小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

一昨日の続きです。前回は「卵は料理の仕方で価値が10倍にもなる、魔法の食材だ!」という事をお話しました。この考え方は、我々の目指す方向にピッタリだったんです。
我が社は自分たちを、卵お届け業じゃなくて、「おいしさと健康」提供業と考えています。

dishplate.jpgですから、「卵いりませんか?」じゃなくて、「いちばん合う卵を使って、もっともっと美味しい料理を一緒につくりませんか?」なんです。例えば、「温泉卵いりませんか?」だと、「え、他社さんも扱ってるよね。オタクのは安いの?」・・となりますよね?

でも、「温泉卵で、お客さんに大人気でしかも利益の出るメニューを、一緒に作りませんか?」というと、全く違うコミュニケーションになります。
牛丼で400円よりは、『とろふわ温玉牛スジ丼』500円の方が、粗利も高いしお客さんの満足度も高いですよ!、こういう提案です。Smile

前者は卵そのもの、後者は価値を売っていることになるんでしょうかね?「モノよりコト」、ワクワクする「おいしさ」の提供が、我が社の取り組みなんです。

カフェさんであれば、コーヒーをいちばんおいしく感じる卵料理はなんだろうか?香りは?、苦味との相性は?卵の特徴は・・・??
これを一緒に考えさせてもらえれば、私共も、オーナーさんも、そしてそのカフェさんのお客様もみーんながワクワクできる、成果に繋がったりします。

もちろんそのためには、温泉玉子ならそれだけでも何百もの全国の人気メニュー知っておく必要があります(大変だ!)。そこで我々は「卵のことについては、日本一詳しい会社になろう!」と社内みんなで取り組んでいます。社内勉強会の内容はホント様々です。サービスやお客様のことに加え、卵の物的特性、健康機能、養鶏場さん別の取り組み、農地での味の違い、それから全国の料理トレンド・・・、学び深める事はたくさんあります。ホント面白いですよ!Laughing

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2009年03月12日

昨日はある中華料理屋さんに提案に行ってきました。煮玉子についてのお話がとっても弾んで、いろんなこだわりが聞け大変勉強になりました。煮玉子は手軽に作れる一面、こだわると非常に奥が深く、研究していて面白いメニューです。

200803271241.jpgところで、皆さんのイメージする卵の値段は、一体いくらくらいでしょうか?

弊社でも聞き取りをしてみたところ、だいたい10円-20円くらいの回答が、一番多かったです。特売の卵のイメージもあるからでしょうか、実際の平均価格よりも多少低めの印象ですね。では、煮玉子は、いくらくらいのイメージでしょうか?
こう質問すると、だいたい80円から100円くらい。なんと料理方法で価値が5-10倍になってるんです!
温泉卵、燻製卵も同じです。80円から100円のイメージ。

と、いう事は、をうまく活用する事で、原価は安くても付加価値を高くできる・・。つまりお店にとっては満足度を上げつつより多くの儲けを出せる魔法の食材だという事です。
しかも、手間はかかりますが、工夫しだいで店独自のメニューも作りやすい食材です。
「粉、米、卵をうまく使える店は繁盛する。」フードコンサルタントの大久保一彦氏は著書でそうおっしゃっています。
卵と同様、粉、つまり小麦粉そして米も、料理しだいで付加価値があがる食材だという事ですね。例えば、チャーシュー麺が人気のお店と、チャーハンが人気のお店、どっちがより利益が取れるでしょうか?

答えは後者です。チャーシューの肉は原価も高い上に、煮込む事で更に肉がちぢんでしまいます。反対に、上記の内で卵と米、2種の食材を使ったチャーハンは、お客さんのイメージ価格は比較的高い割に、米と卵を使って原価が低く抑えられます。200人、300人売上が出ると違いはハッキリ出てきます。

同様に、ケーキ(卵+小麦粉)やパン(卵+小麦粉)もありますね。
もちろんその分手間ヒマはかけないといけないですが、空いた時間の活用で、準備や開発も可能だと感じます。
そこのアイデアや研究時間の短縮に、我々のノウハウにてお役立ちをする事が、我が社の考えであり、ワクワクする戦略なんです。Laughing(続きます)

(参照:「飲食店儲かるメニューの作り方」を参考にして聴き取りや試験、ご提案を工夫しています。勉強になるし面白いですよ!) 

