小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

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こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

たまご鶏のことわざ第75弾、

今回は英語圏から。

 

<もし雌鶏が黙っていれば、卵を失うことはなかっただろう>

had the hen kept silent,it would not have lost its egg

 

余計な事言わなければ

良かったのに‥‥‥という意味です。

 

日本で言う

「雉も鳴かずば撃たれまい」ですね。

やぶへび、とかも同様の表現でしょうか。

 

めんどりさんは

卵を産むとかならず鳴くのですが、

すると「おっ!産んだな。」と

気づかれて人間にたまごを

取られてしまう…。

 

まだ、

毎日たまごを生まなかったころ

の風習を描写した、

古いことわざと言えます。

 

ただ、この場合

どのみち遅かれ早かれ

卵は取られちゃうので

 

「雉も鳴かずば~」の方が

より意図とあっている

気もしますね。

 

ちなみに組織論で言うと、

会議なんかで最初に提案した人に、

「じゃあ、キミそれやってくれ!」

と任せるのはNGなんだそうです。

 

『提案したらやらされちゃう』

…と思うと誰も良いアイデアを

出さなくなるから。

たしかに。

 

むしろ、どんどん声を上げた方が得をする、

というルールじゃないと

発言しにくくなりますよね。

 

そして、

僕たちの取り組み、

「繁盛提案」となれば別の話です。

 

「こんなたまごメニューの企画をやりませんか!?」

「お!それイイね。それやってよ!」

なんてのは、

お店さんのご繁盛につながるので

超ウェルカムです。

 

むしろことわざと逆で、

黙ってないからこそ

よろこんでもらえて

我々もうれしい!となります。

 

「御用聞き」なんて言葉がありますが、

たんにご注文いただくだけ

それ以外は黙っているなんて方が、

失うものが多いですよね。

 

『もし雌鶏が黙っていた方が、卵は無くなるだろう』

と逆のことわざになっちゃいますよね。

 

今月のニュースレターも、

マニアックなご提案の声を上げております。

ぜひ、

こんなこといいよね!やってよ。

とお声がけをくださいませ~。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2022年06月10日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

お店のたまご料理で

差別化メニューを考えるならば、

「家庭でやらない作り方」を

やってみる必要があります。

 

そのひとつが、「引き算」。

 

卵かけ御飯なんかでは

「豪勢なトッピング」で盛り上げる

みたいな「足し算」方法もありますが、

 

それはそれで思いつきやすく

差別化メニューは難しさがあります。

 

それと逆に

引き算してやることで

たまご料理としての良さが

シンプルに際立ちます。

 

・白身の〇〇を「引き算」!?ホテルニューオータニ流の目玉焼き

これすごく画期的な方法なんですね。

 

たまごの白身って

弾力性のある濃厚卵白と

水っぽい水溶性卵白に

分かれています。

この写真でいうと、

下っかわの部分が水溶性卵白。

 

それを「分けて・捨てる」んです。

 

ざるに新鮮なたまごを

割り入れて少し待ちます。

 

すると、食感の悪い水溶性卵白だけが

下に落ちます。

残るのは、黄身と

濃厚卵白だけ。

これで目玉焼きを焼くと

弾力食感のところだけを

味わえる超おいしい

目玉焼きになります。

 

めだまやきで、

白身を半分捨てる

というのは

シンプルですが、なかなか贅沢で

面白い手法です。

贅沢感ありますよね。

 

ちょっと量が減っちゃうので

2つ玉の目玉焼きが良いです。

 

・黄身を「引き算」して食感の極楽へ!

ふつう、たまごかけごはん、って

こんな風に、黄身を楽しむイメージが強いですよね。

ですが、

 

黄身をとりのぞいた

「白身だけのたまごかけごはん」

が、美味しい繁盛メニューに

なります。

 

ええっ!?と思われるかもしれませんが、

やってみるとシンプルに

白身とごはんの滑らかな口当たりと

出汁の風味を余すことなく楽しめるんです。

「食感だけを楽しむ」

「ダシをぞんぶんに味わう」なら

たまごの黄身がジャマだったりするんですね。

 

ですから、

もしあなたのお店が

和食のお店さんで、

だしのこだわりを強く知ってほしいなら

 

「白身だけ」たまごかけごはん

は強烈なアピールになり得ます。

 

・たまごの水分を「引き算」!?ありえない食感に!

