小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

万博でポルトガル館に行った際、

「そういえばポルトガルに
『たまごかけごはん』みたいな
スイーツがあったっけ。」

とふと思い出しました。

_

「アローシュ・ドース」 
直訳すると「甘い米」。

お米でつくった
あま~いスイーツです。

お米プラス卵黄をつかいますので、
素材が「TKG」なんですね。

おかゆっぽいといいますか、
お米とろとろのプリンみたいなお菓子でして
英語名もそのまま「ライスプリン」です。

お米の食感もちゃんと残っていて
日本人的には不思議なカンジ・・・

_

食べ慣れたお米の口当たりと
舌に感じる意外な甘みに
「塩味じゃない!?」
面白い違和感を感じるかも。

_

ポルトガル政府観光局が出している
アローシュ・ドース(アローズドーセ)
のレシピ
は下記のとおり。
(こばやしが日本流に少し変えてあります)


<材料>

お米 300g
水 600ml
砂糖 350g
成分無調整牛乳 2000g
卵の黄身 120g
バター 大さじ1
レモンの皮すりおろし 1個分
シナモンスティック 1本
塩 1つまみ

<作り方>

①水にバター、レモン、シナモン、塩を入れ沸騰させる。

②米を加え煮る
(水分が無くなるまで・10分くらい)

③水っぽさがなくなったら、
牛乳を少しずつ加えながら中火で加熱
へらでかき混ぜ続ける。

④最後の牛乳を加えて少し煮詰まったら、
砂糖を加える。

⑤砂糖が完全に溶けた後、
おおさじ3杯くらいを小皿にとりわけ、
そこに黄身を加えて混ぜる。

⑥それを鍋に入れかき混ぜて、
とろとろのカスタード状になる
82℃~85℃までじっくり加熱する。

⑦冷まして、シナモンパウダーを少しかけて出来上がり。


火加減さえ間違えなければ
さほど難しくはありません。

◆日本に伝わるびっくりなポルトガル料理

ポルトガル料理って、かつて
戦国時代に日本に伝わっているんですね。

_

天ぷらカステラ金平糖
なんかがそうです。

天ぷらはポルトガルのフリットから。
カステラなんてカスティーリャ地方の
呼び名がそのまま名前になっちゃってます。

ほかにも
ポルトガル語が由来となった言葉として
「カルタ」とか「コップ」「ボタン」
なんかがありますね。

_

我が徳島県にも
モラエスさんという方が
ポルトガルから明治時代に
永住してくださって、
その文化をポルトガルに
伝え続けてくれました。
(日本について書いた本が、欧州で当時ベストセラーに)

なので県民はポルトガルに対する
良い印象がほかの国よりも
大きいんですね~。

_

お米と卵のアローシュ・ドース、
あなたのお店のご繁盛メニューの
ヒントになりましたら幸いです。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:ポルトガルの伝統的なレシピ: アローズドーセ(ライスプディング) | www.visitportugal.com)

(関連:名画に隠れた卵 ・パンプティング| たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2025年08月18日

お盆のさなか
ゆっくりとお酒を飲まれている方も
いらっしゃるのではないでしょうか。

ニワトリも・・・!


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

イベントや美術展に現地ツアー・・・
今年は大河ドラマ効果で
江戸時代の情報がいろんな形で体感でき楽しいです。

 

NHK番組「浮世絵EDO-LIFE 」が
大河ドラマ「べらぼう」とコラボして、

ドラマ放送回の内容に合わせた
リバイバルをしていますね。

 

少し前には蔦重と瀬川の恋にちなんで
男女の恋とニワトリが題材の浮世絵
紹介していました。

鈴木春信の作。
所蔵の太田美術館も紹介していますが、

逢瀬を楽しむ男女が
少しでも別れの時間を延ばそうと

ニワトリに酒を飲ませて
よっぱらって朝鳴きを遅らせる

そんな状況の浮世絵です。

 

それくらいニワトリの鳴き声が
江戸に暮らす人々の習慣になっていたという点、
興味深いです。

以前も書きましたが
この絵の時期・江戸中後期は
食材としての鶏卵は一般家庭に浸透していまして、
江戸の玉子料理文化も花開いた時期でもあります。

 

そして上の浮世絵は
とってもロマンチックな情景ですね~。

・・・と言いたいところですが、
たまご屋としては

「鶏に酒を飲ませても
大丈夫なのかな・・!?」

という点が気になるところ。

 

◆酒を飲む鳥はけっこういる

ポーランド・ポズナン生命科学大学
トリジャノウスキー博士の研究によると
半野生動物・ペット含め、

55種の鳥がアルコールを飲んでいる
ことが判っています。

Birds Drinking Alcohol: Species and Relationship with People. A Review of Information from Scientific Literature and Social Media(2020)

 

へー。

自然に発酵してお酒になった果実を食べて
酔っぱらっちゃうそうで、

オウムやカラスなど賢い鳥は
好んで飲むこともあるそう。

 

論文読んでみましたが、
ニワトリの飲酒も17例が確認されてました。

なるほど~。

ニワトリが
お酒を飲めることはわかりましたが、
健康面の影響はどうなのかな?

