小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

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こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

写真の目玉焼きは

南極アムンゼン・スコット基地のスタッフが
一昨日の6月6日に

「最後のたまごです。」

とブログにアップしたもの

観測所にあるたまごは、ぜんぶ
使い切っちゃったんだとか。
氷に閉ざされていて、
なんと11月まで新しい卵・食材は来ないそうです。

半年間も!
なかなかきついですね。

僕は一日10個のたまごを食べ続けてますので、
半年先まで食べられないなんて・・!
これは耐えられないですね~(汗)

 

アムンゼン・スコット基地は最南端、
つまり南極点にほど近い場所にあるんですよね。

人類の生活圏から最も遠い
まさに「極地」にある建物です。

たしかに・・さすがにしょっちゅう補給便を
出すわけにはいかないですね。

 

南極には日本の昭和基地もあります。
昭和基地で料理人をされていた西村さん
という方の本を読んだことがありますが、

一年基地で暮らそうと思ったら、
一人当たり一トンの荷物を持っていかないと
いけないんだそうです。

生活ってホント大変ですねぇ・・・。

今年は日本でも空前のたまご不足でした。
地域によって欠品しているところも
ありましたよね。

「最後のたまごだ・・・!」

と同じ気持ちになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

◆宇宙へつながっている!?

ちなみに新鮮な食材の不足を補うため、
アムンゼン・スコット基地では
ボランティアで運営されている
南極温室をつくって活用しているんだとか。

限られた量の新鮮なハーブやサラダを提供し、
単調になりがちな保存食に貴重なアレンジをを
与えているそう。

これって、宇宙とか火星基地とかを将来考えたとき
必要になる技術なんですよね。

野菜の次には
「最後のたまご」にならないよう、
ぜひ!ニワトリを飼育してほしいな、
と思います。

 

じつは、NASAの考える『極地』、
月面基地や火星基地の計画で
畜産動物の最有力として考えられているのが
ニワトリなのですね。

なぜなら、

・個体が小さいからスペースが少なくていい

・いちいち殺さなくても食料(卵)が採れる

・宗教的にタブーが最も少ない

というメリットがあるため。

どれも、南極基地にも、将来の宇宙基地にも
すごく重要な観点です。

 

そのためにも、同様に限定された居住場所
南極基地での生活レベルを上げるために、
ニワトリ飼育で経験をつむのは
すごくメリット大きいわけですよ。

南極でも

月でも

火星でも

広がる卵&ニワトリライフ!

わくわくしますね~。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2023年06月10日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

東京に来るたびに思うんですが、

意外と緑がありますよね!

なんとなく、田舎は緑がいっぱい
都会は少ない、みたいな感覚がありますが、

最近は都市緑化の取り組みも進んでいて、
下の写真は東京の町なかですが、
田舎の町なかよりよっぽど
歩いていて気持ちいいとかんじることも。

おなじ要素で言いますと、

子供が遊ぶ場所

も同じことがいえそうです。

 

田舎はスペースがあって子供の遊び場が
たっぷり!たくさん!みたいなイメージが
ありますが、
じつは「公園」のような整備が必要な
遊び場って田舎ほどすくなかったりします。

例えば我が徳島県であれば
人口あたりの公園の数は、
ワースト4位。

 

畑、とか空き地、とかは
めちゃくちゃたくさんあるんですけどね。

ちなみにこれは、ウチの家のドアをあけた
風景です。

小さい子を連れて行って一緒に遊ぶ
なんてのになると、たしかにあまり
選択肢は無いですよね~。

都会なら歩いていたら、すぐ公園が
あるイメージです。

 

ですので、やっぱり常識に
とらわれていたらいけないな~、と思います。

卵で言うと、

盛り上がりがしっかりなほどいいたまご
臭みが無いのがいいたまご
放し飼いだとよいたまご

とか。

どれも間違いじゃないですが、
たとえば新鮮でも盛り上がりが
やや弱くって黄身と白身が
ふわっと柔らかく弱いほうが
玉子焼きやオムレツがとろふわに
美味しく仕上がります。

