小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

中国語で「煮」というと、文字通り「煮る」ことを意味しますが、

「烹」という言葉もあって、

これは「煮る」と「油で揚げる」の両方の意味があります。

訳者さんが、少々戸惑う事もあるのだとか。

ゆで玉子の料理に、

「虎皮蛋(フゥヒイタン)」なる料理があります。

これは、ゆで玉子をサッと素揚げしたもので、表面が香ばしく「虎の皮」みたいになっているからそう呼ばれるのだそうです。

細かな隙間が表面にできるため、

ダシやスープがとても良くしみこんで、

とっても美味しいんですよね。

この虎皮蛋は中国料理なのですが、

実は熊本県の郷土料理でもあります。

昔むかし、熊本に移り住んできた中国の料理人さんが広めた、太平燕(タイピンエン)という春雨スープに欠かせない玉子料理なのです。

面白いですねぇ。

この料理、たまごを煮てさらに揚げるわけですからまさに「烹」の料理ですね。

そういえば日本では、

カウンターでこじんまりと楽しむ和食のお店を「割烹」と呼びます。

煮たり揚げたりする料理がメインだからなんでしょうか?

この虎皮蛋、中国ではホイコーロー的な「甘辛い味付け」が主ですが、日本熊本式のスープ入れとはまた違う魅力とボリューム感があって、とっても美味です。

ちょっとひと手間の料理ですが、ぜひこういった新メニューも面白いのではないでしょうか。

ここまでお読みくださってありがとうございます。

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

本日はちょっと古いたまご話を。

イタリアの古典物語に「セレンディッポの三人の王子」(1557年)というものがあります。セレンディッポ(スリランカ)の王子達が旅をし、知恵と工夫で様々な事を乗り越えハッピーになる、というお話です。

その中に、卵のエピソードがあります。


インドの女王に会った時の事です。

3王子の末弟に女王が、謎かけを出しました。

『ここに5つの卵がある。コレを割ることなく、私と大臣とあなたの3人で均等にわけるのじゃ。できるか?』


うーん……、ちょっとムズカシイですねェ。

サイズが違う卵なら、個数が違っても重量で均等に分けることもできるかもしれませんが…

あなたなら、どうしますか…!?


この質問を聞いた王子は、

5つのたまごの内、

3つを女王の前に置きました。

そして、1つを取って大臣の前に、

最期の1つを取って、自分の前に置きました。

「女王様には3つ。私と大臣はすでにズボンの中に2つのタマゴを持ってますので、あと1つずつ。これで3人の“卵”は均等になりました。」

未婚だったインドの女王は、顔を赤らめながらもその答えに満足したそうな。


・・・・・・というわけです。

いかがでしょうか。

うん、下ネタですね。

女王に理解があって良かったですが、機嫌が悪ければ投獄されていたかもしれませんね(笑)

 

ステキな偶然に出会う能力「セレンディピティ」

大衆向けだったこともあって下世話なネタがいくつもある物語ですが、この「セレンディッポの3人の王子」のお話からひとつ、人生を幸せにするステキな“言葉”が生まれました。タイトルに由来して「セレンディピティ」といいます。

『出かけた先で偶然大ファンの芸能人に出会う』

『出張先で思いがけずステキなお店を見つける』(孤独のグルメ)

『困っているおばあさんを助けたら偶然大金持ちの取引先だった』(サラリーマン金太郎)

こんな風に、

うわ!たまたまでこんな幸せな事に巡り合うなんて…!

……という偶然って、ありますよね?

