小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまごの映画名シーン、今回は日本人ならご存知、「ハウルの動く城」です。

動く城の主ハウルが戻ってきた際に、朝食を作ります。

めちゃめちゃ分厚いベーコンを焼き、そこに卵を落とす。

共に住む子供マルクルがかぶりつく様子がホント美味しそうで、ものすごい印象に残っています。

食べたくなる人も多いようで「ジブリの食べたい食事アンケート」なんかでは、必ず上位に来ています。

〇なぜベーコンエッグなの?

そもそも「ハウルの動く城」の舞台は『異世界』です。例えば飛行機や衣装は、現実を元にしながら幻想がかった面白いデザインになっています。なぜ朝食のメニューはベーコンエッグなのでしょう?

ひとつには、原作者ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんが英国人だという事があるかと思います。

ベーコンエッグはイングリッシュブレックファストとして世界的に有名なイギリス名物料理。アイルランド発祥といわれ、古くから修道院はじめ色々な場で食べられイギリスの文化に根付いています。

また、第二次世界大戦時には空軍の出撃時に食べる特別メニューだったこともあり、作戦に同道したフランス人パイロットも印象的だったとの記録が残っています。まさに戦争がもう一つのテーマでもある「ハウルの動く城」にはふさわしいメニューとも言えそうです。

そして、人里離れた場所にあるハウルの城ですが、魔法の扉で街中とつながっており、カンタンに買い物ができる。山の中の動く城なのに、新鮮な卵が手に入る…そんなギャップを表したかったのかもしれません。

さすが!正確なベーコンエッグ描写

さて、英国式ベーコンエッグとして考えると、このハウルの動く城の調理シーンはとっても正確なのです。

まず、

ベーコンだけをじっくりと焼いて、

そこから充分な油が出たのちに、卵を落として焼く。

フタはしません。

すると、白身の縁がカリカリで黄身トロットロの美味しい目玉焼きになるのです!

うーん、これはメチャうまです!

実際のシーンを見返すと、

ちゃんと油が出るのを待ってハウルが卵を割り入れていますし、

ベーコンがカリカリになるように、ベーコンの上を避けて卵を割り入れています。

もっと言うとイギリスのベーコンは「バックベーコン」と呼ばれる背中ロース肉を使ったベーコンなので、豚バラ肉を使う日本のものと違って味と歯ごたえが非常にしっかりしているんですね。

マルクルが噛みついているシーンからも、その様子が伝わってきます。

以前ご紹介しましたが、

映画「崖の上のポニョ」でも宮崎監督は、ラーメンの上のハムを食べる順番まで指示する徹底ぶりだったそうですので、きっとベーコンの種類まで英国式にこだわった上で描写をされているんじゃないでしょうか。

原作を読むとわかりますが、「ハウルの動く城」の裏主人公は火の悪魔「カルシファー」です(原題も『魔法使いハウルと火の悪魔』ですし)。

絶妙な火加減が求められるベーコンエッグ。

「火」というテーマからも、このメニューは主役の見せどころとして欠かせない絶妙のシーンともいえるんじゃないでしょうか。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:たまごの名シーン(映画編)「崖の上のポニョ」ゆでたまごとハムの意味

(関連:パズーは目玉焼きパンをいつ用意したのか?【天空の城ラピュタ】たまごのソムリエ面白コラム

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

コロナ禍、大変な事態となっていますね。各地で起こっている品薄化と買い占め、お国柄もあり、イタリアではパスタが買い占められ、ドイツではプレッツェルなどの塩菓子が買い占められたりしているようです。

そして、米国では卵・・・!が買い占め対象となっているのですね。

スーパーの卵コーナー棚はスッカラカンになっています。

また、スーパーで手に入らなくなっているものですから、今度は養鶏場へ直接買い求める人が殺到し、長蛇の列ができている様子です。

上の写真はカリフォルニア州の養鶏場ですが、購入者による長蛇の列に加え、購入待ちの車が1マイル以上も続いているのだとか!

うーむ、すごいですね。

〇不足により価格高騰中のなぜ?