 

・・・この点に関しては
あまり研究がなさそうなんですよね~。

誰得なテーマですから
そりゃそうかもしれません。

 

『鶏の胎児へのアルコール影響の有無』
を調べた古い研究によると、

エチルアルコール、つまり飲むお酒は
鶏の『肝臓には』影響を及ぼさないっぽいです。

ニコチン及びアルコール類の鶏胎仔に及ぼす影響(日薬理誌55,(1959))

 

つまり一度きり今宵の逢瀬のためならば
ニワトリを酔っ払わせてもオッケー・・!?
『ロマンス優先』でも大丈夫そうです。

かといって飲ませたりはしませんですが。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2025年08月13日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

いよいよお盆の入りですね!
取引先のお店さんもぼくたちも
てんてこまいです。

我が四国徳島県には
あの“月に投げ草にすてる”優雅な手つきの
盆踊りはありません。

阿波踊りです。

もともと水路が発達した徳島の城下町では、
盆踊りをする広いスペースがなく、
橋をわたって練り歩くスタイルの
『阿波踊り』になったのですね。

水路をめぐるボートツアーもあるくらい。

地域特性がもたらす文化って
おもしろいです。

阿波踊りって東京の高円寺でも
やってますが、住んでる人によると
高円寺から大和町のあたりは
すっごく道が狭いことで名高いそうで、

その地で阿波踊りが定着したのも
同じ理由かもしれません。

 

こばやしにとっては生れてからずっと
めちゃめちゃにぎやかなお盆
がデフォルトなので、

ようこそっ!
おかえりなさいっ!

って感じで明るくご先祖様を
迎えたくなる雰囲気は
悪くないです。

 

◆お盆には食べなかった卵

昔むかしは、お盆には卵を食べない
風習がありました。

仏教の催しですから、
たまご・肉・魚など
殺生はしないで過ごそう
という考えですね。

ただ、
もう今はずいぶん変わってきていまして
スーパーさんのチラシにも、
おもてなしのお肉や魚、良いおすすめが
フツーにズラッと並んでいます。

 

葬祭関連の知人によると

「今は故人の好きだったものを
みんなで食べて、喜んでもらえるのも
良いんじゃないでしょうか。」

との話でして、
たしかに本質的に誰のため
というマーケティング視点でいうと

お盆にあの人が好きだったオムライスを!
みたいな流れもよさそうです。

 

◆供養で積極的に卵を食べる中国

ちなみに中国では真逆でして、

中国のお盆にあたる“清明節”には
めっちゃ卵を食べます。

赤く染めた卵を食べたり

火を使わない料理『寒食』が
風習になっているため
事前にゆでて煮た玉子や
ピータンを積極的に食べます。

これは乾燥する時期に
火事を防ぐための風習だった、
という説もありまして

 

阿波踊りと同じく
風土環境的な要因から生まれて
たまごを食べる風習になっちゃうのは
とても興味深いです。

ご飲食店さん洋菓子店さん製パン店さん
みなさま怒涛の一週間だと思います。

ご自愛くださいませ・・!

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:清明節はなぜ卵を食べる?まさかの伝説が・・・ | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2025年08月11日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

南米のアマゾンにすむ
「ツメバケイ」という鳥がいます。

漢字で書くと、

「爪羽鶏」

ハネがツメになったニワトリ。

なかなかカッコいいですね。

 

ニワトリと同じキジ科ですが、
ぜんぜん別の鳥です。

飛ぶのが苦手で
木から木へ飛び移って移動するそうで、

そこはニワトリと似ているかもしれません。

「卵」の守り方が面白くって、

アマゾン川の真上に伸びた
木の枝に巣を作って卵を産むという

世界最大の河川を使った
かしこい防御システムです。

Hoatzin eggs on nest (Opisthocomus hoazin)

上記の写真も巣の下はアマゾン川。
たしかに落ちるリスク考えると
外敵も狙いにくいですよね~。

 

なんで『ツメの羽』なんて
名前がついているかというと、

生れてすぐのヒナの羽に
でっかいツメがついているから。

ナショナルジオグラフィックより)

飛べないうちはこの2本のツメを
枝にひっかけて移動するんですね。

かっこいい!

