小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

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じつはウサギとニワトリは
両方とも神社のスターなんです。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

ウサギとタマゴ鶏のコラム第3弾です。

ニュースを見ていると
「うさぎ神社へお参りで大盛況」
という記事が出ていますね。

それもいろんな神社で。

じつはウサギを祀る神社って
た~くさんあるんです。

京都の東天王岡崎神社
名古屋大須の三輪神社
東京の太子堂八幡神社や
戸越八幡神社、
和歌山の玉津島神社・・・

物語にも由来する
鳥取の因幡の白うさぎ伝説、
白兎神社や
カチカチ山の由来がある
山梨県のうさぎ神社もあります。

こういった「うさぎ縛り」で
おまいりを楽しむのも
面白いかもしれません。

うさぎが好まれるのは
縁起が良い、というのと
なんだかカワイイ
さわって幸せになりそう
なんてのも好まれるポイントなのかもです。

そして、神社と言えば・・・
鶏も関係ある動物の代表格なんです。

一年で一番最初に鳴く動物
また日本書紀や古事記に
記されている動物でして、

『太陽の神様、
天照大神(あまてらすおおみのかみ)が
天岩戸(あまのいわと)に隠れてしまい
世の中が闇に包まれてしまったさい

八百万の神さまが額を集めて話し合った結果、
知恵の神オモイカネさんの案で
常世の長鳴鳥(とこよのながなきどり)
ことニワトリさんを一列にならべさせ、
その長い美声で天照さまを誘い出そうとした』
なんて書かれています。

ですので、
伊勢神宮をはじめ
鶏を祀る神社もたくさんありまして
埼玉の鷲宮神社のように
たまごもセットになっているところもあります。

なによりそもそも

神社の鳥居はニワトリの止まり木

なんですよ。前述の
「常世の長鳴鳥(とこよのながなきどり)」
に由来して建てられています。

神鳥としてのニワトリさんが
とまっているのが鳥居。

卵屋として感慨深いですね~。

京都の伏見稲荷神社“千本鳥居”なんか
すんごいことになりますね!

◆冬⁻春はたまごの縁起関連も多い

そして、また詳しくお話しますが、
1~4月くらいまでは卵メニューを
縁起物として打ち出しやすい要素が多くあります。

1月~2月の大寒たまご
3月3日の闘鶏による神事
4月の春の旬など・・・

あなたのお店でのたまごメニューを
ご繁盛ネタにしやすいんですね。

ぜひお見逃しなく~。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

(関連:『山盛りの卵を食べつくせ!』と責められる、神社の儀式がある | たまごのソムリエ面白コラム)

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2023年01月4日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

干支のうさぎとたまごのコラム第2弾。

昨日のコラムでは、欧米の
たまごとうさぎのステキな関係について
書きました。

今日はその反対・・・

じつは、
うさぎのおかげで
たまごは百年つづく迷信
悩まされることになったのです。


1913年のことです。

ロシアの学者ニコライ・アニチコワさんが
ある研究をしました。

「コレステロールの摂りすぎついて
研究するために、ウサギで試験をしよう。」

・・・と考えまして、
実験用のウサギに
多量のコレステロール飼料を
食べさせました。

すると、血管中に脂質があふれ、
いわゆる高脂血症と動脈硬化に
なったのです。

「こりゃいかんな・・!」

すぐさまこの研究結果を
発表したのですが、それが
大きな勘違いを引き起こしたんですね。

「卵のようなコレステロールの
高い食べ物を食べすぎると、
血管障害になる。」

・・・この考えは
センセーショナルに世界に広まりまして
「卵は一日一個まで!」という
勘違いが、長く長く、
百年つづく迷信となったのです。

ちなみにアメリカでは
「たまごは一週間に1~2個!」
なんて言われてました。きびしい!

この研究で
何が問題だったかと言いますと

ウサギは草食動物なんです。

ふだん食べる草は
コレステロールを
含まないですから、

そんなものが
大量に入ってきたときに
体内でコントロールする機能を
持ってないのです。

ですが例えば人間とか
イヌとかネコとかの
雑食や肉食の動物は、

沢山のコレステロールを
摂っても、それを調整する
機能をしっかり持っています

コレステロールを多く摂った
ときは、その分だけ体内で
合成されるコレステロールを
減らしたり、胆汁として排出し
調節できるんです。

ですので、例えばヒトは、
国立栄養学研究所の調べでは
一日10個、二週間以上卵を
食べ続けても、コレステロールは
まったく上がらないことが報告されています。

また、20年間の膨大な論文の検証、
2万人の追跡調査などを経て

「やっぱりコレステロールの
摂りすぎと高脂血症って、
関係ないよね。」

ということがその後
あらためて医学的に
証明されまして、今に至ります。

ちなみに厚生労働省も長らく
『日本人のコレステロール摂取の目標値』
を出していましたが、2015年に
「必要ないよね。むしろ摂ると
メリットあるよね。」
と上限を撤廃しています。