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2009年03月10日

先日ある得意先さんでうかがった話。そこは、雨の日になると売上が倍になるそうです。社長さんは「雨降らんかなー。」と思いながら仕事しているとの事。
我々の卵をお使いいただいている、飲食店さんです。

一般的に、飲食業は雨を嫌います。お客さんの出足が鈍り、売り上げが減るからです。「今日も晴れると良いなー。」と思いながら仕事するのが普通なんですね。それが逆に雨を待ち望むとは・・。皆様どんなお店か分かりますか?

この飲食業とは、「ピザの宅配業」なんです。
なるほど、客が外出を嫌がるほど、宅配のニーズが高まるという事です。
悪天候でも不況でも、考え方次第で逆にチャンスになる、という事かもしれません。夜中が大忙し、24時間OKの畳屋さんが売上4倍の大ヒットとなった例もあります。雨の日だから、寒い日暑い日だから、夜中だからこそお客様のニーズにこたえられる新しいサービスが、もしかしたらあるかもしれませんね。
勉強になりました。

ちなみに台風の日は注文が5倍くらいになるとの事(地域にもよるでしょうが)です。配達の方、御苦労様です。Laughing

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2009年03月9日

弊社専務にお孫さんが生誕し、おじいちゃんになりました。「おさるさんみたいでカワイイって感じじゃないけどなー。」といいながら、とてもうれしそうです。社内みんな、とっても幸せいっぱいの気分に包まれています。Embarassed

赤ちゃんは、生まれてすぐからは、一日たまご一個分の体重が増える。」我が息子が生まれたときに、産婦人科の先生より伺いました。すごい成長だなあ、毎日顔が変わってて当たり前だなあ、としみじみ思ったものです。
平均的な卵のサイズは、Mサイズで約60グラム前後です。「60グラムずつ増えます。」と言われるよりも、「卵一個分増えます」と言われるほうが、なんだかイメージしやすいですね。しかも、ご家庭でもしょっちゅう触っているものでしょうし、私も料理するたびに「ほう。これだけ毎日成長するんだなー。」と卵を手にしみじみ思ったものです。
逆に危機のときにも、この「イメージさせる伝え方」がとっても重要になります。阪神大震災の時、「すごい地震で大被害です!」と言っても本社にすぐには危機感が伝わらず、「高速道路も横倒しで大変なことになってます!」と言ったとたん、パッと事態の重大さを理解してくれたという、ある企業さんのお話も聞いたことがあります。目に見えないイメージを、以下に伝えるか、その伝達力イメージ喚起力は時には重要になってきますね。
飲食店にては、おいしそうに見せる写真や絵「シズル」、そしてメニューコメントが重要になってきます。「ビストロスマップで先週取り上げられていた絶品の鴨肉です。」「一口目のとろみがちがいます!」など、いろんな伝え方がありますね。

また、フードコンサルタント大久保一彦氏は著書にて、「一見客→常連客となるにしたがって、選ぶメニューが変化する誘導の仕方、伝え方が重要。」と言っています。店内メニューやお品書きは、お客さんの満足度とお店の利益にとって一番プラスになる様に「なんとなく」選んでもらう事が重要になってきます。これについてはまた後日。

『 [ロンドン2006年10月11日 ロイター] 英国の発明家が大昔から論議の尽きない、「完璧なゆで卵」をつくる方法を考案したそうだ。_この発明家はウィルトシャー州に住むサイモン・ライムズ氏(23)で、卵を調理するのに沸騰した湯ではなく強力な電球を使う。_ガラス製のコーヒーメーカーのような形状のこの装置を使うと6分でゆで卵が完成。てっぺんをカットして、とろりとした黄身にトーストを浸して食べる。(引用終わり)』

エキサイトニュース(http://www.excite.co.jp/ )の二年前の記事です。当時はかなりワクワクしながら期待していました。だって「完璧な」ですよ!?
『ライムズ氏はすでにこの装置の特許を取得済みで、大量生産することに関して複数のメーカーと交渉中だという。』との事だったのですが、どうなったんでしょう?もっと良い方法や、コスト面で駆逐されたんでしょうかね。少々残念です。

