小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

ニューヨークに超有名レストラン
ル・ベルナディンというお店があります。

そこに、メニューに載っていない
知っている人だけが楽しめる
絶品たまごスイーツがあります。

その名も「ザ・エッグ」

 

 

すごいですね~。
たまごに「唯一」を表す定冠詞が
付いているわけですから、
自信のほどがうかがえますよね。

これは、
ポ・ド・クレームという
フレンチのお菓子でして、

生クリームとプリンの
間をとったような
チョコレートスイーツです。

卵黄を使ったカスタードと
生クリーム、チョコと牛乳を
使ったシンプルですが
とても奥の深い料理で

とろ~り食感がめちゃ美味しい
んですよね~。

この名前の『ポ(pot)』は
壺という意味でして、

通常はココットみたいな
ちょっと小さなガラスや
陶器の容器に入れて
作るのが定番です。

つまり、いうなれば
和菓子的な小さな料理ですので、

たまごの殻を容器にする

にはピッタリなんですね~。

以前にも書きましたが、
たまごの殻を容器にすると
たくさんのメリットがあります。

まず、こだわり感と特別感が出せる
なのに、普段は捨てるものを
使いますから、コスト的にも
メリットが出るんですよ。

ただ、容量は卵一個分ですから
ちょっと小さい・・・

ですので、上記のような
もともと小さいものを
ちょと食べる、という
スイーツや料理には
向いているわけです。

 

◆裏メニュー・シークレットという強み

以前ある取引先さんに
たまご殻を容器に使った
料理を提案したとき、

「ちょっと手間かかりそうだなぁ・・・。割れるし。」

と言われたことがあります。

たしかに・・・。

たまご殻は他の調理容器よりも
割れやすいのは確かです。

ですので、
このル・ベルナディンの
裏メニュー化はなるほど!と思いました。

特別感を打ち出しながら
数は限定できますし、

常連さんをさらに大事にする
というおもてなしができます。

ぜひ、あなたのお店でも、
面白いやり方じゃないでしょうか。

スイーツじゃなくても、
・スクランブルエッグ
・茶碗蒸し
・エッグ&ソルジャーズ

いろんなアレンジが考えられます。

ぜひご一考を。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2023年01月7日

昨年後半より記録的な
鶏卵相場の高騰が続いています。

2023年今後に何が起こるのでしょうか


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

鶏卵相場が高くなっています。

30年間無かったとんでもない
高騰でして、

たしかに僕もここまでの
事態は初めてです。

ただ、『これでも適正な価格だ。』
という意見も多い状況なんです。

まず、なぜこうなっているかと言いますと

一つには、供給量が大きく減っている
のが原因です。

たまごは輸入による調整も
冷凍など長期保存による
流通調整もできないですから

レタスやキャベツ、葉物野菜と同じで
短期的な買い―売りの需要
バランスで市場の価格が
大きく変動するんですね。

そしていま、
たまごは、二つの理由で
大きく生産量が減っているんです。


理由その1:飼料価格の大高騰

ウクライナ戦争、為替の問題、
コロナ禍の影響などで
世界的な穀物価格の上昇がありまして、

飼料価格は二年前から5割増しの
コスト増になっています。

さらに相場価格が昨年前半
まだ低めだったため、
「飼っても合わない。」と
減産や廃業が相次いでいます。

 

理由その2:鳥インフル処分による減産

過去最悪の発生と言われた
一昨年の2020年には、
ひと冬の間に全国51農場で
鳥インフルに罹患-処分がありました。

そして今年
いま正月明けですから
冬はまだ半分なんですが、
すでになんと55農場で発生しています。
最悪を更新する勢いなんですよね。

それだけ想定外のニワトリさん
殺処分があり需要期の減産と
なっています。

 

◆過去の遺産で2月に大不足!?

そして・・・

来る2月には、昨年末のように
ふたたび大きく相場価格が
上がる可能性があります。

 

遠因は2年前にあります。

たまごを採る農場の場合、
鳥インフル発生→処分のあとは
フルに鶏を補充することができません。

ニワトリは約2年間たまごを産みます。
入れ替えの瞬間は生産量ゼロになっちゃいますから、

安定供給のため
何ロットかに分けて
ヒナを入れていき、

年齢をずらしておく
必要があるのです。

ですが・・・
2年前の際には、
あまりに大不足したため
一度に全数のニワトリを
入れてしまっている農場が
いくつもあったのです。

すると・・・、2年経ったら、
いったんゼロにして、
全てのニワトリを入れ替える必要がある・・・

それがつづくのが
ちょうど2月・・・と
予想されているんですね。

ですので来月には
「全国で大幅な鶏の入れ替え」
という『理由その3』ができてしまうのです。

もしかすると、昨年末の大高騰を
超える可能性もあります。

 

◆相場変動のたまごは「早めのご注文」が吉!