たまごの黄身を塩砂糖に置き、

水分をしっかり取ってやる

そんな方法があります。

いわば、たまごのカラスミ。

 

乾いてからカランと

宝石みたいになった

たまごの黄身を

けずって使うんですね。

これ、黄身の風味が凝集して

超美味しい調味料になります。

作り方はコチラ→●

 

以上、

3つの「引き算」たまご料理をご紹介しました。

ぜひ、お店の繁盛メニューのヒントと

なりましたら幸いです。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年06月9日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

先日あるチョコ風味の

プロテインバーをもらったのですが、

これ、ちょっと変わってまして

「コオロギ」が入っているんです。

食用コオロギ配合。

先週末から都内のファミマ全店で発売しているもので、

手がけている徳島大学発ベンチャー・グラリス

代表渡邉さんからいただきました。

 

たいへん興味深いです。

コンビニにまで並ぶなんて

いよいよ日常として昆虫食が

普及し始めてきましたね~。

 

これって、虫と動物の差はあっても

よく考えると「畜産」の話題なんですね。

 

地球環境を考えたコオロギフードは

方向性としては

たまごの業界で話題となっている

「植物性たまご」と同じなんです。


◆カロリーをどれくらい活かせるか

植物性100%でつくられた卵

こんな変わったものが

すでに数社の商品が全米2万店の

スーパーで販売されています。

 

たとえばそのうちの一社、

ハンプトンクリーク社には

ビルゲイツさんも出資しているんですね。

彼曰く、

「将来の世界人口が100億人を

突破するのは確実で、

そのときに備えるために

植物ベースの食品は必要だ。」

ということを述べています。

 

たとえば、トウモロコシや小麦などの食物をウシに食べさせる。

一年育てて出荷すると、

出荷時のお肉から得られるカロリーは、

ウシがそれまでに食べた穀物から得られる栄養よりも

ずっと少なくなるわけです。

 

「それじゃあ、人口が増えたら

食べ物が足りなくなるなぁ。」

「じゃあ、その穀物を直接加工して

食べたらいいんじゃないの。」

 

・・・という発想から、

植物性100%のお肉や卵が生まれているんですね。

 

昆虫食も同じで、

ウシなど畜産動物だと、骨や皮、血液など

食べられない部分も多いわけですが、

パウダー化するコオロギだと、

余すところなく栄養源にできるわけですね。

 

食べさせたカロリーがさほど減らないのです。

 

ちなみに穀物(植物)を直接食べるのと比べ

どれくらい減るかというと

 

牛だとだいたい10分の一

つまり、100㎏の飼料で10㎏の肉になる計算です。

 

コオロギだと約半分、

つまり50㎏のたんぱく質に。

 

たまごはどうでしょう?

だいたい一日100gの飼料をニワトリが食べ、

50~70g前後のたまごを一個産みます。

 

数字だけ見ると

コオロギよりちょっと良いですが、

 

カラが10%少々あるのと、

ヒヨコからたまごを生むまで

4か月ほどありますので、

実際はコオロギとやや少ないくらいでしょうか。

 

既存の畜産の中では、

意外と悪くはないんですけどね…

 

ただ、温度管理の必要性や水など、

飼育環境の難易度で分が悪いでしょうか。

 

◆地球環境への選択肢が外食メニューに

将来、環境を考えたときに、

たまごが昭和初期までの「ぜいたく品」に

戻ってくることも考えられます。

 

普段はコオロギや植物卵を

晴れの日にたまご料理を

みたいな風に。

 

飲料の売り場に

牛乳と豆乳が並んでいるように

お客様の選択肢が増え

 

飲食店さんのメニューでも

選択肢が増えてくるわけです。

 

飲食店さんもこれからは、

それぞれのお肉を使う「理由」が

必要になってくるかもしれません。

 

よりなめらかさを追求して鶏卵を使ってます。

よりヴィーガン思考に立って植物卵です

より地球環境を考えてコオロギです。

みたいな、

根拠を示した食材の使い方が

これから求められるのかもしれません。

 

ぼくたちのたまご屋としての

存在意義もですね。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2022年06月8日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

