こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
「過去にない規模の台風」
と気象庁が呼称する大きな台風が
日本に来ています。
我が四国も直撃コースですが
ホント各地で被害少なくすむことを
祈っております。
ひとたび台風が来ますと鳴門大橋、
明石大橋が止まっちゃいますから
たまごの出荷は予報を見ながら
その前日にお客様と連絡を取りあって
台風直前にたまごを送り出します。
四国は台風によく当たりますので
刻一刻と近づいてくる台風情報には
とんでもなくお世話になっています。
考えてみると、
はるか数千キロかなたの
発生した直後からこうやって監視
できるだけでもありがたいことなの
かもしれません。
◆台風のせいで小さな養鶏に?
江戸時代の台風は「野分(のわき)」
と呼ばれていました。
そのころは
各地の連絡網すらないですから
「いきなり今から暴風圏内」
なわけです。
「なんか風が強くなったかなぁ…?」
なんて思っていたら
とんでもない事態になるわけ
ですから、気象予報期以前に
住む人の被害や不安は想像に
難くありません。
もともと明治以前の
日本の養鶏はとても規模が
小さいものでした。
海外に輸出できるくらいの
猛烈な量産がされ始めたのは
昭和期にはいってからでして、
江戸時代には
農家さんが畑仕事のかたわら
小遣い稼ぎにちょっと飼育する
そんな養鶏が一般的でした。
江戸中期以降
たまご料理が一般に普及して
多くの方が食べるようになった
のにもかかわらず、
ある程度以上の規模での養鶏が
まったくされなかった理由は、
考えてみると”野分”のせい、
台風がいきなり来るたびに
産業がリセットされてしまう
から…なのかもしれません。
元来、畜産動物の中でも
際立って小さいのがニワトリさんです。
風で飛ばされやすいですし、
建屋がこわれたら
どこへ逃げていくのかも
分からないわけです。
過去のイグノーベル賞の中には
『風を受けるニワトリの羽根の
ちぎれ具合で竜巻の風力を計測する』
なんていう研究もあったくらい
風による影響って、ニワトリさんには
大きいのです。
木造が主な日本では、本業として
大規模飼育をする商売人・農業人は
そんなリスクを考えると
なかなか現れにくかった
んじゃないでしょうか。
◆台風でたまごの品質は?
ありがたいことに
今では予報をもとに
全国の農場で対策ができます。
そして、たまごに関しては台風で、
たまごの品質が変わることは
ありません。
通常どおり産んでくれる
ニワトリさんに感謝ですね。
ただし、
血卵(やや血の混じったたまご)
が増える可能性があります。
たまごは中身ができて、
「最後の段階」でカラができます。
そのタイミングで
ガシャン!なんて風で
大きな物音なんかがすると
ニワトリはびっくりして
体をどこかにぶつけることが
あります。
そうすると、卵管内で
少し出血してしまい、
たまごの内部に
血が混じってしまう・・・
そんなことがありえます。
ですので、台風後の
検卵工程ではこの血卵について、
いつも以上にチェックをするのです。
(ちなみに血卵は
不適卵(規格外で使用しないたまご)
ですが、万が一食べてしまっても
問題ないとされています。)
なんにせよ、
被害少なく通り過ぎてくれること
祈っております。
ここまでお読みくださって
ありがとうございます。