小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

先日、会議室の時計が壊れたんです。

裏側を見ると昭和52年製でした。

なんと僕が2歳…!45年前です。

長年大変おつとめご苦労様でした。

 

先代がその時計を買った

メガネ時計店は、いま

ぼくの友人が2代目として

後を継いでいるのですが

 

彼に聞いてみたことがあるんです。

「スマホ全盛の時代、

もう時計を買う人って減ってるんじゃないのか。

メガネが主力になってくるんじゃないのか?」

 

ところが、彼いわく

「最近“時計の持ち込み・相談”が

とても増えている。」

とのこと。

 

ちょっとびっくりです。

 

なぜなら、

「周囲の時計店」が

どんどん無くなっているからだとか。

 

いっぽうメガネは

近隣に格安チェーン店が

いくつもできて価格破壊となっているそう。

 

町の時計店って、

修理の習得技術が

ホントに大変なんですね。

修行にも時間もかかるため、

後継者がなかなかできず

 

高齢の店主ががんばって

経営しているお店が多いそうで

 

引退とともにお店が無くなる・・・

そんな流れなのだとか。

 

結果として、

だんだん遠方からのお客様が

頼ってお店にこられる。

 

業界のピンチでもあり

チャンスでもあるのかもしれません。

 

◆たまご業界の残存者利益は何か?

実は、たまご業界もちょっと似たところがあります。

なにせ、「新規の創業」が極めてすくない業界です。

新たに養鶏・卵屋を始める方は、

ほかの商売よりもずっと少ないんですね。

 

結果、後継者がいない農場さんや鶏卵選別卸業は

どんどん無くなっており、大手企業さんに集約されている

そんな実情があります。

 

関西あたりにあるスーパーの特売向けに、

鹿児島からたまごが届くことも珍しくありません。

 

ですので、

僕たちが生き残ろうと思ったら

・近くのライバルにできないことをする

・大手他社さんにできないお役立ちをする

この2つがあれば、

時計屋さんと同じくウチの価値が高まるんじゃないか。

そう思うんです。

 

手作業中心の小さな農場が無くなっていくのであれば、

そこに小ロットの多様性を価値として活かす

 

お店の美味しさに合わせて

たまごをいろいろ選んでもらう、

そんな提案型の超めんどうな手間をかける

近くにはあまり、そんなライバルさんはいません。

 

また、遠方から大手鶏卵企業がたまごを持ってくるなら

歩いていける距離のたまご、の価値をお伝えする。

以前は全国の町々に

養鶏農家さんがありました。

それが無くなりつつあるのであれば、

「近い」という価値が

残存者利益になってくるのかと思うんです。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2022年06月24日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前に、アジサイ見物に
四国八十八ヶ所のひとつ
雲辺寺へ行ってきました。

 

1万本をこえる紫陽花
個性豊かな五百羅漢の像が有名で
この時期はとても素敵なんです。

88の霊場のうち
最も標高が高いそうで、
キリっとした空気が荘厳さを
感じさせるお寺です。

 

ただ、

なぜかご本尊のお堂内に
グッズ販売看板POPがあったり
ダジャレにひっかけた祈願があったり

なかなか商売っ気が高い
おちゃめなお寺だなあ、
という印象も。

 

せっかくなので、
そんなグッズのひとつ

「商売繁盛」のローソクで

お祈りすることにしました。

僕たちは卵を通して
お客様のお店への
“繁盛提供”のお届け
ビジョンのひとつですから!

で、ですね。

ローソクの火をみながら
フト思ったのですが、

 

そもそもなんで

お寺で「商売繁盛」のお祈り

なんでしょう??

 

神社は
商いの神様「えびすさま」が
ご神体だったりもしますし

「商売繫盛」の成就が
あってもフツーな気はしますが、

 

『仏道』と商売繁盛って、
そもそも関連があるのかなぁ…?

 

そんなことを考えながら
手を合わせてきました。

 

うーん。

 

そういえば、

「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」

『三方良し』の考えを近江商人に
伝えたのは高野山のお坊さんだと
聞いたことがあります。

 

商売って
「他人を喜ばせること」
が本質

ですから、

『利他のこころ』が
商売-仏道と
リンクしているのかもしれません。


あと、

お寺さんでの商売繁盛祈願には
もともとあった『後半部分』が
忘れられちゃったんじゃないのかなぁ?

