま従っていては、
大きな失敗につながります。

 

かといって、
勝手に判断して
命令を聞かなかったら、
組織がくずれちゃいますよね?

 

「そんなら、オレが命令した時に
ハッキリ反論してほしいなぁ。
なおすから。」

 

‥‥‥たしかに組織としては、
こんな方がスムーズに回ります。

 

あらかじめ社内教育の場で

「こんなことは会社として
間違いだから、もし僕が
やっちゃってたら指摘してね。」

・・・とケーススタディを
共有しておくのは有効でしょう。

 

もっとも、
君子が獲っちゃだめな「卵」
商いとしている
僕にとっては
「そのとおりにしよう。」
と公言しにくいことわざですが(笑)

 

せめて「諫める意見」
をもらったときには
君子をめざして

ハイハイ!

と素直に聞こうと思います。

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

(出展:『玉函山房輯佚書』)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2021年08月25日

本日は

お店で「たまごかけごはん」メニューを出すときの

ご成功例とポイントをご紹介します!


こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

昨日はTBS「教えてもらう前と後」

ご覧くださいました方

本当にありがとうございます!

ほかお二人のたまご専門家さん

ブラックマヨネーズ小杉さんと

ご一緒しての参加が

かなり面白くて、

 

「料理」として価値を高めた

「たまごかけごはん」

非常に刺激の多い内容で

とっても学びになりました!

まだまだ、たまごかけご飯の世界は広い!


さて、

昨日の番組テーマは

「ご家庭にあるもので絶品になるたまごかけごはん」

でしたが、今日のテーマは「ご繁盛」

 

ご飲食店さまのメニューで

たまごかけごはん

を出す際に、

気にかけるべきことがいくつかあります。


〇見た目をかなり家庭と変えるべき

たまごかけごはんメニューは、

洋菓子や天ぷらなどと違って、

「毎日の食卓」がライバルとなります。

 

「家でもできるなぁ。」

と思われてしまってはダメなんですね。

 

なので、

・副菜の薬味をいくつかつける(3種くらい:ごま、ネギ、のり、香の物‥‥‥)

・いくつものお皿で提供する

・きちんと醤油を計量して小皿でお出しする

・豚汁などボディ感のある味噌汁があればさらにステキ

 

など、ちょっとした点で、

「見た目のにぎやかさ」が必須になります。

そうでないなら、

吉野家さんの200円朝食、

それと価格勝負になっちゃいます。

 

オペレーションとの兼ね合いも

あるかと思いますが、

 

たとえば「シメの一品」

としてご提案する場合でしたら、

お茶漬けよりも調理・サーブの工程は少ないので、

多少の時短にもなります。


 

〇自由度が高くても満足度は上がらない

たまごかけごはんって、

結構みなさん自宅では

思い思いの手順方法で

召し上がっていらっしゃいます。

 

ただ、毎日のルーティンとして

なんとなくそうされている

事も多く、それが、

いちばん満足度が高いやり方の

たまごがけごはん…とは限らないんです。

 

「このたまごは黄身濃厚なんで、

こうやって食べてください!」

って指定しちゃった方が本格感と非日常感が

でるんじゃないでしょうか。

 

かつて全国に

「たまごかけごはん専門店」がいくつもできて、

その内少なくない数が

すでに閉店してしまっています。

 

農場産直営だったり、

自慢の高品質たまごを使われていたり、

それぞれとても特徴がある美味しさでした。

 

でも……たとえば

「たまごはお代わり自由」

なんてお店もあるんですが、

これホントもったいない!と思いました。

 

だって、お客さまは

「たまご」が食べたいわけじゃなくて、

「美味しいたまごかけごはん」が食べたいわけですよね。

 

「同じ金額ならおトクだし

2個いれちゃえ!3個でも。」

なんて考えをオススメしてしまうと、

御飯との黄金比バランスが徹底的に崩れてしまいます。

結果、

「なんだ、こんなものか。

まぁ話のタネに食べたから

もういいかな。」

 

と一回のみのご来店で終わってしまう。

そんなことが重なっての閉店

そんなこともあるかと思うんですね。

たとえば日常で食することの少ない

「ギリシャ料理の専門店」であれば、

料理そのものの美味しさで勝負できます。

 

ですが、

豆腐料理とか

納豆料理とか

そして

たまごかけごはん

なんてものであれば、

 

家とゼンゼン違う!こりゃすごい。」

というおいしさ以外の

「比較」と『体験』が

違ってないと、いけないんですね。

「おいしい」だけだと

ご家庭の

たまごかけごはんだって、

納豆ごはんだって、

フツーにおいしいわけです。

 

ですので、

目的は「非日常の体験」

そのための手段がたまごかけごはん

そんな位置づけでぜひお考えください!

 

かつて、僕はある居酒屋さんに

たまごかけごはん専用卵をご提案し、

導入して頂いた際、

 

自分で勧めておきながら、

あまりの美味しさに

ビックリ驚いた事があります。

 

お米のこだわり、

薬味のこだわり、

醤油

すべてにこだわっていらっしゃった

料理としての完成度に圧倒されたのです。

 

たまごだけにこだわっていた

自分の狭い考えを恥じました。

 

ぜひ、

お客様のワクワクにつながる、

ファンが増えてご繁盛となる

たまごかけご飯メニューのご導入を!

楽しみにご期待しております。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。