ちなみに
羽が生えそろう二週間後になると
ツメは抜けちゃうそうです。

 

実はのこの爪羽鶏、

ニワトリとは真逆の
面白い生存戦略を摂っているんですね。

 

それは、

嫌われる

という戦略。

においがすごくって
めっちゃ臭いんです。
糞の匂いをしてまして、

生きていても「腐っている」かのように
誤認させることで外敵に食べられなくする
というすごい作戦です。

匂いに敏感な獣も寄ってこないですし、

もちろん「飼育してペット」なんて
とんでもない匂いですから
人間も捕まえることはありません。

 

対照的なのがニワトリ。

もともとはアジアの奥地に住む
「セキショクヤケイ」という小さな種でしたが、

好かれる

ことで数が増えていったのです。

 

正確な朝鳴き

闘鶏としての娯楽性

鳴き声の美しさ

 

その後は育種がすすみ

肉が美味しい

卵をたくさん産む

 

・・と、いろんな恩恵を
もたらしてくれるため
人間社会の繁栄と共に数を増やし
現在では世界に230億羽以上のニワトリがいます。

これは栄養の少ない平地に
細々と育つ戦略をとった「イネ」が、ある日
脱粒性(勝手に種が落ちる)を失ったことで
めっちゃ収穫しやすくなり人の手を借りて
世界中で育てられているのと似た構図
ともいえます。

 

協力者をつくる
相手を近寄らせない

どちらも興味深さを感じますね。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 鶏さん・鳥さんのコト 2025年08月9日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

そういえば以前
スーパーさんの売り場で
ほかと違う
『さけるチーズ』を見かけて
ちょっと驚いたことがあります。

ひとつだけ、パッケージが
ちがってます。

ふつうは上記のようなパッケージですが、
中にひとつだけ下記のような

めっちゃさける画像が。

おそらく印刷業界でいう
12丁づけとか24丁づけとか
つまり1シートで大きな印刷をして
それぞれのパッケージにカットする際に
こうういうレア包装が一面だけ入るように
してあるんでしょうね。

味はおなじく美味しい!

金のつぶ納豆でも
おなじようなことをしているのを
見たことがあります。

こうやっていつもと違う
特別感を演出するのって
すごくステキですね~。

 

◆日常感が出てしまう食材「たまご」

その観点でいうと、
たまごはちょっと不利な食材でもあります。

あまりに日常になじみすぎていて
あなたのお店のメニューで
たとえば「目玉焼き」を出されても

「家でよく食べるしな。」

なんて感じられてしまう、
特別感がよわくなっちゃう
かもしれません。

 

◆特別感を出せるたまご

反面、
毎日家庭で見ているものだからこそ

「これゼンゼン違う!」

と大きな驚きを作り出すことも
できるわけです。

たとえば
まっ白のオムレツだったり

超濃厚なたまごかけごはんだったり

黄身が2つあるラッキーたまごだったり・・・

限定でも良いので、
なにかレアなたまごをメニューに取り入れる

また、珍しいスパイスと組み合わせるなど
日常感を逆手に取った
繁盛メニューをぜひ
たまご料理では演出してみるべきです。

チーズや納豆だって
日常感が強い、「いつもの」
みたいな感じがあるからこそ、
ああやってパッケージでも
驚きがつくりやすいんだと思うんですよ。

そもそもあまり見てないものだと
見た目がちがっても「そうだっけ?」
ってなっちゃいます。

日常だから → より驚きをつくれる

はひとつの繁盛法則じゃないでしょうか。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ワクワクすること 2025年08月7日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

たまごのことわざ第91弾、
今回はドイツから。

 

<卵ともう一つの卵のように似ている>
Sich gleichen wie ein Ei dem anderen

親子や兄弟などが
そっくりなこと。

日本でいう「うりふたつ」
です。

卵同士は外観が似ていて
2つ並べると見分けがつかないくらいだ、
ということから来ています。

なるほど~。
たしかにサイズが同じなら
そっくりに見えるかもですね。

ゆでたまごの試験なんかでも
事前にマーキングしておかないと
どれがどれだかわからなく
なっちゃいそうになります。

とはいえ実際は
よ~~く見て接していると、

同じ鶏種・同じ農場で生まれる卵でも
模様や色の濃淡・形状がそれぞれ
毎日豊かに変わっていて

たまごって多様性あるなぁ。

とは感じるんですよね。

ただし鶏卵が
似ている代名詞なのは
察するに

「ほかの鳥の卵とくらべて」

という意味かと思うんです。

たとえば「うずら卵」は
海外では「ニンジャエッグ」
なんて言われるくらい
模様の多様さがあって
背景に溶け込みます。

また、下の写真は海鳥の卵ですが
これもすごくバラエティあふれる
模様がありますね。

それに比べると鶏のたまごは
だいぶん似ている方だと言えるかも
しれません。

ちなみに日本の慣用句『瓜二つ』は
スパッと切った瓜の左右は
“切り口”がおんなじ形をしている
ことが由来。

そりゃそうです。
同じ形になりますね。

 

◆普及しているものが「たとえ」に

そもそも共通に知っていないと
こういう諺や慣用句にはならないわけです。

日本では「瓜」って
ことわざも多いんですよ。

平安時代から入ってきて
江戸時代には「みんな知っている」
食材でしたから。

 

そういう観点でいうと、
ドイツは卵の言い回しや
慣用句ことわざがかなり多い国です。

たまごで例えて
「ああ、そうだよなぁ。」
みんなが思ってくれるのは、

それだけ日本と比べても
畜産の歴史が長いドイツで
鶏卵が古くから親しまれていた
という証左なんでしょうね。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2025年08月4日