・・・と思うんです。

『後半』、ようするに
「願いがかなったあと」のこと。

 

むかし台湾のお寺で
めちゃめちゃ豪華な供物を
捧げ熱心にお祈りしている人達を
見たことがあります。

 

ガイドさんに聞いてみたところ

「願いがかなったお礼のお祈り」

だとのこと。

 

成就したから
「お世話になりました!」と
大いにお供えをし、
めちゃくちゃ真剣に
お祈りしているんです。

 

つまり、
台湾の人にとって
達成前の「商売繁盛」のお祈りは

『決意表明』

なんです。

 

そして

かなった後の
感謝のお祈りが
仏様にささげるお祈り

ということでしょうか。

 

こう考えると日本の場合は
神社へもお寺へも
たのみっぱなしなのが
フツーな気がします。

 

仏様も神様も

「頼むばっかりで
いい気なもんだ。」

なんて感じているかもしれません。

 

仏教徒が多数を占めるタイでは、
仏教徒を守る神様
インドラ神が白い鶏に変化した
とのお話から

にわとりがシンボル

になっていますし、

 

伊勢神宮を代表に
日本の神道では
ニワトリは特別な鳥

なんですよね。

 

僕たちもニワトリさんを通じて

たまごの商売を通して、

 

報恩と利他の心
肝に銘じてまいります。

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2022年06月23日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

つい先日、

日本テレビ「午前0時の森」という番組で、

たまごのご紹介を致しました!

テーマは「最高の牛丼を食べたい」

ということで、

「牛丼にあうたまご」について

厳選した卵2品をご提案しています。

 

わからないようにしての

ブラインド試食でしたが、

狙い通り!今回イチオシの卵を

劇団ひとりさんに選んでいただきました!

たまごのステキな特徴、

と言ってもいろんな魅力があります。

 

たとえば、

自然の放し飼いを経て

非常に香りも繊細ですっきり、

なんて美味しいたまごもあります。

 

ですが・・・

お肉と合わせるならば

こういった『繊細さ』は

むしろマイナスになります。

 

あっさり風味の卵の繊細な風味で

お肉の強烈な旨味も

やや淡泊なあっさりにしてしまうんです。

 

すると、

卵とお肉を合わせたとき、

とても高価なたまごなのに

評価が低くなったりするんですね。

 

なので、

『お肉と合う卵』の特徴は

それ自体非常にクセが強く

強い個性と濃厚さを持っていないといけないんですね。

 

今回は風味と味での

お肉と合わせるご提案でしたが

更に粘弾性の数値からくる食感の違いや

生育・保存などにこだわることで

 

さらにお肉と抜群に合わせる条件付けを

重ねますと、

劇団ひとりさん、村上信五さんが絶賛の

このたまごの味が、

もっとすんごい相性になってくるんですね~。

 

◆たまごの美味しさは「料理になった時のおいしさ」

今回の番組のテーマは、

僕にとってとっても共感できる

ステキなテーマです。

 

常々僕たちは、

「たまごの美味しさ」は、

料理になったときにいかに美味しいか

だとお伝えしてきました。

生で食べて醤油やごはんと抜群のたまごと、

加熱してふわとろ最高のたまごは

まったく特性が異なります。

 

ですので、

良い卵!というテーマよりは

午前0時の森さんの今回のテーマのように

「うまい牛丼が食べたい。

そのための食材は?」

というアプローチは、

美味しいたまごの追及にとって

最高の投げかけだと思っています。

 

番組をご覧になってくださった方、

ありがとうございます!

また、番組で僕に気づいて

メッセージをいただいた皆様

ほんとうに感謝です。うれしいいです。

 

来週はいよいよ牛丼の完成!ということですので

ぜひ番組ごらんくださいね~。

 

今後もワクワクする卵のご紹介

精進してまいります!