もし
この110年前の研究による
まちがった推論がなければ、
たまごの消費イメージと
世界の健康データは
まるで違ったかもしれません。

 

◆時代もわるかったのかも

ただ、研究者アニチコワさんが
まちがったのがひどい、という
事ではありません。

当時の研究用実験動物として
現代でよく使われている
「マウス」「ラット」は
本格的に普及し始めたばかりで

その少し前から実験用ウサギ
方が先行して使われていました。

ちなみにマウスは雑食ですので、
高コレステロール食でも
影響はみられていません。

もし、医学研究での実験用動物の
普及の順序がちがっていれば
どんな卵の評価になっていたでしょうね~。

「たまごは毎日3つは食べないとダメ
だよね。昔っからおばあちゃんも
そう言ってるし。」

みたいな。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2023年01月3日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

毎年恒例、
干支とたまごについてのコラムです。

とはいえ、
今年は卯(うさぎ)年ですから
ウサギとたまごの関係です。

じつは卵屋としては
「あまり特別感がないなあ。」
というのが本音です。

つまり、
たまごとウサギの関係って
「あたりまえ」なのですね。

 

◆春と生命・多産の象徴がウサギとたまご

古来より欧米では宗教的に
ウサギとたまごでワンセット
なんです。

たまごとウサギは欧米で
どちらも生命の象徴。

たまごは見ての通り
すべての必要な栄養素が詰まっていて
ここから生命が生まれてきます。

そしてウサギは、
沢山の子供を春になると産みます。

卵は生命と復活の象徴、
多産であるウサギは豊穣の象徴

つまり、
キリスト教圏の春の重要祭事
イースター(復活祭)の象徴が
たまごとウサギなんですね。

ですので、
イースターのだいたい一か月
くらい前になると、欧米では
卵を持ったウサギのぬいぐるみとか

かわいいウサギの絵が描かれた
たまごグッズなんかが
た~くさん売られます。

いやホント、めっちゃ並ぶんですよ。

たまご屋としても
街中にたまごグッズがあふれ、
めっちゃテンションあがる時期でもあります。

イースター市場は
日本ではまだだいぶ小さめですが
伸び率で言うとかなり大きく、

将来的にはバレンタインと
同じくらいになる可能性だって
予想されています。

そうなると日本でも
たまごとウサギが
春にあふれかえることに・・・!

これはワクワクします。

ちなみに復活祭とは
イエス・キリストの復活祭のこと。

ですのでイースターって
キリスト教のお祭りなんです。

ですが卵とウサギ、
この2つはキリスト教義とは
じつは全く関係しません。

聖書には、
卵もウサギもほとんど出てこないんです。

卵で言うと、

「サソリの卵」と「ダチョウの卵」

がでてくるくらいですし、
しかも恩知らずの比喩としてです。

ウサギはと言いますと

「ひづめが割れていないから
ウサギの肉はけがれていて
食べてはいけません。」

みたいな表記が2か所ほどあるのみ・・・

むしろどっちも
あからさまに聖書の記述から
「あえて外されている」
とも感じるくらい。

たまごとウサギは、
キリスト教以前の
原初の地域的な信仰というか
お祭りにこの2つは広く
使われていたのだと考えられています。

例えばたまごを生命の源
として祀る原始的な信仰は
世界中にあります。

おそらく、キリスト教は
そういった土地々々の信仰を
駆逐する立場でしたが、

キリスト教が根付くにあたり
もともとあった「たまご信仰」
「ウサギ信仰」とミックスして
しまい今に至る・・・

そんなカンジのようです。

たまごに関する人類の愛情を
感じる一例で、とても興味深いです。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2023年01月2日

あけましておめでとうございます!
たまごのソムリエ・こばやしです。

旧年中は大っ変お世話になりました!

今年は卯(うさぎ)年ですね!

うさぎとたまごって、
西洋では非常に重要な意味を持つ
取り合わせで、イースター等
イベントのたびに
セットで登場するんですよね。

しかも、自分は年男です。

ですのでいろいろな意味で、
感慨深い年になりそうですね~。

せっかくの年なので、
うさぎとたまごの関係について
いろいろ掘り下げてブログでも
ご紹介してみたいですね~。

ちなみに

この「卯(う)」の漢字。
中国で生まれた形意文字ですが、

「同形のものを左右対称においた」

ということを表す絵から
その字ができていまして、

「同じ価値の物を交換する」

の意味があるんだそうです。

つまり今風に言うと
「win-winの商売」ってことです。

そもそも商売ってのは
お客様にモノではなく
価値を売ること。

布団屋さんはマクラを売るんじゃなく
「安眠」を売っているわけですし、

住宅メーカーは家を売るんじゃなく
「家族のだんらん」という価値を
売っているわけです。

そして、その価値と価格が
等価交換になっている
それが商取引というわけです。

というわけで、この卯年は
ある意味『商売の年』
商売の基本に立ち返れよ、
という意味な年なのかも
しれません。

また、win-winであっても
やはり同じ価値、じゃなく
それ以上に、つまりお値段以上に
満足してもらうことが
ながくお客様のお役立ちとなる
重要な事だと思っています。