小さいころ

亡き祖母のいた母方の実家に

泊まりにいくと朝ごはんに必ず、

トロトロのオムレツを作ってくれるのが、

めちゃくちゃ楽しみでした。

 

甘くてやわらかなオムレツ。

初めて食べて、幼心に感動したのですね。

「やわらかめ」「ちょっとやわらかめ」「ふわふわしっかり」

みたいな微妙な好みを、

兄弟ごとに作り分けてくれたんです。

 

思い返してみてちょっと珍しいな、

と感じるのは、

「たまご一個のオムレツ」

だったこと。

 

オムレツって、

たまご2個~3個でつくる事が

多いんですよね。海外も国内のレシピ本も、

たいていそうなっています。

 

ですが、

オムレツのおいしさって

実は「できたて」にあるんです。

焼きあがってすぐが、いっちばん美味しい。

ですから、

卵一個のオムレツを、

次々と焼いてもらって

常にできたてをたべる。

このわんこオムレツが、

本当の贅沢料理なのかもなぁ、

といまになって思いますね。

 

◆ちょっと冷めてもおいしいオムレツ

さて、ご飲食店様では、

テイクアウトメニューや

パーティ形式など場合によっては、

オムライスやオムレツを

すぐに食べていただけないことも

あります。

 

ちょっと冷めてしまう、

でも美味しく食べてほしい。

 

それには、コツがあります。

それは、

「植物性油」の使い方。

 

オムレツやオムライスは

フツーだと、たっぷりバターで

コクもあって香りも良くおいしい!

・・・のですが、

冷めてしまうとバターの

流動性が無くなり、食感が

イマイチになってしまいます。

 

ですので、バターの代わりに

オリーブオイルで風味を出し、

そして卵液にしっかりと

「マヨネーズ」を使うんです。

 

キューピーさんの研究では、

乳化した植物性油脂とお酢でできている

マヨネーズが、たまごの

たんぱく質構造をやわらかくし、

ふるふるの食感のオムレツにしてくれます。

 

しかも、この場合

冷めても食感は素敵なままの美味しさです。

 

◆じつは人肌の玉子料理が旨味最高

じつは人肌程度のあたたかさの

たまご料理って、いちばん「うまみ」を

強く感じるんです。

 

たまごかけごはんもそうですし、

親子丼だって熱々よりも

人肌のやわらかいぬくもりになった頃が

最もおいしく感じられます。

ただ…オムレツやオムライスの場合は

ちょっと冷めちゃうと、

「旨味」は良くても「食感」の問題が出てしまう。

 

ところが上記のように植物性油脂の力、

マヨネーズの作用で、

 

最もうまみを感じる人肌の温度帯を

オムレツでも楽しんでいただけるんですね。

 

ぜひ、お試しくださいませ~。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

唐辛子

ってありますよね?

あれ、英語でなんて言うか
ご存じですか?

 

「ホットペッパー

直訳すると
「からいコショウ」です。

でも、
唐辛子ってコショウと
ぜんぜん違う植物で、

なのに「コショウ」って
名前になっている・・・

なんでなんでしょうね。

 

これ実は、
命名したのは、
あのコロンブスさんなんです。

黄金と同じくらい
価値のあったコショウを
手に入れるため

 

「大西洋をわたってインドに行く!」

…そのとちゅうで
アメリカ大陸を
見つけちゃいましたから、

 

「ここがインドにちがいない!」

と、
現地の香辛料「トウガラシ」
を持ち帰ったのです。

 

スポンサーの手前、

「これちょっと変わった
コショウなんですよ。」

と言い張って。

でも「なんじゃこりゃ。」
ってんで当時のヨーロッパでは
まったく受け入れられず、

 

むしろ暑さの本場インドや
東南アジア、中国に持ち込まれて
そっちで広がったのですね。

 

そして現在

唐辛子の生産
世界一はインドに。

世界需要の4割を作っています。

 

面白いですね~。

インド産だと思って持ち帰り、
結果としてインド名産になるとは。


さて、
このトウガラシ。

実は!

