たまごからりんごまで!?
「オーヴォから始めませんか?」
…と突然ナゾの言葉を言われ、大変あせった。
ロシア語通訳であり著名なエッセイスト米原万理さんの
国際会議中・同時通訳時のエピソードです。
「オーヴォ」とは「OVO」、
ラテン語で「たまご」の事。
そして、
古代ローマ時代のことわざに、
「たまごからリンゴまで」(ab ovo usque ad mala)という言葉があります。
意味は「最初から最後まで」。
つまり、
『たまご=はじまり』
という意味合いがあったんですね。
冒頭のナゾの言葉は、
「いったん“最初の議論”に戻りませんか?」
という意味だったわけです。
日本で言うならば
“源氏物語の一節”を引き合いにだすようなイメージでしょうか。
欧米では、自国の言葉以外に、「ラテン語」の古典から言葉や格言を引用することが「教養の証」であったりもするようで、今回の件はそれが「たまご」すなわち「オーヴォ」だったわけです。 そりゃいきなりは意味が分からないですよねェ…。
ちなみこの「OVO」、スペルもなんとなく卵っぽくってなんだか好きなんです。たまごの見た目からできた漢字の「卵」と同じで、“象形文字”に近い成立の仕方をしたのかもしれませんね。
◆たまごは食前ドリンクだった!
ちなみに、なぜ「たまご」が始まりを意味するのかというと、
「生まれる」、つまり「生命の始まり」ということ以外に、
ギリシャ・ローマ時代の食文化では、食事の始まり前に生卵をそのまま一気飲みするのが通例だったからなんです。
つまり、
「食べる前に飲む!」
みたいなカンジで、卵は体を労わる「食前ドリンク」だったわけです。
実際たまごにはアミノ酸やレシチン含め、肝臓に良い成分がたっぷりはいっていますので、確かに飲み会前に食べると悪酔いを防ぐ効果があります。
ずいぶん涼しくなりましたが、
ビールで一杯、
という時にはつまみは「オーヴォ」の『出し巻き玉子』などから始めてみてはいかがでしょうか!?
あとリンゴが「最後」の象徴なのは、アダムとイブが食べちゃったことでエデンを追われた、楽園「最後の食べ物」だからのようです。 こちらは残念ながら健康面でのお話ではなさそうです^^
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。
(参照:「魔女の一ダース」新潮文庫・米原万理)