いずれにせよ、ゆでたまごの湯で加減は、欧米の方がうるさそうです。たしかシャーロックホームズ(ポアロだったか?)が小説の中でこだわりを語るシーンもありますしし、ガリバー旅行記で出て来た小人国の戦争も、ゆでたまごの割り方が原因でした。そういえばハードボイルドという小説のジャンル名も、「固ゆでたまご」が語源ですね。

本日ゆでたまごなど調理機械のメーカーさんと、お話をする予定です。いろんな美味しさについてのこだわりが聞けそうで、ワクワクしています。

 

今回は、いよいよ目玉焼きに向く卵について、ご説明いたします。究極においしい目玉焼きを食べるには、どんな卵を用意すればよいでしょうか?

さて、繰り返しになりますが、目玉焼きは世界の超人気メニューです。それだけに、ただ「焼く」という単純な行為の中にも、いろんなこだわりが存在します。
(参考リンク)目玉焼きのおいしさ_その1:おいしい目玉焼きを作るコツ

日本人のもっとも好きな焼き方は、「サニーサイドアップ」。片面焼いて上部は蒸し焼きのスタイルです。おそらくほとんどの方がそうではないでしょうか?
さて、サニーサイドアップで目玉焼きを作る場合、もっとも重要になってくるのが、熱の通りかたです。白身が焦げちゃったり、黄身が予想以上に固くなっちゃったり、この辺で失敗した方もたくさんいらっしゃると思います。私も、ついついテキトーにつくって、家族に叱られたりします。
では、誰がつくっても、理想の火加減とろウマの食感で食べられる卵は、あるんでしょうか?これについて、我が社ではいろんな仮説を元に、試験をしました。

我が社の「たまご研究チーム」と、プロの料理人の皆さんとの試食試験により、実は究極の目玉焼き作りに最も重要な点は、「割ったときの卵の形状」であるとの結論に達しました。詳細は以下のとおり。

◆白身が多すぎると大味になる。
最も重要なのは、黄身と白身の盛り上がり。濃厚卵白が弱いと、あっという間に白身だけ火が通ってしまって、焦げやすい。
黄身の盛り上がりが悪いと、出来上がりがばらついて、おいしく作りにくい。黄身も共に平べったいと、すぐにに火が通ってしまって固くなりすぎてしまう。日本人の多くの人が好む半熟の場合は特に、タイミングがムズカシイ。
黄身の曲率が球に近いほど、外側から均等に熱が伝わり、まろやかな風味が出る。表面はしっかり、内部はとろーりとしたまろやかな風味が楽しめる。

繰り返しますが、目玉焼きに関しては、加熱するときの形状が最も重要、次に旨味やとろみなどの味食感が来ます。この結果に基づき、更にサイズや鶏種、産地や飼料などで約10種程度にしぼりこんで、試食試験を行いました。
その結果、高評価の卵に共通していたのは、「鶏の若さでした。若鶏の卵は黄身に張りがあり、盛りあがりもホント球に近いくらいしっかりしています。箸でつまんでも割れないくらいのハリがあります。これは、料理しやすいです。私の様なあわてんぼが朝の忙しい中、料理しても焦げず破れず成功しやすい卵でした。

他にも、黄身の旨味やとろみ、醤油との相性、香りなどなど、いろんな要素から、養鶏家さんと共に飼料など工夫をした上で、「究極の目玉焼き専用たまご」ができあがりました。

一般のたまごで、おいしい目玉焼きに向く卵を探すなら、まず(1)MSサイズであること、(2)新鮮であること、(3)冷蔵庫から出してすぐ使うこと、この三点にこだわってください。
若鶏ほどのハリが無くても、やや小さめの卵が、上記の理想の形状に近くなるようです。新鮮であることも、同じ理由です。そして、低温の方が締まってハリがよくなりますので、あまり常温になる前にサッとフライパンで加熱する方が良いようです。

以上、いかがでしたでしょうか?皆様の食卓のワクワクに少しでも貢献できましたら幸いです。ぜひお試しください。
そして、香りや旨味そして黄身の曲率にまでこだわった「究極の目玉焼き専用たまご」もぜひ一度、体験していただけましたら幸いです。とろとろあつあつ、ホントに美味しいですよ。

次回は、目玉焼きにつける調味料について、お話します。