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 取材・掲載・ご紹介 2022年06月22日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

「培養肉」について厚生省が

本格的に検討に入るようですね。

培養肉とは、

細胞を培養することで

生き物を育てずに

食用の肉を作り出すことができる技術です。

 

普通に育てると

1年くらいかかるものを

理論上はほんの数週間で

お肉にできるのだとか。

飼育を必要としないことから

飼料不足などにも対応でき

食糧危機対策になるかも…

と考えられているんですね。

 

なにせ、

あと30年後に100億人を超える

と試算されているわけで、

「じゃあどうやって食べていくの?」

というシンプルな問いに対する

回答がいるわけです。

 

植物性100%の代用肉や卵はすでに

15000店以上の飲食店で導入されており、

世の中が「100億人時代」に対して

準備に入っているとも言えます。

記事にある培養肉については、

↑この本にさらに詳しく載ってますが

単に胃袋を満たすだけじゃなく

「健康な油脂だけが摂れる肉」

みたいなコントロールも

できるかもしれないんですね。

 

ところが・・・

現時点では、これは「食品」じゃないんです。

もちろん「畜産品」でもありません。

 

だって、

元が食材からできていませんし、

動物から摂れるわけでもないですし…

 

つまり該当する法律が無いんで、

食べられないわけです。

 

今のままの判断だと

培養肉はたとえ食品扱いできても

 

アミノ酸が合わさっている

「旨味エキス調味料」とか

 

たんぱく質の配合食品

「プロテインゼリー」なんかと

原理的に同じ区分に

なっちゃうかもしれません。

お肉なのに。

面白いですね~。

 

◆日本人が興味無いのは卵のせい?

ただし、

日本ではこの植物性肉や培養肉

いわゆる「代替プロテイン」は

めっちゃ関心が薄いんです。

欧米に比べて。

 

なぜなら、

「豆腐がうますぎる」

「たまごが食べられすぎ」

だから・・・。

 

そもそも和食では

大豆たんぱくである豆腐を

めっちゃいろんな料理で食べています。

いうなれば

“本物そっくりな植物性代用肉”

なんて無くても

「豆腐ハンバーグでいいんじゃね?美味しいし。」

という感覚なわけです。

 

さらに、世界トップクラスの卵好きな日本では、

生食や超食感の繊細な温泉玉子、

かきたま汁など、

たまごの特性を最大限活かした

たまご食文化がとても多様化しており、

「スクランブルエッグならなんとか…」

という植物性代用卵では

再現不可な料理が多いんです。

 

鶏卵は畜産の中では

かなり飼料負荷が少ないですし、

千年以上つづく大豆文化と併せると

『日本食ってすでに食糧危機対策になっている…?』

・・・のかもしれません。

 

「肉!肉がないとダメだろう!」

という欧米とはちょっとテンションが違うんでしょうね。

 

ただ、選択肢が増える中での鶏卵業界は

しっかりとお役立ち度を高める必要が

ますます出てきています。

しっかり考えてまいります。

 

しかし、

冒頭の培養肉を研究しているのは日清食品。

カップラーメンの「謎肉」を出す会社が

未知の肉の研究をしているのは、

かなり面白さがありますね~。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ニュースに考える 2022年06月21日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

僕はレシピ本を読むのが好きです。

 

新刊のを読むのも好きですし、

古書店をめぐって古いレシピ本を

探すのも非常に面白いんです。

 

時代に合わせて新しい料理も

次々と出ていますが、

人間の舌には普遍的な好みだって

ちゃんとありまして、

昔ながらの料理でも

うならされるくらい美味しいものがたくさんあります。

 

たとえば、

「Je sais cuisiner(キッチンについてのすべて)」

というレシピ本があります。

ジネット・マティオさんと

H・ドラジェさんという方が編集した

フランス料理本でして、

 

原著は1923年のものですが

あまりにヒットした名著で、

何度も何度も編纂しなおした

新しいバージョンが再販され続けています。

 

2000を超えるレシピがありまして

なんとオムレツだけでも

42ものレシピが載ってます。

すごいですね~。

 

おばあちゃんから娘、孫へと

何世代にもわたって、

伝えられるレシピ本です。

 

最近の本で面白かったのは

たまごサンド専門書でレシピ本

「卵とパンの組み立て方」(新光社)

パンのコト・たまごのコト

その相性・・・

玉子サンドについてだけで

200ページ近くもあるステキ本です。

 

あとオムライスだけのレシピ本

「バズる!オムライスレシピ」(角川書店)

が尖っていて面白かったですね~。

この本の紹介するオムライス

レシピ数はなんと43種。

冒頭のフランスの古典的名著の

オムレツレシピ42種類と

ちょうど1種ちがいですから、

もしかすると意識して数を合わせた!?

のかもしれませんね。

 

愛知の有名オムライス店の2代目さんが

書かれているのですが

 

1種でも時代とともに名著を超えてやる!

