小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまごと偉人のエピソード第22弾、今回は日本の政治家・池田勇人さんです。

19世紀生まれ最後の首相で、

吉田茂さんの後継者となって終戦後の高度成長期をひっぱられた方ですね。

打ち出された政策のなかでも「所得倍増計画」が有名です。

少し前には伝記漫画が週刊モーニング誌で連載されていましたね。


さて、この池田勇人さんの取り組み・考え方を評した言葉で、

『池田は3つの卵を5人で分けるようなことはしません。5人で6個の卵をつくる事に努力する方が得だと考えている。』(伊藤昌哉・池田内閣総理大臣秘書官)

また、池田さん自身も

「3つの卵を4人で分けるようなことはしない。3つの卵は6つに増やす、6つの卵を3人で分けたら3つ余る。余った3つを貯金する。これが、経済であります。」

なんてことを述べています。


うーん、なかなかわかりやすい例えですね~。

ちなみに経済学者さんによれば、高度成長期インフレ時にはこういった考え方が最も理にかなっているそうです。

僕が興味深いのは、なぜ卵に例えたのか?という点です。 日本人には『米百俵』みたいな農産物イメージの方が合ってそうですよね。

西洋では卵=蓄財のイメージがありまして、たとえば英語の財務用語では「巣のたまご(nest egg)」というと財テク・個人で増やす『貯蓄』のことを指します。

池田さんは官僚出身で財務にはかなり詳しかったそうですので、こういった卵のイメージを多用したのかもしれません。

他にも、西洋の箴言に「今日の卵一つよりも、明日めんどりを一羽得る方が良い」というものがあります。

(関連:たまご・鶏のことわざ_その12「今日卵を一つ持つより・・・」 | たまごのソムリエ面白コラム

目先の利益じゃなく先を見据えるという点で、この箴言は上記の池田さんのエピソードと通じるものがありますね。このことわざを知っていて、上のスピーチに活かしたんじゃないでしょうか。

池田さんは的確な言葉で心をつかむのが非常にうまく、

彼の打ち出した「所得倍増計画」「月給倍増論」は歴史的キャッチコピーとも言われ、また大蔵大臣時代にまとめた「1000億円施策、1000億円減税」のキャッチコピーはその強いメッセージ性から後にジョン・F・ケネディの減税政策でもこの言葉を真似たと言われています。

いわば名コピーライター、

池田さんはとにかく数字と記憶力に強かったと言われますが、それ以外に相手の心を掴む「伝え方」に非常に長けた方であったのは間違いなさそうです。

もっとも、「貧乏人は麦を食え」などピンポイントに衝撃的な失言も多く、この長所がマイナスに働くこともおおいにあったようですが…。


日本は四季の変化や災害の多い国であり長いこと農耕主体であったため、日本人は長期的思考で考える傾向が強いとも言われます。

コロナ禍で先の見えない状況が続いております、

政治の信条はさておき、

『池田の卵』にならって、目先で動かず理念や本質をすこし長い目線で考えてみて、コロナ終息後を見据えた行動を取るべきかなぁと思います。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前ですが、南極で史上最大の卵の化石が発見されました。推定6800万年前のもの。

いや、正確に言いますと11年前に発見され、

「なんじゃこれ?」

と放置&議論され続けて、ようやく昨年「これは卵だろう。」と結論づける論文が発表された、というわけです。

なんで10年間も判らなかったのかというと、

何もかも常識外れだったから。

まず、

大きさが規格外

卵は細長くて、長い方で直径28㎝、短い方で18㎝もあります。

サッカーボールが直径22㎝ですからそれよりちょっと大きいくらい。

スゴイ!

それまでの研究では、こんな大きなサイズの卵は見つかったことが無かったんです。

 

カラがふにゃふにゃ

この化石、写真を見るとわかりますが、『ふにゃふにゃにつぶれた形状』なんです。

え!?これって卵なの…!?