米国農務省の報告によりますと、米国の鶏卵相場価格は3月16日一日で平均1パックあたり23~61円も上昇し、その後週がすすむにつれて10セント、20セントと上昇し続けています。

スーパーなど小売店のたまご販売数量は昨年同時期の200%を超えているのだとか。

卵はもちろん鶏さんが産むもので、急に沢山できるものではありません。需要と供給のバランスが完全に崩れているということですね。

うーん、これは大変です。

米国ではスタンダードな卵は1パック2ドルちょっとですから、たった一日で3割近くも価格が上がり、更に日々上がり続けていることになります。

〇なぜ卵を買い占める?

結局のところ、「引きこもる」ために食品を大量購入しているから足りないんです。

もともと土地が広いことから買いだめ思考があるアメリカ人ですが、たまごは冷凍もできないため売り方も生鮮野菜に近く、その日その日のものしか在庫を持たない店も少なくありません。 そこへ数週間分の食糧として一気に買い求めているというのが不足を引き起こしているようです。

とはいえ、その分レストランへ食べに行く人は減っているわけですから、そこで使う卵は余っているはずです。ここまで足りなくなるのはちょっと変ですよね。

調べてみると、米国の現状では、業務用(飲食店向け)たまご需要は25%程度しかダウンしていません。つまり「外食では肉や魚を食べるけども家で料理するなら卵だよね。」という消費者のニーズがあるので、たまごに殺到しているわけです。

〇日本とは違う、食品へのコロナ不安

もう一点、国ごとで、住む人の情報把握に違いがあります。

この状況、日本でも同じことが起こってもおかしくないはずですが、そうなってはいませんよね。日本でのたまご相場も昨年よりは高いものの、一昨年と同じくらい、例年並の範疇です。

これは、「コロナウィルスと食品不安」に差があるから。

海外では「食品からもコロナウイルスがうつる」と思っている人が相当数いるのです。

例えば欧州食品安全機関(EFSA)は3月9日に「現時点で、食品がウイルスの感染源または感染経路である可能性を示す証拠はない」と発信していますし、ドイツ政府もその翌日に「食品を介したコロナウイルス感染の可能性は低い」とわざわざ念押しの発表をしています。

米国でも「food business news」他多数のメディアで「食品=ウイルスはうつらない。大丈夫!」と喚起をしています。

逆に言うと、多くの人がそこに不安を持っているということですね。

コロナを避け鶏卵に殺到するということは、

加工が入る肉などよりも、カラに包まれた卵の方が人の手に触れておらず安心感がある、と感じる人が多くいるからかもしれません。

日本ではコロナウィルスによる食品不安って、ほとんどありませんね。

食品じゃなく、こわいのはヒト感染

だから、うがい、手洗い、マスク、

そういう意識が早くから共有できたことが、無用な食料買い占めパニックを防いでいるのかもしれません。(その分マスクの買い占めが起こっているわけですが…)少なくとも『卵パニック』になっていないのは、意識共有のおかげじゃないかと思います。

また、毎日の新鮮な食料供給への信頼感を、皆さまがお持ちくださっている事も、大きいですよね。本当に感謝です。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2020年03月21日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

卵かけご飯大好き有名人シリーズ、今回は俳優の水谷豊さん。

言わずと知れた『相棒』で有名な方です。

そのエレガントな雰囲気にファンの女性もたくさんいらっしゃいますが、実は「たまごがけごはん」がとっても大好物なのだとか。

数年前、番組で木梨憲武さんが「水谷流のたまごかけごはんが美味しい!」と紹介した事でSNSでも一時話題になりました。

ちょっと変わっていまして、

 ・ごはんに醤油をかける

 ・黄身だけを乗せる

 ・ごはんとあまり混ざらないようにして、崩しながら食べる

と、こんな風な方法です。

このこだわり、結構理にかなっていまして、

以前ご紹介しましたように温かいご飯に直接醤油をかけることは、醤油の香ばしさがアツアツご飯で立つというメリットがあります。

また、卵のうまみ成分の多くは黄身にありますので、よりしっかりとした卵の味を楽しむなら、黄身だけで食べるのは良い方法かと思います。

ただ・・・食感の面では、白身が無いとたまごかけごはん全体の滑らかさがやや出にくくなっちゃいます。

もっと美味に卵を味わうなら

・・・イヤ、べつに水谷さんの方法にケチをつけるワケじゃないのですが、たまごのソムリエとして更に良いやり方を提案するなら、

 ・ご飯の量を半分にする

 ・アツアツご飯を茶わんによそい、2分ほど待ってから卵の黄身を入れる(ちょっとだけご飯を冷ます)