臭みの無いたまご、は良い点ですが、
料理によっては物足りなさになることも。

放し飼いもそうで、
料理に合わせて考えるなら、
場合によっては、
ケージでも健康でしっかり
育てたほうがより微細な美味しさを
体現できることもあります。

 

どれも大事なのは
イメージ先行じゃなくって、

じっさいに料理が美味しくなるのか

など必要な事を決めておいて、
事実としてそこに当てはまるかを
考えていく必要がありますよね~。

なので、僕たちは
料理別専用たまご
と表していろんなデータを
取引先の料理人さんパティシエさんと
一緒に日々あつめ評価を続けてるんですね。

たまご提供業じゃなくて
美味しさ提供業
健康提供業
繁盛提供業

しっかり目指してまいります。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2023年06月8日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

ポーチドエッグってありますよね。

普段つくられますか?

 

30代以下の女性人気こそ高いものの
あまり日本ではメジャーじゃなくって、
キューピーたまご白書でも

「一年以内に作ったことがある卵料理は?」

の回答でポーチドエッグは
全世代で4%以下です。

 

人気と自作のギャップが大きい、
ある意味飲食店さま向きの
たまごメニューと言えます。

ポーチドエッグって、
お酢をたらしたお湯で
超短時間で卵を固め、

黄身はトロトロ
白身はふんわり

な極上のたまご料理でして、

日本人が大っ好きな食感要素が
すごく強いんですよ。

江戸の昔から類似の料理がありますし。

 

で、ですね。
ただのポーチドエッグも良いのですが、
そこに、さらに!

超濃厚こくウマなポーチドエッグ

にする調理方法があります。

 

それは、

すましバターのポーチドエッグ
(Poach Eggs In Clarified Butter)

なんと!お酢水じゃなくって
バターにたまごを落として
ポーチドエッグにするんです。

 

このすましバター(クラリファイドバター)は
バターを弱火でゆっくり溶かすと、
上部の泡と、中間の透明部分と、
下に沈んだ固形物に分かれます。

この中間の液体を
澄ましバターと呼びます。

上品なバターの香りが良くって
固形たんぱく分が無いため味も
重くなりすぎず、「液状」なので
ポーチドエッグにもうってつけなんです。

①その澄ましバターを2カップ
75℃前後に保ち、

②そこにそーっと新鮮なたまごを割り入れます。

③まとめつつ6分程度加熱して固め、
おたまで取り出すと出来上がりです。

めっちゃ濃厚リッチなコクが
ポーチドエッグのとろふる食感と合わさって
極上の味になります。

おそらく食べる方もビックリされるんじゃないでしょうか。

 

ただし、
このためだけにバターを準備すると
ちょ~っとコストは上がりますので、
いくつも数を出される
ご飲食店さま向けかもしれません。

ご家庭では
サプライズの一品として、
お父さんやお客さんをびっくりさせる
ぜいたくたまご料理になりますね~。

 

超リッチな味に変わる
ポーチドエッグの裏技、

ぜひ楽しんでくださいませ~。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

江戸の包み玉子と英国ポーチドエッグの最新調理器 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2023年06月7日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

タクシーに乗るたびに、
「着くまでのあいだに
ぜったい運転手さんと仲良くなる」
と目標を立てています。

いろんなことを聞いたり話したり
するんですが、

景気の話をすることも多いんですね。

「コロナ明けてから景気はどうですか。」

なんて聞きますと、
最近は景気の良い話が返ってくるように
なりました。

「あ~、忙しいですね~。
夜の繁華街への送迎がだいぶん
増えましたよ。」

なんて、地元でタクシーに乗ると
どの方もおっしゃいます。

 

で、ですね。
先日東京に参った際に、
同じようにタクシーで聞いてみたのです。

「最近景気はどうですか?」

「あ~、忙しいですね~。

お客様も景気がよいみたいですよ。
さっき乗せた若いご夫婦は、

資産が100億増えた

って言ってましたよ。

使い切れないよ、なんて二人で
話されてましたね~。」

 

