小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

突然ですが、ウチの法人名は
「小林ゴールドエッグ」といいます。

直訳で『黄金のたまご』

だから、ではありませんが、
本日のテーマは、
この「たまご」と「黄金」について。


じつは古来から欧州では

卵の黄身といえば『黄金』

これが、
料理のセオリーだった時期があります。

中世ヨーロッパの宮廷料理には、
『金色』がふんだんに使われていたんです。

これは、パーティ料理は

豪華!がいちばん!

という発想が、中世の頃はあったためですね。

そして、黄金色を出すには
卵の黄身が、効果大だったのです。

現代でも、
パイ生地の艶出しに
卵黄を使いますが、

中世宮廷料理では、もっと
黄金感、ゴールド感を出すため

サフランなどのスパイスとともに、
卵黄がた~っぷり使われたんです。

たとえば

まるごとお菓子製の
『黄金のお城』が
ドーン!

みたいな料理が
出されていたのですね。

しかも、兵隊さんや
馬なんかまでミニチュアで
こしらえて・・・

または、
物語の一幕をそのまま
黄金色の料理にしたり・・・

なかなかすごいですよね。

ジャンル的には「幻想料理」
なんて呼ぶそうです。

 

◆聖なるもの=卵のイメージ

ただ単に、
黄金色にできるから
卵を使うだけじゃなくて

じつは西欧では、
卵=聖なるもの
というイメージが強いのですね。

たとえば
フィンランドの叙事詩では
鴨が女神の膝に産んだ

6個の黄金たまごから
世界が生まれた

という伝説ですし、

『卵で竜を倒す』

という伝説は、ヨーロッパ中にあります。

イースターエッグもこの
良イメージから来てますね。

料理の色映えを卵で
良くするのは、
招かれたお客様の受けも
非常に良かったわけですね。

ですので、なんとなくある
卵=黄金というイメージは、

・黄金色の料理に卵が使われた

・たまご=聖なるものという良イメージ

この2つのおかげでついたのです。
そこから僕たちの会社名にまで
つながっているなんて、
なんだか面白さを感じます。


◆『金貨』の名前の黄身料理

また、欧州の料理には、
卵の黄身を「金貨」に見立てた
名前の料理がいくつもあります。

これは「金貨の前菜」という
ステキメニュー名ですが、
見ているとなるほど!ですよね。

ぜひ、あなたのお店でも、
卵の持つ景気の良さそうな
黄金イメージを「照り」で
その歴史背景ごと
活かしてみてはいかがでしょうか!?

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2022年09月10日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

NHKでむかし

「妄想ニホン料理」

という番組があったのをご存じでしょうか。

ぼく、大っ好きでして
海外、いろんな国にお邪魔して、
現地の料理人さんに

ある日本食の名前と
カンタンな特徴を伝えて
それだけで料理を作ってみていただく

そういう番組です。

 

たとえば

『いなり寿司』

の説明を、

「キツネの好物である」
「食べるとジュワッ」
「ピクニックの定番」

と3つだけ伝えて
イタリアのシェフに作ってもらう、とか。

これ、大変面白いんですね。

「狐の好物ってなんだよ!??」
「日本人ってそんなの知ってるの?」

みたいな素直なイタリア人の驚きに

「たしかになあ。
そもそもなんで
狐は油揚げなんだろ…?」

なんて、一緒になって文化の再確認もできますし、

また
「ピクニックならパイだな。」
みたいなステキな別解釈の
イタリア風お稲荷さん(?)になる、
海外の文化との思わぬ融合があります。

「そう解釈するか!なるほど!!」
みたいなすごい料理ができまして、
とっても刺激になるんです。

特に印象的だったのは、ときどき

「日本独特の料理文化」が見える

ことがあるんですね。

たとえば、

「三ツ星シェフも参戦 親子丼の巻」

というテーマの時がありましたが、

親子丼がテーマで、

「食材が親子」
「ご飯の上に何かのせた料理」
「出来上がりはトロトロ」

というヒントでした。

 

上記のヒントで、どれが一番
日本らしいと思いますか?

スペイン・セバスチャンの三ツ星シェフも
ネパールの老舗料理店シェフも、

もっとも理解に困っていたのは

「トロトロのできあがり」

だったのですね。

イカとイカスミを活用したリゾットや
里芋の茎と葉を親子にみたてたスープなど

感動するくらいステキな料理でしたが、

トロトロ、という食感に関しては
「ちょっとわかんないなあ。」
というのが終始の感想でした。

あまり意識ないかもですが、

『日本は食感の国』です。

食感に関する語彙の数は世界一。

たとえば『トロトロ』の親子丼
に関しても、多くの方が
そのイメージはすぐに『わかる』
んじゃないでしょうか!?

