小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前に、取引先さんの
展示会に出展したのですが、
その時の会場のBGMが
バートバカラックと坂本龍一でした。

ご担当主幹の幹部さんが
この一年に亡くなった巨匠を
しのんでのチョイスとのこと。

考えてみればすごい方々が
無くなった年ですね~。

 

そして、
昨年亡くなったお一人が
エリザベス2世女王。

1952年より在位、若干25歳にして
即位され戦後英国の象徴となって
長く愛された方です。

 

90歳になっても公務に
積極的に取り組まれ、
バッキンガム宮殿で接遇した人は
一年で10万人近くにのぼったとか。

 

少し前に、
元英国王室シェフの

エリザベス女王の
スクランブルエッグ
こだわりレシピ

が公開されて話題になっていました。

 

エリザベス女王は、
食事に関して質素を旨として
華美なものを食べることは
ほぼなかったのですね。

 

ただし、

どうしてもゆずれない料理

がいくつかありまして、
例えばチョコレートとか
シャンパンはこだわりが
強かったのだとか。

そしてあと、
スクランブルエッグ。

 

スクランブルエッグには
ナツメグとレモンの皮
この2つを絶対入れる

これが譲れない点だったとか。

なかなかおもしろいですね~。
日本の家庭ではどちらも
玉子料理にはあまり使いませんが
じつは!

ナツメグって、香りが
めっちゃ卵と合うんですよ。

玉子焼きやオムレツにも超合います。
もちろん、スクランブルエッグにも。

そして、レモンの爽やかな香りも、
卵と非常に合います。

 

スクランブルエッグに入れるのは
ちょっと珍しいのですが、

イギリスの伝統料理に

レモンカード

というものがあります。
これはいわば
卵とレモンを使ったジャム
バターと卵とレモンが
すごく良いハーモニーで
めっちゃ美味しいんです。

故エリザベス女王が
スクランブルエッグに
レモンの皮を指定したのも
きっとこのレモンカードから
来ているんじゃないでしょうか。

 

伝統料理から
本質的な価値を抜き出して
応用しているわけで、

ユニークに見えて根拠しっかり

というのは
繁盛たまごメニューの
大事な要件です。

ぜひエリザベス2世女王の
慧眼を、僕たちも応用しましょう!

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

詳しいレシピはこちらです↓
【レシピ】エリザベス2世女王のスクランブルエッグレシピ | たまごのソムリエ面白コラム

 

(関連:古典の『甘いたまご料理』が新しい!【オレンジオムレツ】 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2023年04月22日

たまご料理の
クオリティを変えずに
時にはクオリティを落としても
満足度を上げてしまう。

そんな方法があります。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

ぼくは30年ほど、
マジックと大道芸を
趣味にしています。

若いころのこと。

知り合いに頼まれまして
ある公務員部署の忘年会で
マジックショーをすることに
なったのですね。

報酬をしっかり
いただいたこともあって、

6名チームでしっかり
準備をして行ったのです。

会場が食事でワイワイと
盛り上がってるころ、
いよいよ出番がきました。

ところが・・・

だ~れも
マジックショウを
見てくれない・・・!

まったく盛り上がらない!
のです。

 

考えてみれば
当たり前でして、

大人数の部署、
上下関係もある
大勢の大人が集まる
忘年会ですから、

マジックをジッと
眺めるよりも、
お酒を注いでお互いで
話をしたいわけです。

頼んでくださった方だけが
気を使って「パチパチ」と
拍手をしてくれるんですが、
それすら周りの会話に
かき消されるレベル・・・。

 

申しわけなさと悔しさで
皆でやけ酒をあおったのを
覚えています。


 

これって、お酒の席に
かぎったことでは
無くって、

たとえば僕の手元に

『マジシャンのためのウケるキッズショーの作り方』(デビッド・ケイ著)

という専門書がありますが、

その中で

「観客やその親が
こっちを観てくれない
場合にどう対処するか」

についてなんと
43ページにもわたって
細かく解説されています。

 