とのことで、
さすが東京はレベルが違う・・・
と度肝を抜かれました。

使い切れなくて困っている~、
なんてセリフは、
近所の方から山ほどの
野菜をいただく時くらいしか
つかったことないですね~(笑)

 

さて、僕たちの仕事で
レベル違い、と言いますと、
「衛生レベル」「異物レベル」など
でしょうか。

衛生レベルについては、
僕たちがたまごをお届けするお客様のうち
病院さんが多くいらっしゃいますので
その衛生管理レベルに合わせ、

異物に関しましては
菓子工業のお客様でしょうか、
最も厳しいお客様にご納得いただける
基準で考えます。

僕たちは日々お客様に
育ててもらっていると言えますね~。

上記の写真は、
当社選別ラインの検卵工程です。

光で下から透かして、
卵の中に異常がないかを
ぜんぶ確認するんですね。

表面の模様などが規格外になる
ものも、ここではじきます。

 

本日も、新しいお客様との
打ち合わせがありますが、
成長の糧となるチャレンジになる事
わくわくしております。

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2023年06月6日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

本日は「たまごにまつわる名言」をご紹介。

『現在は、過去が産んだ卵であり、その殻の中に未来がある。』
(ゾラ・ニール・ハーストン・米国作家)

“The present was an egg laid by the past that had the future inside its shell.”

うまいこと言いますねぇ。

 

 

過去に食べた栄養で
卵がつくられる。

産み落とされた卵は、
「現在」目の前にある。

あるんだけども、
中身が今後どうなるのかは
まだ分からないわけですから、
たしかにこれすなわち
「未来」なわけです。

かなり好きな言葉です。

 

たとえば困った状況になって
「なんでこんな状況なんだろう・・・」
なんてボヤいてみてもたいていは
考えてみれば自分の過去に
やったことにしか起因しません。

また、自分の力で変えられるのは
未来のみで、それをステキにするために
努力していくしかないですよね~。

 

哲学的なお話ですが、
じっさいの「鶏卵」のメカニズムも
このとおりなのです。

たまごは、
約2週間かけて、卵管を通ってだんだんと
卵がかたちづくられていきます。

まず、黄身ができて
その次に白身、
最後に周りにカラができます。

ですので、
食べたもの、育った環境の
影響がたまごに出るんですが、
それは少なくとも直近2週間の
生活が影響するんです。

たとえば、
飼料を夏仕様に切り替えたり、
より香りや色味が良くなるような
飼料にすると、

すぐではなく
『2週間後』に色鮮やかで香りの良い
卵になるわけですね。

まさにゾラさんがおっしゃるように
「過去(の育ち方)が産んだ卵」なんです。

 

良い過去(育ち方)じゃないと
良い現在(たまご)にはならないし、
良い料理(未来)にもならない

ってわけですね~。

 

ウチの理念は、

卵を通して美味しさと
健康をお届けすること

です。

 

ぜひ、未来の食べるお客様に
良い「過去」から
美味しい料理を楽しんでいただければと思います。

もっとも、自分では失敗して
最高の「過去」なステキたまごから
しょんぼりなオムレツをつくっちゃったり
してますが・・・

この言葉を語られた
ゾラ・ニール・ハーストンさんは
1920年代に活躍された作家さん。

また、民族学者としても有名で、
カリブ海周辺の民族文化や
アフリカ系アメリカ人に伝わる
民間伝承をかなり詳しく調べ
まとめあげたスゴイ方。

カリブ海のブードゥー教も
教義や経典、教団もないため
なぞの民間信仰だったものを
わかりやすく著書にして
世界にしらしめたんですね。

ゾンビ映画ブームも
レゲエ音楽の浸透も、もしかすると
ゾラさんがいなければ起こってなかった
かもしれません。

 