 

そして、それを作るのは
時間差で卵液を加熱するのに

「ちゃんと火を通して絡める」部分と

「生でトロトロになるように
できあがり直前に加えるたまご」

 

と二段階にする工夫だったりします。

僕も米国出身のかたにご説明した際
「信じられない」と言われたことが
あります。

 

日本では、意外なほど食感への
こだわりは強いのです。

たまご消費が世界トップクラスに
多いのも、食感の多様性が
出しやすいから、かもしれません。

 

ぜひ、
あなたのお店のたまご料理でも

「どう、ふわふわ、トロトロ、
独自の食感が卵で出せるのか!?」

こんな観点で、いちど
メニューを考えてみてくださいませ。

きっと、わくわく人気で
集客につながる新メニューになります!

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2022年09月9日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

月見バーガーの時期ですね。

今年は4社に増えたので、
さらにお祭り化してますね。

ネットでも盛り上がりつつあります。

どんなカンジかちょっと寄って
みたのですが、モスバーガーは
まだでした。残念。

マクドナルドはもうやってました。

全面的な押し方でしたね。

この、卵を使った
「月見」キャンペーン

同じコンセプトで、
同じような商品を、
同じ時期に期間限定で4社が出すんです。

別にコラボレーションじゃないんですよ?

よく考えてみると、
スゴイ話ですよね。

そんなにやりたいのか

なぜなのか?

これ、実は、
あなたのお店のメニューにも
関係する、大きな理由があるんです。

 

◆タイミング的にベストな月見バーガー

そもそも、
秋刀魚なんかと違って、
卵は年中あるわけですから、
ホントに人気あるなら定番で
やっちゃえばいいはずですよね?

実際春にも「てりたまバーガー」
なんて同じようなメニューを
出しているわけですし。

じつは期間限定『月見バーガー』
って、ちょっとした発明でして、

秋のこの時期にやると、
メリットがたくさんあるんです。

理由①:コストが安い

まず、夏季の鶏の入れ替え時期の
直後で若鶏が多く、小さい卵が
相場安く調達しやすいのです。

この期間後、
秋の終わりから冬~春先までは、
だんだんと小さい卵の産まれる率が
減ってきまして、小卵の相場が
上がってきます。

たまごはサイズによって
安い時期と高い時期が異なりまして、

『春のてりたま』も、
初秋の「月見バーガー」も、
小ぶりで数をかせげる小卵が
大変使いやすいタイミングなんです。

理由②:卵の利益率の良さが活きる

そして、もう一つ
たまごは食肉と比べて、

比較的原価を抑えやすく、
お客様の付加価値になりやすい

という特徴があります。

ありていにいうと、
月見バーガーはお客様が
豪華に感じる割に、

ベーコンたっぷりの
BLTバーガーよりもずっと
コストを抑えながら提供できるのです。

とはいえ、
一年中あって本来季節感が
薄いですから、

より
「おっ!食べてみようか。」
と思ってもらえる季節の話題が
いるのです。

そうやって、重点的にたべてもらって
粗利を稼ぐ戦略。

それが、「月見」という
古来よりあるテーマなんですね。

本来たまごの旬は2つありまして、
ひとつはもともとニワトリが
産む季節だった「春」

もうひとつはもっとも滋養に富む
「大寒」の候。

そこに、低価格で提供しやすい
「月見の時期」という第三の「旬」
創出したわけですね。

う~ん、なかなかしたたかで、
すごい戦略だな~と思います。

 

◆中小の飲食業界はぜひ乗るべき

上記のメリットは何も大手企業
だけに限っていません。

年末へ向けての相場上昇期の前で、
特に小さめのたまごに関しては
非常に使いやすい、粗利の出やすい時期です。

しかも!