僕たちのお届けする価値は
たまごを通して
「美味しさ」「健康」「繁盛」という
価値を届けることです。

ぜひとも今年は、
この三つについて、

同等以上の価値を
しっかりお届けしてまいります。

本年もよろしくお願いします。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2023年01月1日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

本日は仕事納めです。

振り返ってみても、一年前には予想もつかなかった世の中になってますね~。

前半は、ウクライナ‐ロシア戦争
の影響からの飼料価格・資材の
大高騰

後半には
鳥インフルエンザの多発
たまご不足からの相場価格の
記録的高騰、

また僕たちの仕事まわりでも
農場さん、取引先さんでも
変化が多い年でした。

さすが「動」を意味する
寅年の一年なだけは
あったなぁ・・・と思います。

激動だった分、
いろんな方にご縁をいただき
助けていただく
本当にお世話になったなと感じます。

そして、
「元気でポジティブな人のエネルギーってホントすごいなあ。」
とすごく感じる年でした。

あらゆるコスト増など
大変な状況でも、学び
明るく前向きな方と接していて
僕もすごく元気になる。

それで、
新たなことに踏み出せた。

そんな事が何度もありました。

遠くローマ時代から
欧州では雄鶏は『勇気』の象徴でした。

常に前を向き、
自分より強い相手にも
果敢に立ち向かう

そんな雄鶏の様子から
革命の象徴として
雄鶏がフランスの国章にも描かれています。

いろんな逆風も多い時節ですが、
本年に頂いた元気を来年は
大きな勇気に変えて、

雄鶏のようにチャレンジをしてまいります。

あ、あと来年の卯年の意味は
「家内安全」だそうですから、

ぜひとも僕たちやあなたの周りの
皆さまが健康で、

いろんなことが落ち着いて
少しで良いのでおだやかな情勢と
なりますことも祈っております。

一年間本当にありがとうございました。

来年もよろしくお願いします!

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2022年12月31日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

今年もあと一日ですね!
来年の干支は卯年なんですが
「卵」と似ている分なんだか
ワクワクしています。

ところで、
東京商工リサーチって会社があります。
国内第2位の信用調査会社で
利用している、という企業も
とても多いんじゃないでしょうか。

そこが毎年
「干支」に関連したデータを
一般公開しているんですが
毎年々々ですね、
面白い間違いをしているんです。

“卯年” 設立の法人 20万9,206社 最古の法人は設立120年の盛岡信金など24社 ~ 2023 年“卯年”設立の法人調査 ~ : 東京商工リサーチ

こんなタイトル記事ですが
その中の一文…
というか一行目に

『2023年の干支は“卯(う)”。全国で卯年に設立された法人は20万9,206社で、全国の法人約340万社の6.1%に過ぎず、十二支では最も少ない。』

とあります。

へー、卯年設立の企業数って
いちばん少ないんだなぁ。

・・・と素直に読むと
感じるかと思います。

ですが、
昨年の干支に関するデータ
寅年の記事
“寅年”設立の法人は全国で20万7,099社、最古は1878年設立の四国銀行・百五銀行 : 東京商工リサーチ

を読むと・・・

『2022年の干支は“寅(とら)”。全国で寅年に設立された法人は20万7,099社で、全国の約330万法人のうち、十二支では最も少ない6.1%だった。』

となってまして、
なんと!「今年の干支が一番企業数が少ないんだ。」

と書いてあるんです。

その前の丑(うし)年の記事も、

その前の子年

その前の亥年

我らが酉年

「今年の干支は、十二支で一番企業設立数が少ない

ってなっています。

なんじゃこりゃ!?
ですよね。

要は、
『来年の干支』について
集計したデータを書くわけですから
来年の干支だけ
他の11の干支よりも
一年分集計データが少ないんですよ。

だから必ず『来年の干支が企業数最小です』となる。

日本で2番目に大きいリサーチ会社でも
いかに正しい数字を用いていたとしても
判断が違ってしまうこともある・・・
のです。

ぼくたちも
厳しく不安な世の中だからこそ
ちょっとした有利なデータで
「ほら!うまくいってるでしょ!?」
なんて自分をだましたくなりますし、

お客様に関するデータでも
ついつい自説を補強するため
根拠を曲解してしまうことも
あるかもしれません。

情報のプロでも間違う

ということは自分たちも
そうならないように
自戒をせねば・・・

と、この商工リサーチの
干支記事に触れるたび
毎年心を新たにしております。

今年残りあと一日、
頑張ってまいります。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2022年12月30日