超有名な代表作
『彼らの目は神を見ていた』が
めちゃくちゃ有名なんですが、

人種差別や貧困に対峙する
カッコいい主人公を描きつつも
白人社会への批判など政治的な事は
ほとんど書いてないんです。

憎しみでも対立でもない物語
だからこそ多くの人に
受け入れられてるんですね。

 

そんな物語を描けたのも、
幼少の頃過ごした町が
米国初の黒人郡区で
「黒人として劣等感も差別もほとんど受けずに育った」
からなんだとか。

まさに過去の良かった卵を
ステキな物語という未来に昇華させたわけですね~。

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2023年06月5日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

考えてみれば、
目玉焼き、って
シンプルの極みですよね。

いろんなコツがあるにせよ、
調理形態としては、

割って

焼く

これだけのシンプルさです。

人類がはじめて卵を目にして
「食べよう。」と思ったら
まず思いつく料理の一つですよね。

 

日本人も目玉焼き大好きですが、
英国、オランダにドイツスペイン
インドにエジプト・カンボジアにも
古くから目玉焼きの名物料理がありまして、
世界の超スタンダードたまご料理
言って過言じゃないです。

 

千年以上前のローマ時代の
目玉焼きレシピも残ってますし、

スペインには400年以上前の
目玉焼きをつくるシーンが
絵画になって残っているくらい。

(関連:400年前の名画に描かれた目玉焼きが超ウマイ! | たまごのソムリエ面白コラム

 

なのに、意外なことに
日本での目玉焼きの歴史は
そう長くありません。

記録を見てもせいぜい百数十年、
明治時代になってからなんです。

それも「洋食」として・・・

 

たまご料理が普及した江戸時代には
「卵百珍」のようなたまご料理専門書が
いくつか出版されていますが、
目玉焼きに類するレシピって
どこにも載って無いんですよね。

ゆでたまご料理は
けっこうたくさんあるのに。

考えてみれば、不思議です。

平安時代に書かれた
日本最古の説話集『日本霊異記』にも
毎日卵を獲って料理する男が出てきますが、
「毎日たまごを煮て食べる」となっています。

 

なぜなんでしょうね?

記録がないので推測するしかないのですが、
個人的には「鮮度」と「流通」の問題
大きかったのじゃないかと思います

 

◆たまごは保存食だったから

目玉焼きって、そもそも
「鮮度」が重要なんです。

新鮮じゃないと、
割り入れた時に
黄身が崩れちゃいます。

古いたまごで試験的に
目玉焼きをつくることが
ありますが、崩れずにできても
黄身白身ともに平た~くなって
火がすぐに通ってしまい、
さほど美味しく作れないんですよね。

 

しかし、江戸時代のたまごって
なが~く置ける「保存食」としての
位置づけで、

新鮮なものを食べる食材じゃあ
なかったのです。

じっさい常温でかなりの日数持ちますし。

 

しかもカラがカプセルになっていますから
割れさえしなければ虫も寄ってこず
保存もしやすいのです。

 

そして当時の日本の養鶏は、
農村部で家ごとに少しずつ
飼っているのが主流でした。

なので
鶏卵の産卵場所から消費地まで
どうしても日数がかかり、
また少量生産のため
あるていどまとまってから
売りに行く必要もあったわけです。

そのため、
手に入るたまごの黄身は
くずれやすくなり、

「混ぜて焼く」または「煮る」
最適な調理方法だったんじゃ
ないのでしょうか。

 

加えて、江戸時代から
ゆでる・煮るのたまご調理
レシピは豊富なのは、
日本のキレイな水資源が
たっぷりあったからじゃないかと
思います。

「こっちの方がうまいじゃん。」

と、目玉焼きよりも
「煮る」ほうに行っちゃったのかと。

 

新鮮なたまごが豊かに手に入る今こそ、

和食としての目玉焼きを、

さらに探究してみるべきかもしれません。

というか、めっちゃ食べたいです。

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

(関連:江戸の文化本「 守貞謾稿」はなぜ貴重なのか? | たまごのソムリエ面白コラム