みたいな気概があっての

オマージュ精神が宿っている

のかもしれないな~と感じます。

 

◆プロこそ市販レシピ本を読むべき

レシピ本の多くは、

対象を「家庭で料理を作る人」

に据えています。

 

プロの料理人さんならば

「いまさら読んでもしょうがない。」

みたいに感じられるかもしれません。

 

ですが、

一般のご家庭料理として

魅力的に映るレシピ

 

そこに「プロ目線のアレンジ力」

を乗せることができれば、

あなたのお店のヒットメニューとして

非常に大きなヒントになるのではないでしょうか。

 

アレンジできる視点で

簡略化されたレシピを

また見直すと、

とんでもない気づきになるかもしれません。

 

ちょうど、百年前のレシピを

何度も何度も編纂しなおすように…!

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ワクワクすること 2022年06月20日

今日はお休みなので

たまごとあまり関係のない話を。

 

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

梅雨とはいえ気温は

行楽日和にちょうど良い日が続いていますね!

人の出も戻ってきつつあり、

行列の並ぶ店もあちこちに見られるようになりました。

 

若いころ僕は名古屋に住んでいました。

独り者の気楽さもあり、

古い町並みの雰囲気が

気に入っていた大須商店街を

よくぶらぶらしていたのです。

そこに、

いつも行列ができている

たこ焼き屋さんがありました。

 

おばあちゃんが焼いているんですが

常に、人が並んでいる。

それもすんごい人数が。

 

行くたびに、気になっていたんですよ。

 

ただ…たこ焼きに並ぶ、というのが

ちょっと抵抗あったのですね。

正確には、名古屋のたこ焼きに並ぶのが。

 

というのは、我が徳島県は

大阪の文化的影響が強く、

たこ焼き店もすんごく多くて、

家庭でもお店でも

良く食べるんですね。

で、

今はどうだかわからないですが、

僕が名古屋に住んでいた

30年前はたこ焼きに

「青のりがかかってない」

「醤油味だけ」なんてお店が多くありまして、

 

「こんなのはたこ焼きじゃない!」

・・・と抵抗感を持っていたのです。

 

今はチーズ入りも醤油味も

オイスター風味だって大好物ですが。

 

そんなわけで

いつも行列の脇を通りつつ

たこ焼きの香ばしい匂いに

後ろ髪をひかれていたのです。

 

ある日、かなり早い時間に

大須商店街を通ることがありまして、

見るとそのお店には

珍しく数名しか並んでなかったのですね。

 

うーん、

これなら一度食べてみようか。

と意を決して

列に加わったのです。

 

すると・・・

意外な事実が判明したのです。

 

そのお店に、なぜいつも

行列ができていたのか?

その理由が分かったのですね。

 

それは、

おばあちゃんの

たこ焼きを作るスピードが

異常に遅い!

ということだったのです。

めちゃめちゃゆっくりで

ぜんぜん完成しない…!

 

 

数名しか並んでないのに

ぜ~んぜん列が動かない…

 

そのうちにフト後ろを振り返ると

ズラーっと行列が(笑)

 

つまり、

そのたこ焼き屋さんの

行列ができる秘密は

「行列ができていること」

だったのです。

僕と同じく、みんな行列に呼び寄せられていたんです。

 

やっと自分の番が来て

食べてみたたこ焼きは、

やっぱり美味し・・・い!?

・・・いやフツーだな。これ。

非常に無難な感じのたこ焼きでした。

 

◆どこまでが魅力に入るのか?

いまでもときどき

お客様と繫盛たまごメニューの

打ち合わせをする時に

このたこ焼き屋さんのことを

思い出します。

 

お客様にとってのお店の価値って

ひとつつじゃないんだなぁ、

という当たり前のことを

考えるんですね。

 

そのたこ焼き屋さんも、

大須のゆったりとした雰囲気と

レトロな街並みのなか

そのたたずまい

 

そこに並ぶことで

自分も一服の絵に参加するような

魅力があったようにも思います。

 

ゆったり待つこと、

進みの遅さに気づくこと

味のビミョーさ

その後誰かに語ることまで

含めて「体験」という魅力だったのかも。

 

僕たちがお届けする卵も案外

ド田舎から少人数で

お届けしているから

なんだかスマートにやってない

そんなところが

意図せずご評価になっている

・・・こともあるのかもしれません。

いや、それに甘えていてはいけませんが。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2022年06月19日