こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
米国ライス大学が今月発表した研究によると、
卵で作ったバイオコーティングで新鮮野菜に膜を張ることで、飛躍的に野菜の賞味期限を延ばすことに成功したのだそうです。
発表によると、1ミクロンの厚さの卵でできたコーティング膜を果物や野菜に塗ったり吹き付けたりしたところ、劇的に鮮度を保つ期間が延び、また水分を保持して熟れるのを遅らせる効果がみられました。
成分的には卵が70%、そこに木材由来のバイオセルロースを混ぜているのだとか。
すごいですね。
もともと卵の白身には溶菌作用という菌を溶かして殺す作用があります。
また、卵たんぱくは乾く事で薄いシート状になることも知られていました。
考えてみれば確かに、保存性向上に向いているのかもしれません。
この研究がスタートしたきっかけは、
「市場に届かない卵がもったいない」から。
卵は一定の割合で微細なヒビのある卵が出ます。
当社でも、『打音型ヒビ卵検知器』という装置で全たまごを検査し、何%かが除去されます。
一般的には、そんなヒビ卵は新鮮なうちに割卵され、業務用として大量使用されることが多いのですが、割卵した“液卵”は非常に賞味期限が短くなりますので、エリアの広い米国では使い切れずに破棄される事も多いのだとか。
発表によると、年間で2億個以上のたまごが使い切れずに破棄されているのだそうで、たしかにそれはもったいないですね……!
さて、この卵バイオコーティングは化学合成物じゃないですから、
環境負荷も低く、
また人体にも悪影響はありません。
卵アレルギーの人はダメですが、
そんな人はコーティングを水で洗い流せば影響ないのだとか。
研究ではイチゴ、バナナ、リンゴなどすべての果物で鮮度維持、水分保持、熟成防止ができていて、圧縮試験でも硬くてみずみずしいままだったそうです。
研究をしたピュリケル・アジャヤン氏いわく、
“コロナ禍前でも、世界中で生産される食品の3分の1が無駄になっていました。遺伝子組み換えや食べられないコーティング、化学添加物を使用しない方法で食糧不足を減らすことは、持続可能な生活のために重要なんです 。”
とのことで、
上手く行けばこの「余ったたまご」によって劇的に世界の食糧事情を変えるチャンスになるのかもしれません。
うーん、ワクワクしますね!
ニワトリさんは生き物ですので、日々のコンディションの中で品質が変わる事があります。お客様に良いたまごをお届けしようとすると、目利きは厳しくなり、わずかな差であっても妥協せずはじかなくてはならない卵が出てくるんですね。
当社では幸いにもそうった卵も活用してくださる方がいらっしゃいますが、こういった規格外卵はなかなか悩ましい問題でもあります。
僕たち提供側にもプラスになり、
お客様にも美味しく長持ちし、
環境にも優しい。
三方よしのたまご技術、ぜひ今後の普及に期待です!
ここまでお読みくださってありがとうございます。
(参照:Egg-based coating preserves fresh produce: Protein coating extends shelf life of perishable fruits and vegetables — ScienceDaily)