なので、
1月中盤→2月~3月は
連日たまごが高騰する可能性が
ありますので、

相場変動お取引をされている
ご飲食店さんは、
可能な限り早め早め、少し多めに
ご発注されるほうが、
トータルでコストを抑えられるかと
思います。

昨年末には、
わずか一週間で20円UP/㎏もの
相場上昇タイミングもありました。

冬場はたまごの保存性が高いです。
4,5日余裕を見てご注文される
だけで、だいぶん違ってくるのでは
ないでしょうか。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 鶏さん・鳥さんのコト 2023年01月7日

昭和以前に流行った玉子料理メニュー。
令和の今、メリットが出て
再評価される流れがあるんです。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前に出張で泊ったホテル
カギがレトロなカギ、
『ウォード錠』でした。

個人的に、
すごくテンション上げなんです。

もともと僕は
レトロなものが好きなんですが
とくにこのウォード錠は思い入れがあります。

ぼくが学生時代に下宿していた
木造アパートのカギがまさにコレ
だったんですね。

なつかしい!

現代社会はカードキーや
ナンバーキー全盛の時代ですから、

こんなホテルにチェックインした
お客様は、よりワクワク感が
あるんじゃないでしょうか。


◆レトロなたまご料理3選

さて、
たまごって歴史の長い食材ですので
古くから続いている料理が沢山あります。

ちなみに世界で
もっとも古いレシピ本に
載っているたまご料理は
オムレツです。

そして・・・
何らかの理由で
現代ではあまり食べられなく
なっているけど、

改めてみるととても美味しい!

というたまご料理も
多くあります。

少しご紹介しますと・・・

・ひき肉入りオムレツ

昭和生まれの方ならば、
「あ!食べたことある。
家でよく作っていたな。」
となる人も多いんじゃないでしょうか。

ひき肉と玉ねぎを塩コショウでいため
それをたまごで巻いたオムレツです。

面白いことに、
どこかのお店で人気メニューとなって
登場したわけじゃないんですね。

昭和40年ごろに日本中の「家庭」で
同時多発的に作られるようになって
普及しました。

ウチでも母親が良く作っていましたね~。

戦前の海軍料理が
もとになっているのでは
という記録もありまして、
あと広まったのは料理雑誌や料理教室
経由じゃないかともいわれています。

ちょっと手間がいるためか
今ではあまり食べられていませんが、

オムライスと比べて

圧倒的に低糖質

な点、現代ですごくメリットがあります。

また、お酒のツマミにも合いますから
居酒屋さんなどのメニューや
低糖質健康メニューとして
人気再燃のポテンシャルは十分にあります。

 

・昭和のプリン

しっかり固めの食感で
カラメルが利いたプリンです。

生クリームを使ったり
卵黄多めにしたり、
ふわっととろっとしたプリンが
今の流行ではありますが、

この卵白と卵黄の総合的固化作用
を余すところなく利用した
しっかり食感に、懐かしさと
強い好みを感じる方は多いです。

以前に伊勢丹百貨店が
レトロと最新、両方のプリン食べ比べ
みたいな企画を打ち出してヒットとなりました。

そしてなんと
2層構造で昭和プリン令和プリンの
両方を楽しめる新型プリンまで登場しています。

 

・アスピックゼリー

たまごをブイヨンゼリーで固めたものです。
1950年代以降に米国で流行しました。

当時はまだまだ
冷蔵庫が高価だったため、
「冷やして固める」
この料理を作れるのは
ちょとしたステータスだったとか。

現代では冷蔵庫がある優位性は
ありませんが、

「冷えても旨味がおいしい」
「健康的に黄色が映える」
のが卵の特徴です。

野菜と一緒に涼しげに
ゼリーよせにするのは

いま見ても鮮やかで
とてもステキですよね~。


以上、3つのレトロたまご料理をご紹介しました。

どれもいまでも十分!
ステキ感・満足感ありますよね。

またこれ以外にも、
たとえば昭和の『給食』には
今以上に「たまごメニュー」が
多くありました。

たとえば給食で
「たまごとじうどん」
が定番だった地域は多いですが
料理店さんでメニュー復刻的
な打ち出しをすれば、

『めっちゃなつかしい!』

みたいなノスタルジー
含めた付加価値になってくる
でしょう。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2023年01月6日