「予想してなかった幸運に会う」

そんな“能力”が「セレンディピティ」です。

失敗作を一晩放っておいたらできた「ポリエチレン」の発明や、

航空機用レーダーの使用中におやつのチョコレートがとけちゃった事でできた「電子レンジ」などがコレですね。

「三人の王子」の物語では、道の片側の草しか食べられていなかった事から「片目のラクダが前を歩いていた」と推理し、その事で「意外な幸運」に出会います。

ポイントは、ただのラッキーじゃないということ。

その偶然の幸運を得るだけの才知があるからこそ、意図せず幸運に出会える。

上記の「ポリエチレン」や「電子レンジ」も、ぼーっとしていればその発明に気づかず捨てちゃって終わりだったでしょう。

棚ぼた、という言葉がありますが、棚の下にいて上を見てない事には、ぼたもちを食べられないですよね。

普段から気づき、考え、またチャンスのある場所へ行くことで、予想しない幸運に会える能力を磨く。

女王に「卵のなぞかけ」を出される、なんてことは無いでしょうけど、ムズカシイ相談を頂きそれが幸運なチャンスにつながる事は僕の人生にも大いにありそうです。

三人の王子に習い、英知と気づきを磨いてまいります。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:グリム童話の「熱いたまご」 たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2020年05月11日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

つい先日、献血に行ってきました。

半年に一回の習慣です。

僕は仕事柄、毎日たまごを食べます。

メニューの試作や趣味、開発、品質チェックなどで多い時で十数個のたまごを一日に食べることもありまして、計算してみると、たまご屋の3代目を継いでからすでに5万個以上のたまごを食べ続けていることになります。

ところで、医学研究発表によると、

卵を食べると血中のコレステロール量は下がります

卵自体にはコレステロールは比較的多く含まれるのですが、

コレステロール総量自体は大きな問題ではありません。

なぜなら人体に必要なコレステロールの7割は体内で作られているからです。

事実、数年前に厚生省はコレステロール摂取量の上限撤廃をしています。

ただし、血中に多量のコレステロールがずっとあると、その油分が血管中で邪魔をして血流を阻害するなど、健康にマイナスな面もあるのです。

たまごの黄身に多くある「コリン」という物質に

両親媒性という油とも水とも親和する効果があるため、

血管中にこびりついているコレステロールを包み込んでミセル化し、肝臓や細胞へコレステロールを片づけてくれるのです。

いわば、血管の掃除屋さん!

なので、血管を狭めてしまう……なんていうリスクを、卵を食べると低くできる、とされています。

下記は僕が半年に一度やっている献血の結果ですが

僕の血中コレステロール値を見ると・・・

少し見にくいですが、基準の線が140~260ミリグラム/dlです。

毎日これだけ卵を食べているのに、

コレステロール値は標準より低い!

うーん、ステキですねェ。

僕はくいしんぼうなので、いくら卵が健康に良くても摂取カロリー自体が多いので、そのヘンをもう少し改善しないといけません。料理の塩分もですね(汗)

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの健康情報(研究など) 2020年05月8日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

スペインの伝統的お菓子に「サンタテレサの黄身」(yemas de Santa Teresa)なるものがあるのをご存知でしょうか。

1800年代中ごろにアビラという町で生まれ、今ではスペイン全土で親しまれているお菓子です。

砂糖を溶かしたシロップと卵の黄身を合わせ丸めたお菓子で、見た目も固ゆで玉子の黄身だけを取り出したような色とカタチをしています。

作り方はシンプルですが、とってもクリーミーで卵の風味と甘さがすごくマッチしていて美味!です。

修道院生まれのお菓子なので、スペインの修道院改革を進めたアビラ生まれの聖女・聖テレサさんにあやかってその名前がついているのだとか。

なぜ修道院でお菓子が生まれたのかというと、

むかし昔、修道院ではワインを造り販売していたのですね。

当時のやり方でワインから不純物を取り除き、澄んだお酒にするために使用するのが「卵白」です。そうすると、必然的に大量の黄身が余ってしまう…。

コレを利用しよう!