これだけ大手4社がこぞって

「月見だ」

「月見だ」

「月見だ」

ってアピールしてくれて
いるんですよ。

これに乗らない手はありません。

黄身だけの料理

黄身を使った小鉢

たまごかけごはん

なんでもとにかく
月見的なメニューの楽しみを

ワクワクしてもらいながら

楽しんでいただきませんか。

きっと、あなたのお店の
粗利向上にも、
お客様の楽しみにも
つながります。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ワクワクすること 2022年09月8日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前に展示会に参加する
機会をいただきまして、
お客様にいろいろな卵について
ご提案をしてまいりました。

これって、
すんごくテンション
あがるんですよ。

当社のお客様を含め
いろ~~んな考えを持つ
料理のプロの方
飲食店オーナーさま
パティシエ様と
あれこれ卵を前に
情報交換をさせていただける
機会なんて、ホントステキですよね。

元気と刺激をいただきました。


展示会でご飲食店オーナーさん
や幹部さんとお話しする際に、
ぼくが必ずお伝えするのは

「たまごは
数円のコストアップでも
数百円の付加価値を生み
やすいんです。」

ということ。

たまごは繁盛提供食材

なんです。

測定機器なんかが小さな
信号の変化を受け増幅して
大きくアウトプットすることを
「感度が高い」と言いますよね。

たまごはまさにそれ。
コストの感度が高いのです。

どういう意味かと言いますと
一個当たりわずか数円のコスト増になる
そんな手をかけた卵を生産したとします。

それは、すんごく料理にも
お客様の評価としても高いものに
なり得る、ということなんです。

たとえば、
最高級までの振れ幅
というものがあります。

牛肉なら
百グラム190円から数万円まであります。
美味しさやこだわりの幅が
とても大きいんですよね。

でも卵は、
一食あたりほんの数円~十数円の
コストアップで、なんと
最高級レベルの品質になります。

 

デパートなんかの精肉売り場で
高い牛肉を値段を見ながら
「こんなのおいそれとは
買えないわね。記念日に、だわ。」
なんて考えたりします。

対してたまごはどうでしょう?

百貨店や成城石井で
「これは・・・!財布の中身が足りないな。」
なんて思ったことって無いですよね?

たまごは
一般品~最高級までの幅が、
牛肉や魚などと比べると
かなり!狭いのです。

なのに、
できる料理の美味しさは
振れ幅がデカいんです。

加熱でものすごく香りの良くなる
ハーブで育てたたまごを使うと

伝説級に香りが良い
チーズケーキになる。

そんなパティシエさんの評を
いただくたまごもあります。

これを、
コスト感度が良い、と
言っています。

別の言い方をすると、
効果が大きいので

「コストアップのし甲斐がある」

ということです。

最高級A5ランクの和牛は
ランチでなかなか使えませんが、

最高級のたまごを使った
ステキランチメニューでお客様に
感動していただくことは可能です。

ぜひ、あなたのお店でも
たまごでこだわってみませんか?
ワクワクしますよ~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ワクワクすること 2022年09月7日

昨日の続きで、本日も
たまごの保存性について。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前にイギリスのTVで

たまごを冷蔵庫に入れるな

という内容のシェフの提言が
報道され、少し話題になりました。

そのほうが美味しさが
長持ちするから

そんな趣旨です。

Food storage hacks: Chef warns ‘never put eggs in the fridge’ – where to keep them | Express.co.uk

今イギリスでは、食品ロスの問題に
焦点があたっていまして、年間で
450万トンの食品廃棄を減らす

そのために「スーパーの賞味期限撤廃」
などの取り組みが進んでいるんですね。

「牛乳も賞味期限なくそうぜ。」
なんていう議論もありまして、

そんな中で、プロのシェフさんから

「たまごは長持ちな食品だ。」

「常温で保存するべきだ。」

「そのほうが美味しくなる。」

という提言があったわけです。

実際のところ、どうなのでしょうか?

飲食店さんでも冷暗所、冷蔵保管
様々なケースがありますよね。

実はこの提言は正しくもあり、
間違ってもいるのです。

 

◆常温でも長持ちするのは事実

たしかに、たまごは生鮮品・
無加工畜産物としては異例の
菌耐性がありまして、ちょっと
意外なほど常温でも長持ちします。

映画「火垂るの墓」でも、
空襲があった際に貴重品を
地中に埋めた長もちの中にも
たまごを入れておいて、
ずいぶん経ってから取り出す
そんなシーンがありました。

温度にもよりますが、
皆さんがイメージされるよりも
意外と長もちなのは事実です。
(通年の常温であれば2週間はゆうに生食可です)

そういう意味では、
たまごを使い切るまでが
さほど長期でなければ常温でも
大丈夫、ということになります。

 

◆品質は高温ほど変わりやすい

ただしデメリットがありまして、
たとえば食感の変化

たまごの保存中には
たまごの白身と黄身の間で
水分の移動がおこりまして

食感がどんどん緩くなるのです。

夏場などには鶏が水分をたくさん
飲む事で食感が弱くなるのですが

それと同じことが
常温保存だと冷蔵よりも
早く起こるという事です。

ですので、
ぷるんと食感を楽しむ
生食の場合や、目玉焼きなど
ハリの良さが必要な料理は
冷蔵保存したほうが使いやすい
ということになります。

 