じつはウサギとニワトリは
両方とも神社のスターなんです。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

ウサギとタマゴ鶏のコラム第3弾です。

ニュースを見ていると
「うさぎ神社へお参りで大盛況」
という記事が出ていますね。

それもいろんな神社で。

じつはウサギを祀る神社って
た~くさんあるんです。

京都の東天王岡崎神社
名古屋大須の三輪神社
東京の太子堂八幡神社や
戸越八幡神社、
和歌山の玉津島神社・・・

物語にも由来する
鳥取の因幡の白うさぎ伝説、
白兎神社や
カチカチ山の由来がある
山梨県のうさぎ神社もあります。

こういった「うさぎ縛り」で
おまいりを楽しむのも
面白いかもしれません。

うさぎが好まれるのは
縁起が良い、というのと
なんだかカワイイ
さわって幸せになりそう
なんてのも好まれるポイントなのかもです。

そして、神社と言えば・・・
鶏も関係ある動物の代表格なんです。

一年で一番最初に鳴く動物
また日本書紀や古事記に
記されている動物でして、

『太陽の神様、
天照大神(あまてらすおおみのかみ)が
天岩戸(あまのいわと)に隠れてしまい
世の中が闇に包まれてしまったさい

八百万の神さまが額を集めて話し合った結果、
知恵の神オモイカネさんの案で
常世の長鳴鳥(とこよのながなきどり)
ことニワトリさんを一列にならべさせ、
その長い美声で天照さまを誘い出そうとした』
なんて書かれています。

ですので、
伊勢神宮をはじめ
鶏を祀る神社もたくさんありまして
埼玉の鷲宮神社のように
たまごもセットになっているところもあります。

なによりそもそも

神社の鳥居はニワトリの止まり木

なんですよ。前述の
「常世の長鳴鳥(とこよのながなきどり)」
に由来して建てられています。

神鳥としてのニワトリさんが
とまっているのが鳥居。

卵屋として感慨深いですね~。

京都の伏見稲荷神社“千本鳥居”なんか
すんごいことになりますね!

◆冬⁻春はたまごの縁起関連も多い

そして、また詳しくお話しますが、
1~4月くらいまでは卵メニューを
縁起物として打ち出しやすい要素が多くあります。

1月~2月の大寒たまご
3月3日の闘鶏による神事
4月の春の旬など・・・

あなたのお店でのたまごメニューを
ご繁盛ネタにしやすいんですね。

ぜひお見逃しなく~。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

(関連:『山盛りの卵を食べつくせ!』と責められる、神社の儀式がある | たまごのソムリエ面白コラム)

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2023年01月4日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

干支のうさぎとたまごのコラム第2弾。

昨日のコラムでは、欧米の
たまごとうさぎのステキな関係について
書きました。

今日はその反対・・・

じつは、
うさぎのおかげで
たまごは百年つづく迷信
悩まされることになったのです。


1913年のことです。

ロシアの学者ニコライ・アニチコワさんが
ある研究をしました。

「コレステロールの摂りすぎついて
研究するために、ウサギで試験をしよう。」

・・・と考えまして、
実験用のウサギに
多量のコレステロール飼料を
食べさせました。

すると、血管中に脂質があふれ、
いわゆる高脂血症と動脈硬化に
なったのです。

「こりゃいかんな・・!」

すぐさまこの研究結果を
発表したのですが、それが
大きな勘違いを引き起こしたんですね。

「卵のようなコレステロールの
高い食べ物を食べすぎると、
血管障害になる。」

・・・この考えは
センセーショナルに世界に広まりまして
「卵は一日一個まで!」という
勘違いが、長く長く、
百年つづく迷信となったのです。

ちなみにアメリカでは
「たまごは一週間に1~2個!」
なんて言われてました。きびしい!

