ニワトリは哀しみの中に【たまご鶏のことわざ その34】
こんにちは。たまごのソムリエ・こばやしです。
たまご鶏のことわざ第33弾、今回は中国から。
<斗酒隻鶏(としゅせきけい)>
直訳すると、一斗の酒と一羽の鶏、
と言う意味ですが、
これは古く中国では
死者を弔う際に用意されたもので、
転じて『亡き人へ哀悼をし、しみじみ想う』
という意味になります。
『友人を亡くし、斗酒隻鶏の想いに暮れています。』…なんて風に使います。
この言葉は、以前紹介した故事成語の“鶏肋(けいろく)”と同じく、
三国志の英雄・曹操さんが由来となっているんです。
むかしむかし、
橋玄(きょうげん)さんという方がおりました。
将軍にまでなったすごくエライ方でして、
まだ無名だった曹操さんに会い
「こんなスゴイ人物は天下に見たことが無い。 きっと乱世の英雄となるだろう。 老いたワシの妻子を託したいくらいだ。」
・・・とたいそう高く評価し、
曹操さんが世に知れ渡るきっかけを作ったというエピソードがある方です。
この『斗酒隻鶏(としゅせきけい)』の言葉は、
曹操さんが将となったのち、
亡くなられた橋玄さんのお墓を、
大礼を尽くし祀った際に捧げた一文です。
この橋玄さん、
豪胆な性格だけれども
下位の者には決して威張らず
いつもへりくだった態度で接し、
橋玄さんの地位を利用して出世した一族の者は
一人もいなかった、
と言われる清廉な方でした。
そんな方が
『曹操はスゴイやつだぞ。』
と周りに伝えていたわけですから、
そりゃぁ評判にもなるってものでしょう。
出世した曹操さんが
その恩をずっと忘れずにいたことも、良い話ですね。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。