◆常温保存のメリットもある

前述の英国人シェフさんも
指摘していますが、常温保存には
メリットもあります。

それは、

「他食材の香りが付かない」

ということ。

たまごは殻に一万個の気孔が空いてまして、
そこから常にガス交換をしています。

そのため周囲にあるものの香りを
吸い込んでしまうのです。

そして、冷蔵庫ではこの
香りがついてしまうことが
往々にして起こってしまうのです。

『繁盛しているお店のたまご料理は美味しい』

よく聞く話ですが、これは

たまごに香りがつく
前に使い切るから

という理由です。


まとめますと、

・卵は常温でも長く保存できる
(生食2週間以上)

・冷蔵ほど経時変化が少ない
(長く品質を保てる)

・冷蔵庫以外だと、他食材の香りがつきにくい

 

つまり、
基本は卵を冷蔵保存する
方が品質的に望ましく、

客数の多いお店さんや
加熱前提の卵メニューの
お店さんなら

常温保存で、

新鮮なうちに
サッと卵を使い切ったり

食感のゆるみをカバーしながら
加熱で使う

そのほうがメリットもある
ということですね。

ご参考くださいませ。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2022年09月6日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

真夏から少しだけ暑さがゆるむ秋
ですが、この9月~10月は
意外と食中毒の多い時期です。

皆さんちょっと涼しくなって
油断するんでしょうね。

テイクアウト時の注意喚起など
お店でも気をもむ季節かと思います。

生鮮食品ですので、
たまごは食中毒の可能性があります。

代表的なものでは、
生卵のサルモネラ菌や、
あと調理後の黄色ブドウ球菌
などですね。

厚生労働省発表の昨年(21年)
食中毒事件のうちサルモネラ
菌由来の事件は約1.1%(8件)
で患者数318人。

ただし、
卵由来の事故はゼロでした。
(ちなみにダントツ一位はアニサキス)
その前の年もゼロ。

僕たち卵屋も細心の品質管理を
しているのはもちろんですが、
ご使用になられるお客様も、
適切なご使用をされている
からだと思います。

ありがたいですね~。

生産・選別の場
飲食店・販売店の場
ご家庭の場
それぞれの知識と管理
認知レベルが高くなっている
そのおかげだと思います。

 

たまごは実際のところ
産みたての卵殻表面には
いろんな菌が存在します。

これは、ニワトリが単孔類
つまりお尻の穴がひとつだから
起こる事です。

うんちをするのと同じ場所なので
どうしても菌が表面につきます。

ただ、たまごの表面から
内部にかけて、

卵にはすさまじい
防菌作用があります。

まず、表面にクチクラ層
卵殻、そして卵殻膜と、
多層構造の防壁が存在し、

そしてその内部の卵白は、
溶菌作用というものがあり
まして、万一入ってきた菌を
溶かして殺してしまうのです。

うーん、すごいですね。

そして、表面にいる菌は、
集卵後の選別時に、
次亜塩素酸殺菌水という
食品向けの洗浄殺菌水で
キレイに洗ってしまうことで
基本的にすべて死滅します。

外から入ってこれないし
入ってくる前に洗浄で
ゼロにするんです。

これは鉄壁の防御…!

と言いたいですが、
2つ、弱点があります。

 

◆たまごの弱点2つ

ひとつは、
たまごができる前に
卵の内部にサルモネラ菌が
入ってしまう事。

これが、約200万個に一個
全国の鶏で起こる可能性があります。

カベができる前に侵入されちゃうんですね。

なかなか防ぐ手立てがありません。

ですが、
内部に入ったサルモネラ菌が
体に危害を加えるまでの数に
増える期間が、すなわち卵の
賞味期限、生食の限界期間なのです。

現在業界では、産卵後21日以内の
指標で設定していますが、

この期限内なら、
たとえサルモネラがいても
生食で食べて大丈夫、という
ことです。

もう一つの弱点は、
ひび割れた卵は菌に弱い
ということ。

壁が壊れたお城、です。

上記の賞味期限内でも、
ひとたび菌がカンタンに
侵入し、腐敗してしまいます。

 

ただ、弱点2つ、どちらの場合も
熱には弱いので、古くなった
たまごのリスクは加熱することで
防げるケースが多いのですね。

ぜひ、正しい知識の元、
美味しく召し上がってくださいませ~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年09月5日