って思いますよね。 10年間も放置&議論されたのもうなづけます。

つまり、「世界一でっかくてゴムボールのように柔らかい卵」という事になります。

この化石のあった頃の「デッカイ卵を産む生き物」というと恐竜ですが、

恐竜のたまごで「柔らかいカラ」のものはほとんど見つかった事がありません。

現代の大きな爬虫類、ワニやカメの卵と同じく硬いカラでした。

とはいえ、小さい爬虫類や両生類、ヘビやカエルの卵は柔らかいですし、魚の卵だってフニフニです。

まぁあり得ない話ではないかもしれません。

でも……それが巨大な卵、サッカーボール大となると話は別です。

でっかい水風船みたいなものですから、ちょっと転がったり、枝なんかが突き刺さると破れちゃうでしょうし、卵が大きく柔らかくても生存競争に何のメリットもないわけです。

何の卵かサッパリわからない

そもそも、この卵から何が生まれたのか…?それが分らないんです。

その頃の南極には小さい恐竜しかおらず、いずれも小さい卵で生まれる種ばかり。

この時代のビッグサイズ卵といえば……たとえばブロントサウルスなんかのデッカイ竜脚類の卵ならあり得るのですが、その種の恐竜の卵はカラが硬くてカタチも真ん丸でした。しかも南極にはいなかった…。

カタチも場所も合わないんですね。

この論文では、水に棲むモササウルスなんかの「巨大水棲爬虫類の卵」じゃないかと推測していますが、大型水棲動物は基本的に胎生なので「それは無いだろう」との反論も大きいようです。

水中では、大きな生き物はお腹である程度育てとかないと、卵だと食べられちゃうんです。巨大なごちそうが出現するのと同じですから。

うーん、ちょっとしたミステリーですねェ。

おそらく卵の起源

この卵は「たまご進化の過程」じゃないか。

そんな説も唱えられているようです。

もともと生命は海から生まれ、進化して陸上へ上がってきました。

その過程で、重力にも耐えられるように卵のカラも硬くしっかりしたものに進化したのです。

陸上の「カラの固い卵」になる前の、

『進化前の卵』だからカラがまだ柔らかいんじゃないだろうか。

という考えですね。

つまり、今の我々が食べている卵のご先祖様、というわけです。

なるほど…。

巨大なのも柔らかいのも、

いわば試行錯誤段階

それなら不自然なのもうなずけます。

いったい、どんな生き物がそこから生まれたのか…?

いや~、ロマンですねェ。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(参照:Biggest soft-shelled egg ever seen found in Antarctica-Business Insider)

(関連:地獄から来た鶏、という名の恐竜がいる | たまごのソムリエ面白コラム

(関連:ニワトリは恐竜の正統な末裔 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2021年03月13日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

日本テレビ朝の情報番組「ZIP!」様にて、「ひと工夫で極上の卵かけご飯」特集で出させて頂きました!

ちょっとビックリの変わり種のたまごかけごはん2種ご提案をしております。

この特集ではいろんなTKGを提案していまして、かなり面白い内容でした。

案外シンプルな卵かけご飯を毎朝食べられる方も多いかと思いますが

ちょっと工夫をするだけで、

普段の朝食がテンション上がるメニューになります♪

カテゴリー | ソムリエ日記 , 取材・掲載・ご紹介 2021年03月11日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

江戸の昔は、
病気を治すとなると

食べものや
薬草の効能で
健康になろう

という考えが主流でした。

 

本草学、と呼びまして、
いろんな医学書物
書かれています。

 

ただ……

庶民には読んでも
なかなか理解できない
ムズかしいものばかり。

そんな中で

『和歌食物本草』

という面白い本が
出されていました。

 

これ、

「和歌」で
食材の効能を伝える

という
コンセプトの本なんです。

 

内容は全部ひらがな

五・七・五・七・七
のリズムで
書かれています。

 

今で言うなら

「マンガでわかる健康食品」

とか

「ラップで覚える
食材の健康機能」

みたいなカンジでしょうか。

 

この本、
かなりのベストセラー
なんですよ。

何度もバージョンアップしながら
重版されていまして、
寛永七年(1630)・寛永十九年(1642)
・正保三年(1646)・承応三年(1654)・
寛文十一年(1671)・元禄五年(1692)
・元禄七年(1694)の各版があります。

うーん、すごいですね!

 

〇たまご健康機能の和歌は……!?

さて、
この和歌食物本草には

和歌で『卵の効能』が
書かれていまして、

「たまごこそ
しぼりはらとむ
さんののち
ゑなをくだして
目のいたみとむ」

という和歌が載っています。

 

現代にいる我々には
ちょっとわかりにくい
ですが、

『しぼりはら』とは「渋腹

…と書いて
ひどい下痢腹痛のこと。

『ゑな』とは
出産後の胎盤と
へその緒のことです。

 

つまり、

“たまごこそが、
ひどい腹痛や後産に
良く効き、

目の痛みまで
取っちゃうんだよ!”