それくらい
お互いが会話したい場や
お酒の席では、モノを見せる
難易度が高いわけです。


そして
それから・・・

何度もお酒の席、
忘年会なんかでマジックで
お呼びいただくことがありましたが

僕のウデの良しあしは
別として少なくとも
「最初っから観てくれない」
ということは一切
なくなりました。

それも、

たった一つのことを
しただけで。

それは・・・・・・

 

 

観客を舞台に
あげてしまう。

これだけです。

 

演者 舞台 ❘ 観客おおぜい

こういう構図じゃなくって

 

観客
演者 舞台 ❘ 観客おおぜい
観客

こんなカンジですね。

いっしょにやる。楽しむ。

こういう構図をつくるだけで
いとも簡単に、

全員が(時には)
大盛り上がりで
観てくれるように
なったのです。


これって、
飲食店さんのメニューにも
言えるんじゃないかと思うのです。

作る人  ❘ 食べる人

という構図だけじゃなくって、

作る側に引き込んでしまう

たとえその素人の腕前で
料理クオリティが落ちても、
満足になるんじゃないでしょうか。

 

たとえば、
アツアツのチョコソースを
最後にかけて
完成させるデザートがありますが、

 

 

これなんかも
最後のひと手間を
お客様と一緒に
完成させているわけです。

 

以前泊った旅館では、
目玉焼きと湯豆腐を
テーブルで作れる
専用食器を特注して
いましたが、

これも
「作る側に引き込む工夫」
でしょうね。

 

自分も一緒に作ると、
喜びも2倍になるのです

 

あなたのお店でも、ぜひ、
どこかのひと手間で
お客様を作り手に引き込む
そんな演出メニューに
してみてはいかがでしょうか。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ワクワクすること , マジック 2023年04月20日

少し前に
横浜山下公園を通ったのですが、
フラワーガーデニングのフェアを
やっていました。

横浜のいろんな造園業さんが
花のディスプレイを
しているんです。

これ、ステキですね~。

 

どれもキレイで
見ていて飽きないくらい
だったのですが、

いくつか特に
面白いものがありました。

 

なんというか、
ファンタジーの生活感を
想像させるというか
世界観を感じさせるものが
いくつかあったのです。

ただ花がステキなだけ
じゃなくって、
ドアがあったり
タンスがあったり、
線路があったり・・・

『誰かがそこに生きている』って
イメージが膨らむと、
ステキさも倍増して見えますね。

そして、これって考えてみたら
出展されている造園業さんの
施行のPRにもなりますよね。

 

じっさいの生活するお庭の様子や
エクステリアのイメージにも
通じるわけですから。

 

一見花を見せているようで、
自分たちの伝えたい企業の
“魅力”や“世界観”を伝えられる。

これってなかなか
やり手なんじゃないでしょうか。

 

こういう、おまけ的に
サラっと自社の価値
伝えていくのって、
僕たちや飲食店さんでも
役に立つ技術です。


 

我々たまごの世界でも
ただ美味しいだけじゃなくって
こういった『世界観』が価値になる
事があります。

 

たとえば、
たまごの味の良しあしと
ニワトリの育った環境は
必ずしも一致するものでは
ありませんが、

でもすごいド田舎感や
自然感が伝われば、
その卵の美味しさも
倍増しますよね。

 

アニマルウェルフェアなど
飼育に関する考え方

地場の農産物などを飼料にする
『もったいない』の考え方

地域的な地産地消や
逆に遠方のたまごの取り寄せで
非日常感や特別感を伝えたり・・・

 

いろんな周辺イメージの
伝え方もあるかと思います。

 

また、洋菓子店さまやご飲食店さま
であれば、
商品の名づけから店の雰囲気
開発秘話まで
いろんなものが物語や
イメージ膨らむものに
なります。

ぜひ、繁盛につながる
おもしろいイメージづくりに
トライしてみてくださいませ~。

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ワクワクすること 2023年04月20日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

世界のたまご鶏ことわざ 第79弾

今回はドイツから。

 

<『卵は卵だ』と言ったが、
小役人はガチョウの卵を取った>

“An egg is an egg,” said the beadle, but he took the goose-egg.