この2点を意識するだけで更に極上の美味しさになります。黄身だけの食べ方だと、ほんのり温かい方がたまごかけご飯の旨味と食感を、より味わえます。

『相棒』と検索すると予測変換で『相棒 紅茶』と出てくるくらい、水谷さんふんする杉下右京特命係長のエレガントな紅茶が有名ですが、卵かけご飯もぜひ杉下流、いや水谷流で優雅に楽しんでみたいですね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:たまごかけご飯好きの有名人・・・その8 柳家小三治 師匠

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
コロナウイルス禍、大変な状況になっていますね。防疫措置の面では必要な事とはいえ、歓送迎会のシーズンにこの状況なのは、飲食店様にとって本当に大変な状況かと存じます。
先日お取り引き先さんとお話する中で、「こんなことを今やるとイイよね。」という事にきづきましたので、少し書いてみます。

・提供の独自化を狙う! 
全国の発症状況を見ていますと、あれだけの混雑でも、通勤電車では感染してないっぽいですよね。やはりしゃべる・食べる・運動などの飛沫が飛びやすい状況が影響しやすいのかなあ、と感じます。
当社の取引先様でも、ビュッフェスタイルからテーブルサーブ方式に一時的に切り替えていらっしゃいますが、『非接触でありながらさらに価値の高まる提供方法』を考案できるチャンスなのかもしれません。

ラーメンチェーン店・一蘭さんの「味集中カウンター」は塾の自習室みたいな一人専用カウンターで食べるわけですが、根強い人気がありながら効率も非常に良い方式なのだとか。

お客様に安心してもらいやすい、ニュー提供方式を試してみる良い時期なのかもしれまません。

・情報発信を楽しむ!
待機や自粛などでヒマな時間が生まれてしまい、ご家庭からオンライン情報のチェックをされている方が増加しています。情報発信の効果は以前よりも高いです。観光地はこのウイルス禍で人が激減していますが、観光地を検索する人は増加しているそうです。「行きたいなぁ…!収まったら・・・」と、調べているんでしょうね。
このタイミングを利用して、時間のかかる動画編集をマスターしてyoutubeへ情報発信している飲食店様もいらっしゃるようです。

・メニュー開発で利益を出す!
普段なかなか時間が取りにくい、研究開発の時間を取ってみるのもいかがでしょうか。
フードコンサルタントの大久保一彦氏は、著書の中で「メインとなるメニューでどれだけ利益を取れるかが、飲食店生き残りのカギだ。」と言っています。
人気メニューのコストダウンや提供の改善って、意外と改まった時間が取りにくいんだそうです。今回を良いタイミングにすることも手じゃないでしょうか。

たとえば、卵のLサイズとMサイズの差はわずか6gですが、10kgケースあたりの入数は15個も変わります。相場価格にもよりますが、もしレシピで6gの差をカバーできれば、1ケース15個の差は年間で大きなコストダウンになるかもしれません。

また、オムレツ専門店さんや洋菓子店さんのように、「まとめて卵を手割りする」ような調理メニューなら、逆に10kgで30個ほど個数が少ないLLサイズの卵なら、作業性が2割くらい効率アップすることもあります。一度作業性を計ってみるのも面白いかもしれません。なかなか普段はこんなこと計測したりしないですよね。

また、当社では和食・洋食・洋菓子・中華で「たまごの比較セット」サンプルを無償でお出しおります。ちょっとどんな卵がウチの料理に合うのか確かめてみよう…!という方にはとてもオススメです^^