…という事で生まれたお菓子なんです。

日本の新潟や東北・関西の酒どころで、酒造りで残った酒かすを使った「粕汁」や「粕漬け」が流行ったようなものでしょうか。

ポピュラーすぎて、「イエマ(黄身)食べる?」みたいに省略しても伝わるのだとか。

たまご屋としてはテンションが上がるお菓子です。

作り方の動画です↓

割と簡単ですので、

メニューの関係でちょっと黄身が余った時にでも、ぜひ作ってみて下さいませ。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2020年05月6日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

今回は昔のアメリカで、卵が大人気となったお話を。

19世紀中盤、ついにアメリカ開拓が西海岸に到達した後、そこで黄金が発見・発掘された事から、一攫千金を求める人々が西部に殺到しました。いわゆるゴールドラッシュです。

当時のサンフランシスコ周辺は開拓間もなくまだまだ畜産も不十分、なのに人がたくさん移住してきたわけです。

すなわち、「食べるモノが無い!」

・・・というのが困りごと。

特にタンパク質不足が深刻だったのです。

穀物なんかは大変だけども遠方からなんとか運べる、

野菜などはまぁ・・短期で生育する種類や日持ちするものもありましたのでなんとかなったのですが、問題は肉、魚、卵・・・。人口増からくる食糧不足に加え、なにせ黄金目当ての労働者であふれている町ですから屈強な男ばかりです。血肉を創るたんぱく質がめちゃくちゃ重要なのですね。

とはいえ冷蔵庫の無い時代のこと、肉類は日持ちしにくいですから遠くからの輸送はなかなか難しい・・・

研究者はズバリ、当時のサンフランシスコを「たんぱく質に飢えた町」と評しました。

たんぱく質が不足すると、筋肉の低下と共に思考力の低下が起こるそうです。

話し合いでカタのつかない「荒野の決闘」「アパッチ砦」・・・西部劇ワールドは栄養不足のせいだったのかもしれません。

ちなみにちょうど同時期、江戸の町では“脚気”が大流行していましたが、

これは白米中心の野菜不足が原因。

言うなれば江戸は「ビタミンBに飢えた町」でしょうか。

なかなか興味深いです。

 

カリフォルニア名物となった!?美味たまごとは

さて、一攫千金を目指す西海岸のあらくれ者達を救ったのが「たまご」なんです。

カリフォルニア州、サンフランシスコは海に面した町です。気候も良く、周辺の島々には海鳥が沢山やってきて巣をつくります。

ちょうど、最盛期は5月前後、いまくらいの時期ですね。egg_eggwar201706.jpg

海鳥のたまごは味も濃く風味抜群です。絶品美味しいこともあり、とにかく貴重なたんぱく源として年に50万個もの海鳥・ウミガラスのたまごが食べられていたのだそうです。逆に「米国最西端サンフランシスコじゃないと新鮮な卵が美味しく食べられないんだぜ」という名物料理になったわけです。

その後、ゴールドラッシュが落ち着くころには鶏の大量飼育方式が普及しまして、海鳥のたまごから鶏卵へ徐々にシフトしましたが、卵の食べっぷりは変わらなかったようで2007年頃までにはカリフォルニア州は全米でTOP5に入るたまご大生産地になりました。上位5州だけでなんと米国消費量の半分を生産しているのですが、飼料の主成分となるトウモロコシの大生産地でないにもかかわらずこれだけの大規模生産を行っている州はカリフォルニアだけ。

きっと開拓時代の「たまごフィーバー」が深く根付いているのに違いありません。

(※近年ではカリフォルニア州のたまご生産量が目立って減少していますが、これは住民投票によって鶏の“大量生産飼育方法”が禁止になったせい。それだけ鶏と卵に愛情が深いともいえるのかも…!?)

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:極上の卵をめぐって銃撃戦!?西部劇で起こった「卵戦争」_たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2020年05月4日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

先日、あの「新しい地図」稲垣吾郎さんと、ラジオ番組でお話をしました!

『編集長 稲垣吾郎』という番組で、稲垣さんが“架空の雑誌編集長”としていろんな人と話をしたり紹介したりする番組です。

稲垣さんも大の卵好きということで、極上の玉子料理の作り方やスーパーで売っている卵を、より一層美味しく食べる裏技などに加え、かなりマニアックなたまご話で盛り上がりまして、とっても楽しいひと時でした!

(番組URL)http://www.joqr.co.jp/goro/

カテゴリー | ソムリエ日記 , 取材・掲載・ご紹介 2020年05月1日