ヘンなことわざですが、ようは
「同じだよ~。」と言いながら
よりトクするものを持っていく
ずるい行動のことです。

 

いますよね~。
イベントの準備なんかで
「みんなで分担ね♪」
なんて言って、
いちばんラクな役割りを
しっかり先に取ったり…。

 

こばやしは子供の頃、
法事でもらったお菓子を
子供たちで分ける際

「ぼくがやるね!」
なんて言って、
一番人気のチョコパイを
自分に4つ取って、
怒られたことがあります。

「数は合ってるじゃん・・!」

なんて抗弁しましたが、
まさに小役人のガチョウ卵ですね。


 

このことわざは前提として、

「ガチョウの卵は鶏卵
よりも価値が高かった」

…という事が分かってないと
なんじゃこりゃ?と
なっちゃいます。

 

ガチョウのたまごは
鶏卵より2.5倍も大きく
味は濃厚でクリーミー、
年間に産む量は鶏卵よりも
少なく希少なんです。

黄身の割合も多くて
好きな人も多いんですよね。
今でも高級品としての位置づけに
なってます。

 

以前ご紹介したことわざで

『ガチョウの卵をもらうために鶏の卵を屋敷に持って行く』

というのがありますが、
これも「エビで鯛を釣る」
つまりより高価な
「ガチョウのたまご」に
替えてもらおう、という
意味なんです。

 

ちなみにこのことわざの
小役人(ビードル)とは
教会で案内や宗教的行事の
補助をする人のことで、
『偉い人の使いっ走り』
的なイメージもあります。

英国だと“学生代表としての補佐役”
みたいな立派イメージがあるそうですが

このことわざでは
スネ夫的なイメージでしょうか!?

 

なんにせよ、
目先の小さなトクを得ようと
考えちゃうよりも、

自他の心で
多くの人のハッピーを
目指す方が、

結果として信頼され
得られるものも多いわけです。

 

企業も同じですよね~。

たとえば老健施設で
必ず地元町内からしか
仕入れをしないグループが
ありますが、
仕入れコストは合い見積もり
より高くなっても、

地元の信頼が増える方が
メリットになっているわけです。

 

社会貢献を第一にして
結果として繁盛する。
先義後利を
自分でも心に銘じてまいります。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2023年04月18日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

新海誠さん監督のヒットアニメ映画
「すずめの戸締まり」
中国での興行収入が146億円突破だそうですね。

なんと!日本国内の興行収入を超えたのだとか。

 

 

うーん、すごい。

日本の文化にこれだけの関心を
持ってくれているのは
素直にうれしいですね~。

 

こういった成功を受けて、
ハリウッド映画が
そうなったように、

最初から中国での興行を
ターゲットとした名作
アニメ映画なんかも日本で
作られていくのかもしれません。

 

同じように、
日本食も中国で流行してる
ものがあります。

たとえば
日式のラーメンなんかも
中国内でかなり大きな
多店舗チェーン店があります。

 

そんな中、
日本で中国料理が
フツーに食べられるように

中国でも日本食で、
一般家庭にまで浸透する
料理がでてくるんじゃないかと
感じますね。

 

個人的にその筆頭は

オムライス

だと思っています。

そもそも中国では
チャーハンが広く
食べられていますから、

たまご+お米→加熱

というのは
受け入れられやすいのですね。

そして、オムライスといえば
ケチャップですが、

ケチャップって
実は!
中国発祥なんです。

『ケ・チャプ』と呼ばれる
福建省の「魚醤」が元になってまして、
中国人の商人や船乗りが好んで食べ、

それがインドネシアなど経由で
イギリス人の船乗りにも
「これイケるじゃん。」と
好まれるようになって
さらに広まったとされています。

それが、途中でトマトと
合体したわけですね。

「ケチャップの起源は中国」

なんだか“魁!!男塾”の
民明書房刊みたいですが
ホントの話です(笑)

じっさい
エビチリや酢豚なども
日本ではケチャップを
使ったレシピが普及してますが
ケチャップって中国的味覚とも
相性がすごく良いんですよね。

 

ですので、

・お米と卵

・炒める料理である

・ケチャップはイイよね!