今回のウイルス禍が続くなら外食産業さんにとって大変な危機ですが、「どうしようもない」と割り切った上で、今しかできないことを考える、僕たちもぜひそのお手伝いをできればと思います。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2020年03月16日

こんにちは!たまごのソムリエ・小林です。

2月になりまして今更ですが、「干支と卵」に関するコラムを例年書いております。今年の干支は「子(ね)」、ねずみ年です。

実は「ねずみと人間」の関係がチョット違っていれば、今の「卵業界」を取り巻く環境はめちゃくちゃ変わっていたかもしれないんです。

それは・・・

「医学研究」分野でのお話。

医療関連や食材の健康機能を研究する際に「研究用ねずみ」を使用することがあります。いわゆる「モルモット」とか「実験用マウス」と言われるものですね。

かわいそうではありますし、是非はありますが、特に医療や食品の機能性研究においてその尊い犠牲により医学・食品分野が発展たのも事実です。(例えば抗生物質ペニシリンは動物試験により大きな効果と低毒性が確認されたことでようやく日の目をみました)

歴史は古く、研究にねずみが用いられ始めたのは1800年代中ごろから。本格的な普及はだいたい百年くらい前からと言われています。

そして・・・・・・時を同じくして、そのちょっと前に用いられ広まっていたのが、「研究用のうさぎ」。 モルモットと同じく、人間への効果を研究するために世界中で用いられておりました。体が大きく飼育コストが高いこともあり、今ではねずみさんと比べ少なくなっています。

ところであなたは「卵は一日一個まで」というお話を誰かから聴いた事はありませんでしょうか。完全否定されていますが、実に百年に渡って世界で続いてきた「卵の迷信」です。

〇世界に広まった誤解研究

事の発端はロシアの研究。

約100年前、ロシアの研究者が

「ウサギに卵を毎日食べさせると血中コレステロールが高まり体に悪いデータが出た。人体に換算すると一日一個までにすべきだ。」

という論文を書いたのです。

そのセンセーショナルな結果は世界中で話題となり、以降ずーっと、卵は食べすぎちゃダメ……という情報として定着してしまったのです。

ですが……

よくよく調べてみると、ウサギは草食動物。

なので、単に卵の動物性たんぱくを分解する酵素を体内に持っていないだけだったのです。卵を食べると血中コレステロールが上がる、は「草食動物に限って」の結果だったのです。その後、人間で試験を繰り返してもそんな結果は出ませんでした。

例えば日本でも、国立栄養学研究所の数度に渡る研究では、一日10個2週間食べ続けても血中コレステロールは逆に下がる、という結果も出ています。(毎日十個食べている僕の血中コレステロールも標準以下です)

うさぎは草食動物だから。

うーん、

考えると当り前ですよね。

対して、ねずみは雑食性です。

鶏卵のタンパク質に関しては、健康への影響は人間と似ています。

もし百年前、

その研究者さんが草食性のうさぎじゃなくて、同じころ普及し始めていた「ねずみ」を使って健康機能を研究していたら……

卵のイメージは百年の間に今とガラッと違うものになっていた可能性もありますよね。

歴史に「もしも」はないですが、

ねずみさんのおかげで卵の迷信が無く、

「たまごは毎日3つは食べないとダメだよね。おばあちゃんがそう言ってるし。」

なんて風に、世界中の人がもっともっと沢山のたまご料理を食べている世の中をちょっと見てみたかったですね~。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2020年02月14日

あけましておめでとうございます!たまごのソムリエこばやしです。

旧年中お世話になりました皆さま、当社のたまごを応援してくださった皆さま、本当にありがとうございます。

今年は「子(ね)年」ですね!

十二支のはじまり「子(ねずみ)」は子だくさんで縁起が良いとされているそうです。

私共の商いの核となるニワトリさんもご存知の通り子沢山!

金運と結びつく動物でありまして縁起良いイメージです。

また、西洋では卵は『はじまり』の代名詞ですし、

子年のネズミさんと共通点多いですよね~。

私共の取り組みが、皆さまの更なる御繁盛の起点、『はじまり』となれますように

今年一年精進してまいります。

本年のみなさまの更なるお幸せを

お祈りいたしております!

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2020年01月1日