この研究で
何が問題だったかと言いますと

ウサギは草食動物なんです。

ふだん食べる草は
コレステロールを
含まないですから、

そんなものが
大量に入ってきたときに
体内でコントロールする機能を
持ってないのです。

ですが例えば人間とか
イヌとかネコとかの
雑食や肉食の動物は、

沢山のコレステロールを
摂っても、それを調整する
機能をしっかり持っています

コレステロールを多く摂った
ときは、その分だけ体内で
合成されるコレステロールを
減らしたり、胆汁として排出し
調節できるんです。

ですので、例えばヒトは、
国立栄養学研究所の調べでは
一日10個、二週間以上卵を
食べ続けても、コレステロールは
まったく上がらないことが報告されています。

また、20年間の膨大な論文の検証、
2万人の追跡調査などを経て

「やっぱりコレステロールの
摂りすぎと高脂血症って、
関係ないよね。」

ということがその後
あらためて医学的に
証明されまして、今に至ります。

ちなみに厚生労働省も長らく
『日本人のコレステロール摂取の目標値』
を出していましたが、2015年に
「必要ないよね。むしろ摂ると
メリットあるよね。」
と上限を撤廃しています。

もし
この110年前の研究による
まちがった推論がなければ、
たまごの消費イメージと
世界の健康データは
まるで違ったかもしれません。

 

◆時代もわるかったのかも

ただ、研究者アニチコワさんが
まちがったのがひどい、という
事ではありません。

当時の研究用実験動物として
現代でよく使われている
「マウス」「ラット」は
本格的に普及し始めたばかりで

その少し前から実験用ウサギ
方が先行して使われていました。

ちなみにマウスは雑食ですので、
高コレステロール食でも
影響はみられていません。

もし、医学研究での実験用動物の
普及の順序がちがっていれば
どんな卵の評価になっていたでしょうね~。

「たまごは毎日3つは食べないとダメ
だよね。昔っからおばあちゃんも
そう言ってるし。」

みたいな。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2023年01月3日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

毎年恒例、
干支とたまごについてのコラムです。

とはいえ、
今年は卯(うさぎ)年ですから
ウサギとたまごの関係です。

じつは卵屋としては
「あまり特別感がないなあ。」
というのが本音です。

つまり、
たまごとウサギの関係って
「あたりまえ」なのですね。

 

◆春と生命・多産の象徴がウサギとたまご

古来より欧米では宗教的に
ウサギとたまごでワンセット
なんです。

たまごとウサギは欧米で
どちらも生命の象徴。

たまごは見ての通り
すべての必要な栄養素が詰まっていて
ここから生命が生まれてきます。

そしてウサギは、
沢山の子供を春になると産みます。

卵は生命と復活の象徴、
多産であるウサギは豊穣の象徴

つまり、
キリスト教圏の春の重要祭事
イースター(復活祭)の象徴が
たまごとウサギなんですね。

ですので、
イースターのだいたい一か月
くらい前になると、欧米では
卵を持ったウサギのぬいぐるみとか

かわいいウサギの絵が描かれた
たまごグッズなんかが
た~くさん売られます。

いやホント、めっちゃ並ぶんですよ。

たまご屋としても
街中にたまごグッズがあふれ、
めっちゃテンションあがる時期でもあります。

イースター市場は
日本ではまだだいぶ小さめですが
伸び率で言うとかなり大きく、

将来的にはバレンタインと
同じくらいになる可能性だって
予想されています。

そうなると日本でも
たまごとウサギが
春にあふれかえることに・・・!

これはワクワクします。

ちなみに復活祭とは
イエス・キリストの復活祭のこと。

ですのでイースターって
キリスト教のお祭りなんです。

ですが卵とウサギ、
この2つはキリスト教義とは
じつは全く関係しません。

聖書には、
卵もウサギもほとんど出てこないんです。

卵で言うと、

「サソリの卵」と「ダチョウの卵」

がでてくるくらいですし、
しかも恩知らずの比喩としてです。

ウサギはと言いますと

「ひづめが割れていないから
ウサギの肉はけがれていて
食べてはいけません。」

みたいな表記が2か所ほどあるのみ・・・

むしろどっちも
あからさまに聖書の記述から
「あえて外されている」
とも感じるくらい。

たまごとウサギは、
キリスト教以前の
原初の地域的な信仰というか
お祭りにこの2つは広く
使われていたのだと考えられています。

例えばたまごを生命の源
として祀る原始的な信仰は
世界中にあります。

おそらく、キリスト教は
そういった土地々々の信仰を
駆逐する立場でしたが、

キリスト教が根付くにあたり
もともとあった「たまご信仰」
「ウサギ信仰」とミックスして
しまい今に至る・・・

そんなカンジのようです。

たまごに関する人類の愛情を
感じる一例で、とても興味深いです。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2023年01月2日