という3拍子で、
オムライスは
間違いなく中国でも
浸透するんじゃないかと
思っています。

日本でのオムライスは
伝統的チキンライス包みから
半熟トロトロのものまで、

百花繚乱の多様化が
進んでいます。

まずは、
インバウンドから浸透して
その多様性も間違いなく
中国の方々に楽しんでいただけるに
ちがいありません。

 

ちなみに中国語でオムライスは
「蛋包饭(卵包み飯)」です。

ぜひ、あなたのお店の
オムライスメニューにも
この3文字を添えてみては
いかがでしょうか!?

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 料理別・たまごのこだわり , オムレツ 2023年04月17日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

たまごと言えば新鮮…

というイメージはあるかと思います。

 

ですがその逆なのが、

時間をかけて美味しくする
発酵食品としてのたまご

これに、
すごくおもしろい魅力があります。

どれもちょっと変わった
食べ物になるんですね。

 

◆たまご発酵醤油

普通は小麦と大豆と麹で
作るのが醤油ですが、

なんと!
卵の白身と小麦
醤油ができるんです。

特徴としては、
味が濃いのに色が
すごく薄い・・!

あとほんのりと
たまごの風味がすること
でしょうか。

ふつうの醤油や味噌は
発酵の過程で黒褐色になる
メイラード反応が起こります。

たまご醤油の場合は
これが少ないんですね。

 

ちょっと面白いのは
その作り方でして、
醤油麹菌の発酵って
液体な卵の白身には
生やせないんです。

ですので、
たまご+小麦粉で固める

つまり、
いったんケーキを作って
砕き、そこに麹菌を生やして
発酵させてるんですね。

ケーキ→醤油

何年か前に京都女子大発の
ベンチャーから出まして

現在、たまご+大麦で
つくった卵醤油が市販されています。

超たまごづくしのメニューなんかも
おもしろいんじゃないでしょうか。

 

◆麹熟成卵黄

さっきの発酵醤油は
卵白に麹でできたものでしたが、
卵黄+麹発酵でも
かなり面白いものができます。

それが、麹熟成卵黄
キューピーさんが研究してまして
なんと黄身のうまみが5倍
香気成分は90倍に。

なかなかスゴイですね。

どちらかというと
競合がたまごじゃなくて
チーズなどになってくる
感じです。

まだ新しい食材ですので、
今後も何か面白い使い方が
ありそうです。

 

◆中国伝統の高級食材
「卵白粉」

最後は、
超レア食材「卵白粉」です。
発酵醸造学・小泉武夫氏の著書
「発酵食品礼賛」に出てきます。

『卵の卵白だけを発酵槽に入れ、
夏期で2から3日、秋期で4から5日
冬季で1から2週間、放置した状態
で空気中から進入した菌で発酵を行わせる。

(中略)この発酵した卵白を濾過した後、
乾燥させてから粉末にしたもの』

これがとてもきめ細かい
優良な粉となって、現在では
滋養剤や高級菓子なんかに使われて、
希少価値からなかなか手に入りにくい
ものになっているとのこと。

 

位置づけ的に
和三盆みたいなカンジですね。

発酵させるのは、
「卵殻膜や胚などを
発酵による泡とともに
浮遊させて除去し、
製品純度を上げるため」
とのことですが、
これ、めっちゃ大変なんですよ。

 

なにせ、生の卵白って
溶菌作用がありまして、
菌にめちゃくちゃ強いんですよ。

つまり、そんな簡単に
菌が生えたり発酵したり
しないんです。

上記の卵白発酵なんて
めっちゃ手間なんですね。

そこまでして、
上質の食材を作り上げるなんて
ホント感動します。


いかがでしたでしょうか。

そもそも卵の発酵食品を
そこまで見かけないのは、

「たまごが長期保存食だから」

なんですね。
意外と長もちするので、
発酵して保存する必要がなかった。

ですが、
「よりおいしくなる」
その目的で考えると
いろんな発酵が
新たな食材として
おもしろい可能性があるんです。

 

ちなみに
ピータンやたまごの糠漬けは
菌による分解が進むわけでは
ありませんので、
厳密に言うと発酵食品ではありません。

 

ぜひ、たまご繁盛メニューの
新たな選択肢として、
たまご発酵食品を活用して
くださいませ~。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごのビックリ科学 2023年04月16日