ニワトリが食べても
まっったく平気で、
辛くない
んですね。

 

一般的に
「赤い実」って、
「食べると甘い」
のが自然界のお約束。

 

赤色を見つけて
動物に食べてもらい
遠くまで種を運んでもらう。

そのためですね。

 

なのに、

トウガラシは
赤いのに甘くない…?

それは

鳥さん「だけ」に
食べてもらいたいから。

 

トリ以外の生物が食べると
カプサイシンの刺激で
口がめっちゃ痛い…!
体が熱くなってヘン…!

・・・となって
食べるのを
やめちゃうんです。

 

でも、

ニワトリ含む鳥類だけは
トウガラシを食べても
辛味の元カプサイシンが
刺激しないので

鳥にとっては
「甘~い!」って
感じるんです。

採卵養鶏では
ニワトリの飼料に
トウガラシを入れる
ことがありまして、

これはおおむね
卵黄の色味を良くするため。

 

たまごの黄身の色って
食べたものに影響される
んですね。

たとえば
黄色い食材、
トウモロコシを食べると
黄色っぽさが増しますし

 

赤い食材、
ニンジンやパプリカ
トウガラシを食べると
赤っぽさが増すんです。

 

「だから黄身の色なんてまやかしだ。」

・・・なんて
言う人もいますが、

 

人間の本能は

温かみのある色を
「おいしそう」と感じる

ようにできてます。

 

ラーメン屋の
赤ちょうちんが
赤色をしているのも
そのため。

 

なので僕は
飼料によって
卵の黄身色が変わるのは、
悪いことではない、

そういった色味も含めて
「おいしさ」だと思ってます。

 

より美味しい
たまごづくりには
ステキな色味、

つまりトウガラシも
必要なんですね~。

 

ちなみに

「人間のように
トウガラシを食べると

ニワトリにも
脂肪燃焼効果が
あるのか?」

を調べた研究もありますが、

 

ニワトリさんには
そんな効果は
さっぱりなかった
とのことでした。

 

刺激→発汗!
みたいな作用がないから
当然といえば
そうかもしれません。

 

あとひと月で
夏本番がやってきます!

ぼくたち人間は、
辛味を活用して
元気出していきましょうね!

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2022年06月6日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

というわけで、

本日のテーマはオムレツです。

 

歴史的にみるとオムレツって

残っている卵料理のレシピ上

もっとも古いんです。

 

「たまごを調味料と混ぜて焼く」

これが「料理」として一番

歴史があるんですね。

そして、その最古のレシピな

オムレツは、あまーいオムレツでした。

 

そもそもの『オムレツ』の語源が

オウェメーレ(はちみつ入りたまご)

から来ている、という説もあるんですね。

 

甘いオムレツ、

つまりスイーツ要素のあるオムレツは、

実は、時々流行しています。

 

たとえば1930年代には米国で

『オレンジオムレツ』が流行しました。

これは砂糖入りオムレツに

レモンやオレンジ果汁を活用した

甘くさわやかな酸味を

楽しめるオムレツ。

エッ!?オムレツにオレンジ!?

なんてびっくりするかもしれませんが、

これすんごく美味しいんですよ。

 

白身と黄身を分けて

白身を泡立ててから焼くのが特徴の

スフレオムレツです。

 

このころはちょうど果物の

オレンジが普及し始めたころで、

ローマから続く伝統のおいしさと

最新の流行を取り入れたレシピだったのです。

 

カンタンにできるスイーツとして

大いに好まれました。

 

これらの甘いオムレツは、

スイーツとしてみると、

「小麦粉など炭水化物を使わないスイーツ」

という特徴があります。

つまり、今風に考えると

低糖質スイーツです。

 

シャトレーゼさんが

低糖質お菓子のラインナップを

多数出して話題になったり、

コロナ禍の健康管理で

低糖質の食事・お菓子はニーズが伸びています。

 

フルーツと焼きたてのおいしさ、

というとパンケーキがありますが、

これをさらに「低糖質で美味しく」

という点で進化させると

 

この最古のたまごレシピから続く

「オムレツスイーツ」に回帰するということ

面白いですね~。

 

パンケーキブームの次には

ふわふわで甘い

低糖質スイーツオムレツが

 

ブームになってくるかもしれません。

ぜひ、あなたのお店で

取り入れてみませんか?

 

ここまでお読みくださって

ありがとうございます。