という意味ですね。

 

じっさい、
卵に豊富な
グルタミンなどの
アミノ酸が不足すると、

腸内にウィルスが侵入して
お腹を壊しやすくなりますし、

同じく卵にたっぷり含まれる
ビタミンB2やルテインは、
網膜の働きを助け
目の充血を解消してくれます。

 

こうやって
歌になっていれば、

体調が悪い時に

「あ!そうだ、
卵を食べよう。」

…と思い出せるだろう。

 

そういう考えですね。

うーん、面白い。

 

また、
食材の効能だけじゃなく、

「芋こそは あぢはひからく 平のもの しよびやうのどくぞ ふかくつゝしめ」
(芋こそは 味わい辛く 平のもの  諸病の毒ぞ  深く慎め)

のように、
効能だけじゃなく

「あんまりたくさん
食べ過ぎるんじゃないよ!」

・・・みたいな注意事項も
たくさん載っていました。

 

和歌で伝える……
これは当時、
すっごい発明
だったんですよ。

 

この本の後発品として、

『職人の技術』や
『料理の技術』など
いろんな分野で
『和歌で教える本』
出版されることになります。

 

僕たちも、
ちょっとしたコツや
健康情報なんかを
『歌って覚えてみる』

 

これって
現代でも充分
通用しそうですね!

試してみると面白そうです。

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2021年03月2日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前ですが、週刊プレイボーイ様にて「温泉たまご大研究!」と題して、温泉玉子の記事を載せていただきました!

温玉の歴史からその魅力・ブームの理由まで、2ページ盛りだくさんの内容です。

個人的にも温泉玉子、大っ好きなんですよね。

本来ならこの3倍のページで説明したいくらい(笑)

歴史的には伝説など含めると古くからある温泉玉子ですが、広く普及したのはここ数十年という、実はかなり新しい玉子料理なんです。

それは、温泉玉子のキーとなるのが「正確な調理温度管理」だから。

なにせ「黄身が固まり白身が固まらない絶妙の温度」でじっくり温めないとできない料理ですから、かまどの火で作るのはちょっとムズカシイのですね。

正確な火加減と正確な温度計

コレが無い昔には、

偶然その温度になる“温泉”でもない限り、作れない幻の玉子料理だったわけです。

世界でも温泉玉子が食文化として存在する国はほぼありません。

英語でも「onsen-tamago」です。

超レア料理なんですね~。

逆に言うと、温度だけしっかりと守れば、

誰でも絶品の温泉玉子ができますので

実は大変優秀な玉子料理でもあります。

いろんなアレンジがしやすいメニューでもありますので、ぜひ!温泉玉子の調理をマスターして楽しんでくださいませ。

(関連:トッピングの温泉玉子は〇〇のヘルシー版なのでは…!? | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , 取材・掲載・ご紹介 2021年02月24日

こんにちは!

ひなまつりがもうすぐですね!

3月3日って、実は卵や鶏とすんごく関係が深い日なんです。

〇宮中で千年つづく「闘鶏占いの日」

毎年3月3日は「鳥合(とりあわせ)」といいまして、平安時代より続く「闘鶏の日」として宮中行事が行われる日です。

鶏どうしを戦わせることで今年の五穀豊穣を占う重要な催しなんですね。

ちなみに『ひな祭り』の「ひな」はヒヨコのヒナと語源が同じ。

「ひひ」と鳴く小さくてカワイイひよこ →「ひな」と呼ぼう。

→「小さくて可愛いもの」な人形も「ひな」と呼んじゃおう。

こんなカンジでどっちも「ひな」と呼ばれるように。

「ひな祭り」と「鳥合(とりあわせ)」どちらも平安時代の京都から始まっていて同じ3月3日のもの…起源にも共通するものがあるのかもしれませんね。

 

〇風水でも3月3日に縁起が良い、卵と鶏肉

ちなみに3月3日には、黄色や黄金色のものを食べると風水で金運が向上するそうです。

すなわち卵や鶏肉がとっても相性が良いわけです。親子丼や鶏そぼろ丼などがグッドじゃないでしょうか。

そして、たまごの旬は春です、千年前にはこの時期しか食べられない季節のぜいたく食材が卵だったんですね。 今でも一番鶏の産卵コンディションが良いのは春先です。

ぜひ、関係の深い3月3日に、たまご料理を楽しんでくださいませ~。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2021年02月22日