こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
たまごのことわざ、今回は英国から。
<たまごくらい満タン>
as full as an egg
これは、
ぎっしり詰まってる
という意味でして、
あと、
『めっちゃお腹いっぱい』
『べろんべろんに酔っぱらってる』
なんて意味にも使います。
「食べすぎて卵みたいに満タンだよ。」
「あいつはワインで卵みたいに満タンになってやがるぜ。」
みたいなカンジでしょうか。
なかなか興味深いですね。
なんで「たまご」なんでしょうか!?
おそらくですが、卵って
中身がすべて液体で満たされている
みたいなイメージがあるからでしょうね。
ゆでたら外のカラとおんなじカタチに
中身がまん丸になりますもんね~。
完全に詰まっている
いわば「天然の生命タンク」
身近でそんなイメージのものって
確かに卵くらいかもしれません。
あと、もしかすると
ハンプティダンプティみたいな
でっぷりお腹のイメージも
あるのかもしれません。
◆えっ!シェイクスピア劇にも!?400年からある言い回し
じつはこの表現って
かなり歴史があるんです。
17世紀の辞書にも載ってます。
じっさいに良く使われたのは
1930年代だそう。
そして、
この『卵くらいいっぱい』
という言い回しは
あのシェイクスピアの作品
「ロミオとジュリエット」にも
出てきます。
『おまえの頭は
卵の中が満タンなのとおんなじで
喧嘩でいっぱいだな。』
(Thy head is as full of quarrels as an egg is full of meat.)
『ロミオとジュリエット』第3幕第1場
ロミオの悪友
マーキュショーさんのセリフです。
機知に富んでいて詩の才能もあり
作中で最もシェイクスピア的だと
言われる登場人物でして、
ただし
彼がケンカをはじめたことで
結果的にロミオが
町を追放されてしまいます。
言ってる本人がケンカっぱやいという・・。
この3幕1場はこの
マーキューショとティボルトが
喧嘩から命を落とすシーン。
これまでの喜劇的な雰囲気から
悲劇へ一気にトーンが変わる
境目の場面になります。
上記のたまご慣用句も
冗談めかした言い回しながら
その後の不穏なフラグにもなっている
巧妙な表現でもあります。
単なる比喩っぽい言い回しですが、
そう思ってみると奥が深いですね。
ところでこばやしは
酒の席で『卵の話』をしだすと
テンション上がって止まらないこと
がよくありまして、
友人には
「そのヘンでストップ!」
なんてしょっちゅう止められます。
喧嘩や酒じゃなく
たまごの事でアタマの中が
『たまごのように満タン』
になっているわけですから、
シェイクスピア的な表現だと
文字どおりで正しい・・・!?
のかもしれません。
ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。